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2-5

 その日、毎月最終祝日に行われるバザーに彼女達は訪れていた。


「いつ来ても凄い人の数ね」


 ダンジョンに挑む冒険者たるもの良い物を安く手に入れるため、遠くから足を運ぶ者も居る。街は賑わいとても活気に満ちていた。


 表通りはドロップ品や不確定品が格安で売られており、割とメジャーなアイテムが多く前衛向きの物ばかりであった。


「……安くても使えないんじゃ意味無いわね」


 フランシスは自分にピッタリな物を探し求め、一人フラフラと裏通りへとやってきた。裏通りは盗品や闇品が多く並んでおり、使用に関しても自己責任である。売人も見るからに怪しく、真っ当な人間の方が少なかった。



「ケケ、コッチはお嬢ちゃんの様な子が来る場所じゃないぜ……?」


 見たことの無い光を纏うナイフをチラつかせながら、ゴロツキがフランシスを茶化した。


「私にも扱える武器を探してるの。何か無いかしら?」


 フランシスは警戒しつつも、見たことの無い品揃えに興味を示し、頬に傷のある『いかにも』な男に声を掛けた。男は酒臭い臭いを放っており、頭はフラフラと揺れ今にも寝てしまいそうな程に目は閉じていた。


「ハハッ、こいつはお笑い草だ! お嬢ちゃん白魔道士だろ? 大人しく後ろで回復魔法でもしてな!」


 フランシスの眉がピクリと動いたが、じっと堪えて並べられた品々を端から端まで見つめていく……。



「ん? 何コレ…………」


 それは【ダーツ】だった。戦闘用に丈夫な素材で作られており、先端は針状で刺されば相手にダメージが入る武器である。


「お嬢ちゃんに扱えるかな? ハハハ……!」


「おもちゃのならよく皆で遊んだけど…………」


 フランシスでも持てる軽量武器でありダメージこそは少ないが、遠くから狙える利点があった。


「投げてみていい?」


「一本10Gだぜ? お嬢ちゃんに買えるかな?」


 フランシスはダーツを一本手にし、後退りをし距離を取った。そして6メートル程離れた所から男の隣にあった立て看板へと向かってダーツを放った。


  ──カッ


「ヒューッ!」


 ダーツは看板に刺さり、フランシスは御満悦な顔で30Gを男の前に置いた。


「全財産よ。正確には後4Gあるけれど……これで良いかしら?」


「オーケーオーケー気に入った! 5本やるよ!」


「ホント!? ありがとう!!」


 フランシスは手渡されたダーツを握り締め、喜びのダンスを披露した。



「あ、ところで……コレの前の持ち主って…………」


 ゴロツキの顔がニヤリと微笑んだ。


「名前はケント。職業は【吟遊詩人(バード)】だ。地下二階で死んでた所を俺様が引き取ってやったのよ」


「……ありがと」


 ゴロツキは所詮ゴロツキだと言う事を思い出し、フランシスは静かにその場を後にした。三人と合流し買ったばかりのダーツを見せびらかすと、一人は笑い、一人は拍手し、一人は不思議そうに見つめていた。


 フランシスが遠くの酒樽に向かってダーツを投げると、偶然横切った酔っ払いのお尻に刺さり、フランシスはこっぴどくどやされた。

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