イールフさんと食事、1日目夜
皆が戻ってきたので夕食の時間になりました。普段はライネン様が1人で暮らしているので自分で作っているそうなのですが、作っているといってもほとんど肉を焼くなどのシンプルなものばかりらしいのでお世話になっている間は私が料理を作らせていただくことになりました。ヴァンプロード家の料理人達に比べたら見劣りするでしょうが私だってそれなりのものは作れますし、ライネン様よりは間違いなく美味しいものができますから。
結局今日は姫様の様子を見に行くことはかないませんでしたので、食事の間に話を聞きたかったのですが、姫様は考え事をしているようで私が話しかけても上の空のようです。仕方が無いので一緒に居たテオ様に話を聞くことにいたしましょう。
「テオ様、姫様の修行に付き合っていただきありがとうございます。本日の修行の様子をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
私の質問に返事をしたのはテオ様ではなく、姫様に修行をつけていたイールフ様でした。
「今日はお互いに素手でプロテクターへの攻撃をする訓練をしてたんだけどな。姫さんのこと結構ボロボロに負かしたから悔しいみたいでさ。反省点やら色々考えてるみたいだ」
なるほど…確かに今の姫様ではイールフさんに勝つのは厳しいでしょう。
「でもルージェちゃんもすごい勢いで成長してたよ、後半は結構イーちゃんもプロテクターに当てられてたよね」
「あれは!アタシが手加減してあげただけだ!最後までぼこぼこじゃ可愛そうだろ!?」
テオ様が姫様のフォローをする発言をするとイールフさんはそれを強く否定しました。この感じはもしかすると…?
「イールフさん、貴女テオ様のこと…「あーあー!今日は本当疲れたよな!早くご飯食べて寝ようぜ!明日も修行は続くんだしな!」
私が言おうとしたことをなんとなく察したのでしょう、イールフさんは私の言葉をさえぎってご飯をかき込みはじめました。
「うまっ!普段のご飯の数倍美味いんだけど!?これ作ったのレイラさん?」
誤魔化すために食べたご飯が予想以上に口にあったのでしょう。眼を輝かせながらこちらに聞いてきました。
「ヴァンプロード家の料理長が作るものに比べれば劣りますが、お口に合ったようで何よりです」
「修行の終わった後の合間でいいからさ、これアタシにも作り方教えてくれないか?」
恋する乙女は日々精進ということでしょうか。これだけ思われているとはテオ様も幸せ者ですね。そう思いテオ様を見てみるとこちらの話は聞いていなかったようで、ライネン様と二人でご飯が美味しいと話をしているようです。
「私でよければ構いませんよ」
「ありがとうレイラさん!これでテオも…ふふふ」
テオ様に食べてもらっているところを想像しているのでしょう。にやけ笑いが抑えきれずに表に出てしまっています。流石にその顔をテオ様に見せるのは不味いでしょうから軽く釘を刺しておきましょう。
「教えるのは構いませんが美味しくできるかは本人の努力の問題ですよ?」
ハッと我に返るイールフさん。できればイールフさんの恋は応援したいですが私の最優先は姫様ですからね、その姫様はといえばご飯を食べてはいらっしゃるのですが、やはり思考の海に沈んでいるようで黙々と食べていらっしゃいます。
結局修行の様子を聞くことはあまり叶わず、ご飯を食べ終わった姫様はイールフ様の部屋に連れて行かれてしまいました。テオ様とライネン様も自分の部屋に戻られてしまいましたし、私も後片付けを終わらせたらお借りした部屋で寝ることにいたしましょう。
食事中静かだったライネン様ですが、部屋に戻る前に私に明日の決闘についてだけはしっかり伝えていきました。何も言われなければ聞いていないでごまかしてしまおうかとも考えていたのですが、結局それも不可能のようです。あぁ、姫様成分が足りません!




