表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アマリリス  作者: 飴屋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/9

9 マフラー

村長の家を出ると、外はどんよりと曇っていた。


「雪が降らないといいけど。寒いのは嫌いなんだろう?」

「嫌いよ。だから、急ぎましょう」


アヴィオールが寒い中自分のマフラーを外そうとしているのを見て、アマリリスは駆け足で管理人の家に向かった。


「アマリリス、待って」

「待ちません」

「シルビア?」

「違います」


アマリリスが答えると、背後からクスクスと楽しそうな笑い声が聞こえた。


「ありがとう、これで候補が一つ消えた」

「あっ…」


そうか。ここは思わせ振りな態度を取ったほうが良かった。

何せ回答権は一つなのだから。


「…たった一つ消えたくらいで…。名前なんてたくさんあるし…」

「その割には悔しそうだけど」


図星だった。

アマリリスはふてくされた。


「私はそんな腹芸なんて出来ないわ」

「腹黒なシスターはちょっとどうかと思うから、君はそのままがいいよ」


隣に立つアヴィオールが、手に持っていたマフラーを持ち直した。

思わず、アマリリスは一歩後ずさる。

その様子を見て、アヴィオールは苦笑した。


「君の首元が寒そうだから、かけてあげたかったけど。そんなに俺のマフラーが嫌なら、我慢するよ。だからお願いだ、俺から逃げないで」


やっぱりそうだったか。


アマリリスが教会から支給された防寒具は、手袋とケープだけで、マフラーは入っていない。

個人で用意するしかないのだ。

アマリリスはマフラーを買えないわけではなかったが、必要性を感じなかったので買わなかった。


「あなたのマフラーだから嫌だったんじゃないの。…ただ…」


私のためにとマフラーを外して、あなたが風邪を引いたらどうするの。


大袈裟なのは分かっている。

それでも、どんなに悲しそうな顔をされてもアマリリスは、アヴィオールのマフラーを受け取ることは出来ない。


「なら、君にはいつか、赤茶色のマフラーを贈ろう。それまで、待っていて」

「いらないわ」


条件反射で即答する。

そろそろ気付いてほしいところだ。

アマリリスは、アヴィオールから何かを受け取る気は全く無いと言うことに。


「そうか。じゃあ、違う色にしよう。艶やかなきれいな黒髪には、何色が似合うかな。神秘的に輝く銀色の瞳に合わせて…、いや、何色でも似合ってしまいそうだ。困ったな…」

「…」


全く気付く気配はなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ