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2.私だけが知らなかった

ドアの近くで婚約者と肩を抱いている女性を見かけ、唖然としていたら、教室の中にいた女生徒たちが

「2人のお姿はいつ見ても絵画のように美しいですわ」

「やっぱりユージン様の婚約者の方とは大違いですわ」

という心無い声が聞こえてくる。


私は廊下を駆け抜けた。


そう私だけが知らなかったのだ。

お2人が相思相愛だということを。


全てが繋がった。


お茶会が延期されることも廊下で目が合っても逸らされることも。


ユージン様の心に私はもういないということも。


とても大切だった。

小さい頃から家族と思って過ごしてきたけれど、いつからか大人になったユージン様に恋をしていた。


婚約者でいればまた昔みたいに笑いかけてくれるかもしれない。


そんな夢物語を信じたいと思っていた。


でもわかっていた。


これは夢じゃなくて現実で、ユージン様に恋しているのは私だけ。ユージン様は私を嫌っているということを。


廊下をかけ抜けて学園の門で待っていた馬車に乗って家に戻った。


泣きながら駆け抜けたのでたくさんの人の視線を感じたがそれところではない。


家に戻るとお父様とお母様に会ってしまった。

泣いている私を見てどうしたのか聞いてきたが、今は1人になりたかった。

そんな私にそれ以上聞き出そうとしなかった両親に感謝だ。


部屋に戻ると着替えもせず、ただベッドで泣き続けた。侍女が一度ノックしてきたが、布団にくるまって寝たふりをした。目から涙が止まらない。


それから2日。

学園を休んだ。

目から涙が出て止まらないし、腫れている。

何よりまた2人を見たら辛い。


3日目、学園の友人のエミル様が屋敷に訪問したいと連絡がきた。

同じクラスでいつも一緒にいる気兼ねなく過ごせる友人だ。

酷い顔ではあったが会うことにした。


エミル様は私の顔を見るなり立ち上がり、抱きしめた。私の顔を見て、

「心配してたのよ。学園にも来ないし、色々合ったのを聞いたわ。」


「ありがとうございます。そんな噂が流れてしまっているのでしょうか…?」


「いいえ。たまたま隣のクラスの友人から聞いただけ。」


「そうなんですね。このことは私以外は皆知っていたことなんでしょうか…?」


「私は知ってたけれど、ここまでとは知らなかったわ。幼い頃からの婚約者なのだからそんなことないと思っていたの。ごめんなさい、もっと早く教えていれば…」


「エミル様が悪いわけではないので謝らないでください。私だけが知らなかっただけなのです…。」


「あの地震の後、ユージン様から連絡はあったのかしら?」


「学園を休んでいることに対して体調を気遣う連絡がきていたようです。」


「ユージン様は何を考えられているのかしら!婚約者を大事にしないなんて!」


エミル様が怒ってくれて少し救われたが、事実は変わらない。

私だけが知らなかった。

ユージン様の心に私はとっくにいなくなっていたことを。


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