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錬換武装ディールナイト  作者: 庵字
第1話 ディールナイト誕生!
25/414

歪む視界(プロローグ 25/25)

「やめろ亮次(りょうじ)


 背後から声が掛けられた。振り向くまでもなくその声の主は分かる。


「伯父さん……」


 私は正面の操作パネルを見たまま答えた。


「伯父さんなんですよね。これの原因は。いったいどうやったんです? 監視カメラの信号に細工して、映像をすり替えることは想像つきますが、これを動かなくすることができるなんて……」


 私は何度指を滑らせても一向に反応しない操作パネルから、伯父のほうに顔を向けて言った。


「諦めろ。それはもう動かん」


 髭に囲まれた伯父の唇がゆっくりと震えるように動き、その言葉を漏らした。


「伯父さん」


 私は体ごと向け、


「あなた、いったい何者なんです? この遺跡について何を知ってるんです? 錬換(れんかん)といい、おかしいですよね。あんなテクノロジーをいったいどこから……」

「お前を行かせるわけにはいかないんだ」


 伯父は私の質問には答えず、変わらぬ、ゆっくりと漏らすような口調で言った。無論、返答がもらえるなどという期待はしていなかったが。


「……それはいいです。伯父さんが何者かなんてどうでもいいです。でもこのお願いだけは聞いて下さい。私を向こうに行かせて下さい。もうあんなヘマはしません。隊長と田中さんがいれば大丈夫です。私に、あの世界を見せて下さい。探検させて下さい。あの星、あの世界、何て言うのが正しいのかわかりませんが、あそこに行きたいんです!」


 私の訴えを聞いた伯父は、諦めきったような顔になり、ため息をひとつつくと、


「お前は子供の頃、冒険ものの小説や映画、アニメなんかが好きだったな。お前を連れてきたのは失敗だったよ。亮次、もう帰ろう」

「帰るって、どこ――へ――」


 目に映るものが歪む。

 伯父も。

 遺跡の壁も。

 透明なチューブも。

 そして段々と目の前が真っ暗になっていき……

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