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「で、此方の方は……」
「どうも初めまして。私はリーゼットおばさんよ。宜しくね♪」
いつものカフェテリアに集まった四人。しかし何故かそこにはリースの姉──リーゼットがいた。
フランシスは無言で『誰? 何で居るの?』と視線を送る。リゼリアは『ごめん』と無言の視線を向けた。
「初めましてリーゼットおばさん。私はフランシスと申します」
始めに噛み付いたのはフランシスだ。顔には微塵も出さないが、その笑顔の裏には途轍もない悪意が見え隠れしていた。
「あらあら、宜しくね♪ でもね、出来ればお姉さんと呼んで欲しいな。じゃないと……頭の中痒くするぞ♡」
飛び切りの笑顔を返し応戦するリーゼット。しかし此方は言葉の刺が全開に現れていた。
「は、初めまして……マニエル……です」
「エロい体してんなぁ……おい」
怖ず怖ずと挨拶をしたマニエルに対し、リーゼットはポカンとしたままポツリと呟いた。ココに居るメンバーの中で抜きん出てグラマラスでポッチャリーヌなその身体は、必然的に男の目を引くワガママボディであった。
「ひっ……!」
まるで野獣に見つめられたウサギの如く、マニエルは身の危険を感じたが、竦み上がって身動きが取れなくなってしまった。
「フユハです。以後お見知りおきを」
静かに挨拶をするフユハ。リーゼットは顎に手を当て、しばし眼を細めてフユハを見つめた。
「……合格」
「……え?」
「いや、四人とも白魔道士の格好してるのに、まるで魔術の素質を感じないのばかりだったけど、貴女は中々良い物を持ってるね。磨けば光りそうよ?」
席を立ち上がり、フユハの頭、首、肩とあちこち触りまくるリーゼット。体に流れる魔術の素を直に感じ取り、彼女の言葉は確信に変わる。
「やっぱり。貴女は白魔法の中でも『癒し』の力に重点を置いた特化型みたいね。ヤバいわ。触っただけで癒されるわ」
リーゼットの言葉に、フユハは思考が追い着いておらず困惑気味であったが、自信が望む道を後押しされたその言葉は、フユハにとって希望の道となった。
「こっちは別の意味で癒されるわ」
「ヒャァ──!!」
マニエルの腰の肉をぷにぷにと摘まむリーゼット。マニエルは身の危険を感じてリゼリアの後ろへと隠れた。
「姉ちゃん良い肉してるのぅ♡」
セクハラオヤジ丸出しのリーゼットに、フランシスは露骨にため息を漏らした。
「本当に触っただけで分かるような物なの?」
「あら? 此方のお嬢様は私を信用してないのかしら?」
怪訝な顔のフランシスに、リーゼットは指を向けた。すると、フランシスは頭の中が急に疼き出し、大小様々な蟲が蠢くような猛烈な痒みに襲われた!
「な、なにこれ!? 痒い!! 痒いわ!!」
席をたち、頭を掻きむしるフランシス。
「で、貴女の出番よ」
リーゼットは何処からともなくポケットサイズの魔道書を取り出した。頁を開き、フユハの前に置くと、そのまま「じゃあね。宿屋に居るから何かあったら呼んで。それは貴女にあげるわ」と、優雅な足取りで去ってしまった。
「フランシス大丈夫!?」
リゼリアが身を案じたが、フランシスはひたすらに頭を掻きむしり、地を這いのたうち回るばかりだった。
「その毒よ、妨げよ、乱れよ、今ここに浄化の風を起こし、その病、雫となりて取り払えよ……」
フユハが魔道書に書かれた呪文を唱えるとフランシスの頭の中の痒みが次第に治まり、掻き毟った頭はボサボサになり表情は険しいままであったが、痒みは完全に何処かへと消え去った。
「な、何なのよアイツ……!!」
フランシスは乱れた髪を整え、プンスカと怒りを露わにした。
そしてフユハは、自らの行った解毒術に、唯ならぬ喜びを内側から感じていた。




