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その日、毎月最終祝日に行われるバザーに彼女達は訪れていた。
「いつ来ても凄い人の数ね」
ダンジョンに挑む冒険者たるもの良い物を安く手に入れるため、遠くから足を運ぶ者も居る。街は賑わいとても活気に満ちていた。
表通りはドロップ品や不確定品が格安で売られており、割とメジャーなアイテムが多く前衛向きの物ばかりであった。
「……安くても使えないんじゃ意味無いわね」
フランシスは自分にピッタリな物を探し求め、一人フラフラと裏通りへとやってきた。裏通りは盗品や闇品が多く並んでおり、使用に関しても自己責任である。売人も見るからに怪しく、真っ当な人間の方が少なかった。
「ケケ、コッチはお嬢ちゃんの様な子が来る場所じゃないぜ……?」
見たことの無い光を纏うナイフをチラつかせながら、ゴロツキがフランシスを茶化した。
「私にも扱える武器を探してるの。何か無いかしら?」
フランシスは警戒しつつも、見たことの無い品揃えに興味を示し、頬に傷のある『いかにも』な男に声を掛けた。男は酒臭い臭いを放っており、頭はフラフラと揺れ今にも寝てしまいそうな程に目は閉じていた。
「ハハッ、こいつはお笑い草だ! お嬢ちゃん白魔道士だろ? 大人しく後ろで回復魔法でもしてな!」
フランシスの眉がピクリと動いたが、じっと堪えて並べられた品々を端から端まで見つめていく……。
「ん? 何コレ…………」
それは【ダーツ】だった。戦闘用に丈夫な素材で作られており、先端は針状で刺されば相手にダメージが入る武器である。
「お嬢ちゃんに扱えるかな? ハハハ……!」
「おもちゃのならよく皆で遊んだけど…………」
フランシスでも持てる軽量武器でありダメージこそは少ないが、遠くから狙える利点があった。
「投げてみていい?」
「一本10Gだぜ? お嬢ちゃんに買えるかな?」
フランシスはダーツを一本手にし、後退りをし距離を取った。そして6メートル程離れた所から男の隣にあった立て看板へと向かってダーツを放った。
──カッ
「ヒューッ!」
ダーツは看板に刺さり、フランシスは御満悦な顔で30Gを男の前に置いた。
「全財産よ。正確には後4Gあるけれど……これで良いかしら?」
「オーケーオーケー気に入った! 5本やるよ!」
「ホント!? ありがとう!!」
フランシスは手渡されたダーツを握り締め、喜びのダンスを披露した。
「あ、ところで……コレの前の持ち主って…………」
ゴロツキの顔がニヤリと微笑んだ。
「名前はケント。職業は【吟遊詩人】だ。地下二階で死んでた所を俺様が引き取ってやったのよ」
「……ありがと」
ゴロツキは所詮ゴロツキだと言う事を思い出し、フランシスは静かにその場を後にした。三人と合流し買ったばかりのダーツを見せびらかすと、一人は笑い、一人は拍手し、一人は不思議そうに見つめていた。
フランシスが遠くの酒樽に向かってダーツを投げると、偶然横切った酔っ払いのお尻に刺さり、フランシスはこっぴどくどやされた。




