私と竜帝様と、姫様の話
竜帝様が私にだけ話があると言われ、姫様とルイ様が先にお帰りになりました。今私はお二人を城の前まで見送りに出たあと、竜帝様の部屋まで戻ってきていました。
私が部屋に入ると、竜帝様は先程までのふざけた笑いを止め真面目な顔でこちらに話しかけてきました。
「嬢ちゃんは…どうじゃ?今日会った様子じゃと、問題なく感じたが」
「そうですね…父君、ラルク様が亡くなられてから一年ほどはあまり笑われなくなっていましたが、最近は以前のように、幼なじみの方とも連絡も取っておられますし問題なく思います」
「ラルクか…あやつは良い友人じゃった…まさか前回の代表戦争に吸血鬼殺しを10人も投入してくるとは思うておらんかった。奴を死なせてしまったのにはワシにも責があるじゃろう…」
「毎回竜帝様を殺そうと躍起になって竜殺しを年々増やしていましたからね…急な作戦の変更に追い付けなかったのは痛いところですが、姫様は竜帝様の事を恨んだりはされてませんよ。だから自分を責めるのはお止めください」
「そうか、嬢ちゃんは強いな…しかしワシは自分で自分を赦せぬ、ラルクの子供達、ユリウスやルージェ、どちらが当主になろうとも戦争で殺させはせんよ。それがワシにできる贖罪じゃ」
竜帝様は生物の始まりからいらっしゃる方です。だから今までも沢山の死を見てきたのでしょう。それでも姫様達を守ってくださると言うのは心強いお話です。
「協力するとは言ったがの…レイラ、お主はそれで良いのか?嬢ちゃんが当主になれば代表戦争に出る。そうなればお主も参戦するつもりじゃろう?」
「それは勿論、竜帝様が守ると仰られても制約を考えれば、私が近くにいなければ万が一に対応出来ないやも知れませんので」
「じゃろうな。しかし代表戦争には当然、天使の楽園の連中がくるじゃろう、顔を合わせないと言うわけにはいかんぞ?」
「そう…ですね…あれから随分と月日も経っていますし、恐らくは平気でしょう。何よりも侍従長たる私が姫様のお側に居ないなど有り得ないでしょう?」
「そうか、そうじゃな。フハハ!本当に時の流れは早いものじゃ!ほんの少し前までワシと結婚すると言っていたレイラが懐かしいわい!」
「そ!それは!若気の至りです!貴方みたいなロリコンなんて頼まれたって願い下げですから!」
数百年前の話を持ち出すなんて!本当にこのロリコンは…
「ふむ、もしお主が嫌がるのであれば、嬢ちゃんへの投票の話は取り下げるかと思っていたが、その心配も無用のようじゃの。嬢ちゃんに嫌われることをせずにすんで良かったわい」
そうして話したいことは終わったと退出を促されましたので、私は部屋を出ました。
「そう…それで良い…ワシは世界と共に朽ちる者。世界は常に新しき変革を求めておる…」
出る直前に竜帝様が呟いた言葉は私に何かを伝えたかったのか、ただの独り言だったのでしょうか…




