ティータイム ~白魔道士フランシス~
隣国との戦争が激化すると、一族は避難を余儀なくされた。
末っ子のフランシスは、当時八歳とまだ幼く、事態を深く飲み込めてはいなかった。
「じいや、皆で何処へ向かうの?」
「安全な所で御座いますよ、お嬢様」
正当たる血族は、戦争に負けると汚名となり、一族は逃走、隠蔽、隠居を余儀なくされた。
「居たぞ!! 生き残りだ!!」
末っ子のフランシスは、当時十六歳。自分の身に何が起きているのかを理解は出来ても納得はしていなかった。自らの行いに、何ら罰せられる憶えが無かったからである。
「これを持って逃げなさい……! 早く!!」
小さな箱を押し付けられ、裏口から逃がされたフランシス。木々の影に潜み、ジッと熱りが冷めるのを待つ。そして夜になると闇に乗じて遠くへと逃げた。
数日後、捕まったフランシスの姉達は磔にされ、既に死刑にされたフランシスの両親の墓へと荒々しく埋葬された。
しかしフランシスは、その事実を知らぬまま、いつか姉達や両親との再会を、ひっそりと願っていた。
そしてフランシスが遠く離れた土地でひっそりと暮らし、心機一転再起を臨んだ所で、一族の汚名は晴れた。戦争で負けたとは言え、それは善悪とは別な話。負けが悪なのではなく、悪に負かされた一族として、勇敢なる強き善が、一族の汚名を晴らしたのだった。
これにて大手を振って外を歩けるようになったフランシスであったが、親や姉達は既にこの世には居ないことを知ると、フランシスは探索者となり、地下へと潜るようになった…………。
しかし、それでも上手く行かず、フランシスがカフェテリアで頭を抱えていると、後ろから声がかかった。
「相席良いかしら?」
それはリゼリアであった。紅茶を嗜んでいたフランシスの隣で、オレンジジュースを頼むリゼリア。ふと目が合ったフランシスは、年頃の近いリゼリアをまじまじと見つめた。
「貴女も白魔道士なの?」
「……駆け出しだけどね。あなたは?」
「白魔道士しか適性が無かったから……それでもギリギリだけどね。だから誰もパーティを組んでくれなくて……」
「ねえ? 良かったら、私と組まない? 私も一人だから寂しかったの」
フランシスは異国の地で、年頃の近い娘なら信用できるかもと、リゼリアとパーティを組むことにした。しかし、万が一のため、自らの出生は伏せておくことにした。
箱の首飾りは血統の証。しかし、彼女は一庶民でも別に構わなかった。自らの出生に関係無く、ありのままの自分を見てくれる仲間がココに出来たのだから…………。




