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第71話 成り行きでケンカ祭り!?

 戦だ。

 となったわけだが、想像していたのとは全く違った。

 その原因は直前まで行われていた宴会のせいだというのは解っている。解っているけれども――

「なんでみんな来ちゃったんだろう」

「そりゃあ、祭りだと思っているからだろ。現世でもあるだろ、ケンカ祭り」

 自分たちの後ろをぞろぞろと妖怪たちが歩いてきている。それはまさに百鬼夜行だ。そんな状態で鬼たちが決戦場と定めた羅城門付近まで行くのだから、そりゃあもうお祭りみたいだ。

 ちなみに鈴音は狐たちが担ぐ輿の上、健星はスーツ姿で馬上にある。これだけでも異様だ。

「まっ、これだけ騒いでいたら、大きな戦闘になっても平和的だろうな」

「戦闘なのに平和的って」

 言葉として矛盾していないと思ったが

「なるほど。弓矢も刀も要りませぬか」

 将門ががっかりとそう呟いた。そう、彼だけ本格的な戦支度をしていた。甲冑を着て弓矢を背負い刀を持っている。しかし、それらが活躍しそうにないと解って悲しいようだ。

「ま、将門さん。守ってね」

 鈴音は慌てて他がケンカに回った時によろしくとお願いしておく。すると将門は

「もちろんでございます」

 ふむと顔を引き締めた。よかった、取り敢えず機嫌は直ったらしい。

「あっ、あれでございますよ」

 そんな話をしていたら、ユキが指差す方向に目の前に煌々と松明を焚く一団が見えていた。するとなぜか健星がホイッスルを構える。

「えっ? 健星」

「鈴音。笛がなったら大声で『見合って見合って』と言え」

「ええっと、それ」

 お相撲のあれですか。そう訊こうと思ったのだが

「敵が見えたぞ」

「おおっ」

 後ろの妖怪たちが盛り上がり始める。ああ、ダメだ。みんな酔っ払ってるんだ。鈴音はようやく正しく状況を理解した。だから戦闘が平和的なのか。ケンカ祭りなのか。

 妖怪たちは鬼との戦争なんて知らないから、そういうものだと解釈しているってことなんだ。そして、その状況に持ち込んだのは右大臣と左大臣・・・・・・

「ああ、ダメだ。仕組まれている」

 何なのよ、もう。鈴音は頭を抱えるが、盛り上がる妖怪たちに呼応して、鬼たちも

「うおおおおっ!」

 と雄叫びを上げている。もう止まらないぞ、これは。

 そこに高らかに鳴り響くホイッスルの音。両軍の興奮が一度落ち着くのが解る。

「み、見合って見合って!」

 鈴音が大声で言うと、それぞれが駆け出す前の体勢に入る。ええっと、これ、お相撲と同じでいいのかな。一瞬疑問に思ったが

「はっきょい、残った!」

 そう声を掛けると、妖怪も鬼も一斉に駆け出していく。そしてすぐに始まる乱闘だ。ちぎっては投げちぎっては投げ、そんな戦闘があちこちで繰り広げられる。

「ええっと」

「ふむ。予想通り」

 これって合ってるのという鈴音の疑問とは違い、やれやれという感じの健星だ。

「なに、不満はこういう祭りで発散させるのが一番だからな。鬼だって、発散できれば黙る」

 そしてそんなことを付け加えてくれた。

 まったくもう、妖怪ってこういうところが適当よね。

 鈴音は今までの緊張感を返せとばかりに溜め息だ。

「が、これだけでは話が終わらん。鈴音、あと一時間したら変化しろ」

 しかし王として、九尾狐としてやることがあるぞと言われ、そうなのかと気を引き締め直す。が、はたと気づいた。

「ねえ。変化の練習があったのってもしかして」

「戦になったとしても、九尾狐が最後治めないことには、王座が確定しないだろ」

 別にケンカ祭りは当初の予定じゃねえよと、健星は自分まで疑われたのが不快なのか鼻を鳴らす。まあ、そうか。健星って発言がストレートだし、陰謀を巡らすのは嫌いな感じだ。ここまでのことは、まさに成り行きなのだろう。

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