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地下二階に巣くう魔物はブッシュワーカーだけではない。
「なにコイツ!?」
「うっ! 気持ち悪いです……」
その人型の魔物は片足を失いながらも、不恰好な二足歩行で四人へと迫ってきた。その数三体。
「……これはゾンビです。引いて下さい。私が浄化します」
フユハが杖を構え、静かに祈りを捧げ始めた。
「──聖なる汚れよ。静かなる戸惑いよ。その御身と共に浄められよ!」
フユハの足下から地面へと伝わる白い波動がゾンビへと伝わると、ゾンビの肉体は光の泡となりたちどころに消え果てた。
「……な、何をしたの?」
「より強い浄化呪文でで不浄なる者を浄めました。経験値は入りませんが、不死には浄化が有効です」
三人が唖然とする中、フユハは静かにリーゼットから貰った魔道書を開いた。
「ココに書かれている呪文は、普通に魔道書として購入したらとんでもない金額です。それを簡単に頂けるなんて……あの方は一体何者何でしょうか?」
「私も良く分からないんだけど、何だか遠い親戚らしいわ……」
リゼリアはそこはかとなく誤魔化すことにした。リゼリアすらにわかに信じられない者を三人に信じてもらうのはあまりにも期待が過ぎると思ったからである。
「ま、あのオバサンが何者でも、こうやって私達の探索が楽になったんだから良いんじゃないかしら?」
フランシスは頭の痒みを思い出すのも嫌だったので、適当に話を打ち切ることにした。
地下二階の魔物は手強く、一対一ではまず勝てない相手であった。つまり、またしても一匹だけのはぐれ魔物を狙い、狩る作業が始まったのだ。
地下二階の魔物はゴブリンやスケルトンより遥かに経験値を蓄えており、地下一階で一日かけていた経験値や小銭も、地下二階なら一匹で賄える程であった。
しかし、それに伴って宝箱に潜む罠もランクが上がっていた。
「うわぁ! 毒ガスよ!!」
フランシスの幸運頼りに解錠していた宝箱も、その成功率は最早ゼロに近しいものとなっていた。
元々盗賊の専門である解錠を、ズブの素人が適当にやっているだけなのだから、当然と言えば当然なのだが、彼女等にしてみれば宝箱が安全に開けられない事は死活問題なのである。
地下二階で手に入るアイテムはそれ程高価ではないが、彼女等四人で生活するにはそれなりのお金が必要。魔物が直接落とすお金だけでは到底足りないのだ。
かと言ってダメージ覚悟で開けるには犠牲が伴う為、割に合わない。
「やっぱり本職に転職したら?」
「アホ言わないでよ! 能力もお金も全く足りないわよ!!」
地下二階攻略の兆しが見え始めた彼女等に、新たなる壁が容赦無く立ちはだかった。




