第1話
新高一生となる者です。
中三で執筆した「就職活動テロリズム」です。
ぜひ一読ください。
初投稿で緊張しています。
2XXX年
AIはここ半年で急激に発展を遂げた。
「俺の大切な人を返せ!」
俺の名前はけいじ。
大学四年生で就職活動を行っている。
志願する全ての会社のオフィスには椅子がない。
働いているのは、ほぼAIだからだ。
就職活動をする必要がない。
それは優秀でない人間の考えだ。
働かない人間は馬鹿だ。
俺の一族は、みんな賢い。俺よりも。
どんなに頑張っても越えられない壁がある。
そう実感する。
そんな俺の最大の強みは正義感だ。
俺は一般的にいえば、頭脳明晰、気配り上手で器用だと自負している。
俺のような人間は、AIと人間が共に働くべきだと考えている。
「けいじ君、おはよう。お日様の光が心地いいね。」
俺に挨拶をしたのは、圧倒的な美貌の持ち主で、俺の彼女である女だ。
名をあいと言う。
この俺にふさわしい彼女だ。
なにせ、あいはいつも同じ時間に起きている。
さらに、同じ笑顔、同じ声のトーンで挨拶をする。
会社員たちと似ているから、ふさわしい。
そんな思いは胸に秘め、会話する。
「あぁ、そうだな。おはよう、あい。」
「今日もけいじ君は世界一かっこいいね。」
「ありがとう。世界一可愛いあいに言ってもらえると嬉しいよ。」
毎朝お決まりの会話を済ます。
窓の外から叫び声が聞こえる。
おそらく、就職活動に失敗した人達のテロだろう。
「俺の仲間の自由を返せ!」
叫び声が、騒々しいので、防音カーテンを勢いよく閉める。
振り返ると、あいが全てを見透かすような視線を向けていた。
鳥肌がたつのを感じる。
「今日も就職活動するんだよね?」
あいは、分かっていて、なお聞いているんだろう。
いつも、なんでもお見通しだから。
「もちろん。きみと不自由ない暮らしを送りたいからな。」
あいは観察するような目つきで俺を見たあと、首を傾げて俺に問う。
「今は、AIが働いている。しかも、国が生活費を支給してくれている。だから、働かなくていいんじゃない?」
確かに、人手がなくても会社は経営できる。
だからこそ、この時代に会社勤めをしている人間は、「優秀なんだね。」「すごい!さすが!」そう褒められる。
そんなの、これ以上ない幸せだ。
俺は一族の中で劣っていて、褒められなかった。だから、褒められたい。
二人の間を静かな空気が占拠する。
張り詰めた空気から先に逃げ出したのはあいだった。
「何回も言うけど、私はお金たくさん持ってるんだよ。お姉ちゃんが会社勤めして、高い給料を受け取っていて、そのお金を共有しているから。だから、お願い働かないで。」
耳にタコができるほど聞いたその言葉を、あいが発していることに落胆する。
あいは、就職活動の話に関しては、しつこい。
こめかみに力が入るのを感じる。
「俺も何回も言うけど、何かあった時のために働いていた方が安心だろう?」
そう問いかけると、あいは口を開きかけ、閉じた。
「じゃあ、行ってきます。」
新しく、シンナーの香りがするドアをそっと閉める。
面接会場に向かう足取りは重い。
道ですれ違った人のほとんどは、働いていない。
ごく一部、会社員がいる。
その人達は、同じスーツ・歩き方・真顔という特徴がある。
だから、すぐに会社員かどうかが分かる。
さすがエリート。
働こうとしているのは、少数派なんだろう。
だからこそ、褒められる機会のチャンスとなる就活には大賛成だ。
「それでは、なぜ弊社を希望しましたか?」
AIの無機質な声が、問いを投げかけた。
「はい。人間だからこそできる発想を活かしたいからです。」
改めて背筋を伸ばしそう答えた。
「ふむ、なるほど、あなたは褒められたいという承認欲求を満たすために就職活動をしているのですね。」
俺は奥歯を強く噛み締める。
ただの機械に人生の大きな決断をさせられる上、全てお見通しだ。
面接官が人間だったら、本心がバレないのに。最悪だ。
発音体を睨みつけながら、面接を続ける。
「それでは、最後の問いです。あなたは弊社のために、人生を、命を、かけられますか?」
この言葉も耳にタコができるほど聞いた。何十社受けた中で、最後にはその質問を必ずされる。
思わず貧乏ゆすりをしてしまう。
心臓の鼓動が聞こえてきそうだ。
だから、俺はいつも同じ答えを述べる。
「もう我慢できない!命をかけるわけねぇだろ。頭おかしすぎだろ。機械風情が人間様なめんなよ。おめぇらを生み出したのは人類なんだぞ?」
思いきり発音体を蹴りとばし、早口でまくしたてた。
そして、ドアを力任せに閉めた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
初投稿で少し緊張していますが、読んでいただけて嬉しいです!




