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籠手をはめたフランシス。当然三人は不思議そうな顔でその腕を見つめた。
「……なに?」
フランシスが視線に耐えきれず、墓穴混じりの会話を始めてしまった。
「……いや、別に…………ただ、格好良いなあって……ソレ」
格好良い──その一言でフランシスの顔がみるみる明るくなり、ニヤニヤと不気味に笑いながらリゼリアのお尻をペチペチと叩きだした。
「そうね♪ 格好良いでしょ!?」
「え、ええ……」
「素敵だと思います」
「…………」
一人微妙な顔をするマニエルの足を、リゼリアはこっそり樫の杖で突いた。
「い、いいと思いまぁす!」
語尾が異様に高くなり、あからさまな感じであったが、籠手を褒められ気持ちが浮ついたフランシスは、それに気が付かず上機嫌であった。
「ふふ、アンタ達も見る目あるじゃない」
三人は口が裂けても『ダサい』と心の本音を言わないことを固く誓い、見つめ合った。そしてその籠手の出所については、ある程度推測が着いていたため、深く詮索する事はしなかった。
その籠手の効果は直ぐさまに結果となって現れた。
「なんか手癖の悪い盗賊みたいよ?」
宝箱の罠を調べるフランシスの手付きは、本職見習いさながらであり、何処となく似合っている辺りに笑い所も見て取れた。
毒針が仕込まれた木箱を解錠し、自慢気に中身の布の服を取り出すフランシス。
「ま、こんなものね♪」
「おおー!」
「凄いです凄いです」
「格好良いですねぇ……」
拍手で褒められ、気分は上々なフランシス。
──しかし、それが良くなかった。
「あれもお願い致します」
マニエルが指差したのは重厚感のある鉄の宝箱。ダンジョンの隅に置かれ、長年放置されて出来た冷たく暗い緑色の錆が、怪しさを醸し出していた。
「ふぅん。どれどれ…………」
フランシスが軽く調べると、直ぐにその手が止まった。
「どうですか?」
「これはぁ…………」
フランシスの顔が複雑な表情へと変わった。見るからに具合が悪そうだ。
「ダメですか?」
「いやいや、今のフランシス様なら余裕ですよね? ね?」
リゼリアの煽りを受け、フランシスがカチンと対抗心を燃やしてしまった。
「そんな事無いわよ! やれるわよ! やってやるわよ!!」
野盗の小手の補助力では、木箱の簡単な罠の解錠が限度であるが、フランシスは意地になり、より難しい鉄の宝箱の解錠に手を出してしまった。
──カチャン!
「出来たわ!」
──ベチョッ!
「ひゃっ!?」
鉄の宝箱から突然液体が飛び出し、フランシスの顔にベッタリと張り付く。フランシスは瞬く間に全身が麻痺し、痙攣して倒れ込んでしまった。
「あーあ、いつものオチだ……」
泡を吐いて動かないフランシスを、直ぐさまフユハが治療に当たる。リゼリアは「そんな直ぐに変わるほど、世の中美味くは出来ていない……か」と複雑な思いに駆られた。




