表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アマリリス  作者: 飴屋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/7

1 出発

「アマリリス! もうこれくらいにして、一旦教会に帰らないかい?」

「アヴィオール。私、寒いの大嫌いなの。置いてきますよ」

「だったら、俺の屋敷においでよ。暖炉に薪をたくさんくべて、砂糖とクリームを山程入れたホットチョコレートを用意するよ」

「甘いものは嫌い」

「じゃあ、スパイスたっぷりのホットワインは? それとも、君の好きなじゃがいもがゴロゴロ入ったシチュー?」


持っていた旅行鞄を置いて、アマリリスはアヴィオールに向き合った。

それだけで、アヴィオールは嬉しそうな顔をするのだから、呆れてしまう。アマリリスは今、眉間にシワを寄せ険しい顔をしているというのに。


「ほら、街行きの馬車乗り場は向こうだ」


言いながらアマリリスの鞄を持とうとするので、慌てて取り返す。


「自分で持てます。そうじゃなくて、私は、教会に戻るつもりも、あなたのお屋敷とやらに行くつもりもありません」

「ホットワインは?」

「嫌い」

「それじゃあ、シチュー?」

「…いらない」


そう答えるとアヴィオールは、まるで眩しいときのように目を細めて微笑んだ。


「アマリリス。慎ましやかで贅沢を好まない。君は本当に教会の者のお手本となる素敵なひとだ。だけど、こんな寒いなか任務を遂行しなくても、誰も怒らないよ? この寒さで君が体調を崩すほうが大問題だ」

「平気よ。私、風邪なんてここ数年引いたことないもの」

「それは、すごいな。秘訣を聞いても?」

「思いっきり、体を動かすの。例えば、魔獣退治とか」

「…」


アマリリスは立ち尽くすアヴィオールを放っておくことにして、歩きだした。もちろん、早足で。


「待ってよ」

「待ちません」


じっとしていたら寒いのだ。待つわけがない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ