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人一人が辛うじて歩ける森の獣道を突き進む二人。フユハは慣れぬ道に悪戦苦闘しながらも、フェルールが時折後ろを振り返りフユハを案じてくれているために、安心して進むことが出来た。
歩きにくい獣道から、幅のある道へと出た。舗装はされておらず、雑草が生い茂る様子から、使用頻度は低そうであった。
「ここから先は魔物が出る。気を付けるんだよ」
フェルールはそう言いながら弓に矢をあてがい弦を引いた。
──ガサッ!!
同時に草葉の中から、大型の熊型モンスターであるグリズリーが飛び出してきた!
腹を空かせたグリズリーは、ヨダレを撒き散らしながら首を振って、前脚を上げて威嚇しており、二人の行く手を完全に遮っている。戦闘は不可避だ。
「──先手必勝!!」
フェルールの放った矢は一瞬にしてグリズリーの右前脚の付け根に突き刺さった! しかしグリズリーは唸り声と共に二人の方へと突進してきた!
「本気でやろうってのかい!? 上等さ!!」
フェルールは首に緩く巻いてあったスカーフで口元を隠すと、背中の矢筒から矢を素早く抜いた。しかしその矢は先端が黒く、また、丸く膨れており、とても突き刺さるようには見えなかった。
「伏せてな!! 少し焦げるよ!」
グリズリーまで僅か数メートル。素早く引いた弓から低音の射出音が鳴った。
矢がグリズリーの頭部に命中すると、爆発が鳴り響いた!
フユハは咄嗟に木の陰にしゃがみ込んだが、フユハの横を衝撃と爆風が駆け抜けた。
「…………グモ、ォ……」
グリズリーの顔は爆発の衝撃で血に染まり、黒く焦げ付きそのまま値に倒れ微動だにしなくなった。
「……これ高いんだから、あんま使いたくないんだよねぇ」
フェルールがスカーフを下ろすと、フユハが木の陰から姿を現した。
「お怪我はありませんでしたか?」
「ああ。問題ないさ。そっちこそ何も無かったかい?」
「ええ、お陰様で」
フェルールがグリズリーの体をじっと見つめた。グリズリーの毛の下は傷が多く、その殆どが爪による物だった。
「どうやら、コイツはこの辺の猛者みたいだな」
「こんな恐ろしい魔物が居るなんて……」
フユハは今まで相手にしてきたゴブリンやスケルトンと比べ、圧倒的強者な魔物の恐ろしさをまじまじと体験し、世界の広さを実感した。
そして──
「……ん? なんだいジッとこっちを見て……」
「いえ……」
そんな強者を一人で相手にしたフェルールに対し、フユハは頼もしさと恐ろしさの両方を感じていた。それは自らの弱さから来る物であり、誤魔化しようのない現実を示唆していた。




