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第40話 「クレオ奮闘する!」

クレオ、焦ってます。



「キィエェエェエェエェエェ~~~!!」


「「「あっ!!」」」


「なんで?! ロプロプ!!」


「なになになに?! どういう事?!」


「あ、アッチです!!」


 タッタッタッタッ・・・!


「あっ! ワイサ!?」



 ワイサは、ロプロプの声のした方向を指差し走って行った!

 トロとナディーもワイサに続いて走った!

 ロプロプの声のした方向には森があった。

 雄叫びを放つという事は、魔物を引き寄せているって事だ。

 まさか、クレオの身に何かあり、ロプロプがクレオを助けるために雄叫びを放ったのでは?と思った。

 いったい、クレオに何があったのか?

 トロは、生まれて初めて、大切なものを失うかも知れないと言う怖さに震えた。




 ••✼••テントから離れた森••✼••



「ワイサ! 方向は解るか?」


「索敵を使います!」


 ブゥン・・・



 ワイサは、索敵スキルを発動した!

 今のままの進行方向に、約100m先に魔物達とクレオとロンデル達の反応があった!

 ただ、木々に阻まれて目視ではよく遠くが見えないし、簡単にすぐには近付けない。

 でも魔物の反応が、白に近い色で戦意損失している状態。

 恐らく、ロンデルの【威嚇スキル】によって怯えているのではないかと思われる。



「どうやらロンデルさんの威嚇で、魔物達は戦意損失状態みたいですね!」


「なるほど! やるなアイツら」


「じゃあやっぱり、クレオは狩りをしているってこと?」


「そうみたいだな」


「でも、なんで?」


「おそらくクレオのヤツ、1番レベルが低いのと、戦闘職じゃないから直接攻撃する事が無いだろ?

 だから経験値は全パーティーへの等分に分配された参加報酬的な経験値しか入らないんだよ

 面白いように良く出来ているもので、直接魔物を倒した者と、俗に言う『寄生』しているだけのただ戦闘に参加しているだけでは、配分される経験値はかなり差がある!

 ほら、ワイサと、俺やナディーのようにね!」


「ううむ・・・」



 この世界では、戦闘状況も攻撃後の与えたダメージや、戦闘終了後の獲得した経験値なども数値化されてAR表示されるのだ。

 また、戦闘状況を音声でも確認できる。

 それらは、その表示も細かく表示設定がONとOFFができて、音声も鳴らすかどうかもONとOFFができる。



「ふうん なるほど 確かにそうよね!

 以前にもトロが言っていたように、ワイサが直接魔物を倒した時の経験値と、私達のように直接魔物を倒せない非戦闘職にも等分に分配される経県値とでは、明らかに差があるみたいだものね!」


「そうなんだよ!

 まあ、普段は全ての戦闘状況の詳細な数値や音声は、場合によっては戦闘の邪魔になるから表示や音声をOFFにしているけどね

 戦闘終了後に表示される各々が獲得した経験値を見て、そのあまりの差に驚くときがあるよ

 だからクレオは、今までのように戦っていたんじゃ、他のメンバー達には追い付く事などできない!

 だからきっと、俺達にも追い付きたくて、1人で戦おうとしているんじゃないのかな?」


「ふぅん・・・そっか クレオはきっと劣等感を感じていたのね?

 以前のパーティーのように、1人置いていかれると思ったんじゃないかしら?」


「でも師匠? それならクレオは、どうやって1人で魔物を倒すって言うんですか?」


「それはたぶん、ロンデル達に魔物のHPを瀕死状態にまで削らせて、最後のトドメの一撃をクレオが入れるんじゃないかな?」


「「なるほど・・・」」



 トロの予想は当たっていた。

 この世界では、戦闘での入る経験値は、直接倒すときと、従魔を操って間接的に倒すときとでは、入る経験値には差がある。

 なにせ従魔が直接攻撃して倒すのだから、当然従魔に経験値が入り、そのお零れ的に従魔の主人にも経験値が入るシステムなのだから仕方がないっちゃ仕方がない。

 それは、戦闘時の貢献度によって経験値の獲得数値が変わるシステムだからだ。

 1人で魔物を倒せば貢献度は100%だが、同じパーティーに参加しているだけならば、貢献度は5~10%程度である。

 また、非戦闘職ではあるが戦闘職にバフなどで戦闘が有利になるように貢献したなら、魔物を倒した時に入る経験値は25~35%である。

 なので、トロ、ナディー、クレオでは、最高でも戦闘終了時に入る経験値は、最大でも35%程度どなる。

 でも、少しでも直接ダメージを与える事ができたなら、さらに5~10%の経験値がプラスされる。

 またさらに、パーティー内で、ワイサの様に1人で1体の魔物を直接倒せば、その時に追加でボーナス的に経験値がプラスされる。

 つまり、魔物を倒して獲得できる基本的な経験値と、倒した時のボーナス的な経験値がプラスされるのだ。

 それを考えると、ワイサの強さの秘密が解った気がする。

 ソロで魔物を倒すのだから、経験値は全て自分のものだし、倒した時にプラスされるボーナス的な経験値も入るので、そりゃあ強くなるのは必然だな。


 だから、この経験値の配分性をよく理解し知っていたクレオの前パーティーのリーダーは、クレオには荷物持ちとして絶対に戦闘には参加させなかったのだ。

 なので当時のクレオでは、パーティーに参加しただけのお零れ的な経験値しか入らなかった。

 だから、仲間達からはレベルの差は開くばかりだった。



「とにかく、ロンデル達が居れば大丈夫だろう

 少し、様子を見ようじゃないか?」


「「うん・・・」」



 クレオ達が狩っている魔物は、森の中に湧く魔物でそれほど大きくもなく強力な奴ではない。

 ダチョウサイズの、フォレスト・ビッグ・バードと呼ばれる、頭が獣脚類のように大きく、身体はずんぐりと太ってるように丸く羽におおわれ、足はまるで恐竜のような足で二足歩行だ。

 それでも鳥の仲間なのか、一応は小さな翼らしきものがあり『飛べない鳥』のような姿だ。

 

 戦法はロンデルの【威嚇】と、ロプロプの【威圧】で完全に魔物の戦意を損失させて、完全に無力化した魔物に【倦怠感催眠】でさらに全ステータスを下げて、ロンデル達の攻撃で魔物を瀕死状態にまで追いやり、最後の一撃を直接クレオが入れる!

 これにより、クレオに入る経験値は、戦闘貢献の35%の経験値に、倒した時のボーナス的な経験値が入るので、普通にパーティーで狩りをするよりも断然経験値の獲得数は向上する。

 ロンデル達も、物理や魔力の制御能力もアップ!

 お互いにWin−Winなのである。

 


「ふふふ なかなか頑張ってるな」


「そうね!」


「・・・」



 こうして、クレオとロンデル達の狩りは、日が完全に登るまで続いた。

 これにより、クレオのレベルはグン!と上がった!

 そして新しく、【自己闘志向上催眠Lv2】【自己防御力向上催眠Lv2】を覚えた!

 これにより、自分のステータスも上げられるようになった!

 催眠術とは、自分にはかけられないものと思っていただけに、クレオ自身も嬉しさは爆発的だった!




 ■===========■

 ・⋯━☞STATUS☜━⋯・

 ■===========■

 名前 クレオ

 性別 男

 年齢 15

 種族 人族

 職業 催眠術師

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 状態

【健康】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 LV 428

 HP 528

 MP 3922

 STR 62

 ATK 66

 DEF 33

 DEX 62

 INT 208

 MAT 41

 SPD 62

 LUK 103

 EXP 5640150

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得魔法

 【電撃魔法Lv4】【ヒールLv4】【ハイ・ヒールLv4】

 【ピュリフィケーションLv4】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得スキル

【闘志向上催眠Lv6】【倦怠感催眠Lv6】【混乱催眠Lv4】

【恐怖払拭催眠Lv4】【狂戦士催眠Lv5】【限界突破Lv5】

【隠密Lv4】【眠りLv4】【索敵Lv4】【変身Lv5】【鑑定Lv4】

【自己闘志向上催眠Lv2】【自己防衛力向上催眠Lv2】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 称号

【奮闘する者】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 資格

【アクアマリン級冒険者】

 ■===========■




「ふう・・・クレオ殿! そろそろ戻る方が良いかと」


「あ! そうですね!

 今日もありがとうございました!」


「いやいや また声を掛けてくれたなら、何時でも協力いたしますぞ!」


「おう! 何時でも言ってくれ!」


「まっかせてよ!」


「ありがとう! みんな本当にありがとう!!」


「「ふふふ・・・♪」」


「・・・」



 そんなクレオを見て、トロとナディーは微笑ましく思った。

 だがワイサは、複雑な心境だった。

 同じ冒険者なのに、どうしてこんなにも違うのだろうか?と。

 ワイサは、これまではずっと1人でソロの冒険者として活動してきた。

 なので、時には挫折しそうな事もあったし、冒険者を辞めようかとも思った事さえあった。

 今では、師匠と出会って自信もついてきて仲間もできた。

 それでも戦闘スタイルは以前と変わらない。

 戦闘は決して楽ではないが、仲間達を庇えるくらいには、かなり強くなれたと自負している。

 それでも、やらなければ、やられてしまうから。

 なのにクレオは、始めの頃こそ大変だっだろうけど、今は言い方は悪いがクレオの様に他人の力で強くなれるのが、なんとも羨ましいやら歯がゆいやら。

 


「ん? どうしたワイサ?」


「え? いえ! なんでもありません!」


「・・・?」



 トロは、ワイサの様子が少し変なことに気付いてはいたが、何かあれば自分から話してくれるだろうと、あまり気に留めなかった。

 ワイサにとっては、とても話せるような事柄ではないが。

 それはそれとして、トロ達はクレオが狩ったフォレスト・ボアを解体して捌いて、肉焼きセットで朝から肉!肉!肉!

 もし身体が54歳のオッサンのまんまだったら、胃がもたれて死にかけていたな・・・(汗)

 肉が美味い! サイコー!

 若いピチピチな身体バンザイだ!



「さあ! 出発するぞ!」


「「「はい!!」」」



 トロ達は、また東海岸の街へ向かって出発だ。

 途中でまた一夜野営をして、『リトキヤ村』に到着。

 早速、宿屋で部屋を取る。

 


 ••✼••リトキヤ村宿屋••✼••



「いらっしゃいませ!

 これはこれは 人族のお客さんなんて久しぶりですね」


「あれ?! そうなのですね?」


「はい 人族の方々には、このイノセント王国の魔物に対抗できるレベルの冒険者は少ないですからね」


「おお・・・なるほど(汗)」


「「「・・・」」」



 確かに、そうかも知れない。

 イスヤリヤ王国の最強と言われる『トロ達と愉快な仲間たち』のワイサに継ぐ冒険者と言えば、もうすぐアクアマリン級に届くと言われる『勇者パーティ』であり、その次はオパール級の冒険者達くらいなものだ。

 そんなオパール級の冒険者達ですら、イノセント王国にはまだまだ進出できないでいる。

 昔は、アクアマリン級の冒険者達はゴロゴロ居たそうだが、魔族と手を組むようになってからは、人族の冒険者達のレベルも下がる一方だとか。

 だれが何のために流したのか、『人族はレベル99を越えられない』という嘘が常識化していて、未だにそれを信じる者さえ居るくらいだ。

 今では『限界突破』を覚えて人族でもレベル100を越えられる事は当たり前になりつつある。

 このイノセント王国にも、人族の冒険者達が増えてくるのも時間の問題だろう。

 なので今のイノセント王国では、冒険者達よりも商人達の方が多いようだ。

 そのせいか、魔族の冒険者達から見れば珍しさからか、トロ達を好奇な目でジロジロ見る者達でざわついていた。

 なんだか、居た堪れない。

 ここに居る魔族の冒険者達よりは自分達パーティーの方が強いと自負しているが、自分達は少女ばかりのパーティーであり、魔族達の冒険者達は恰幅の良い見た目剛腕な冒険者ばかりだ。

 見た目だけで圧倒される。

 ワイサなら何も問題は無いが、トロでは彼らと1VS1ではまったく勝てる気がしない。

 そりゃそうだ。トロは非戦闘職であり、魔法が得意な『賢者/テイマー』である。

 身体を男に戻せば、STR300越えで、ATK200越えのステータスをフルに活かせるので、そこそこ物理でも戦えるのだが・・・

 男の身体に戻っても、精神の急激な変化ですぐに女に戻ってしまう身体では、1対1での対決は怖くてできないのが現状だ。

 何時かは男のままで安定して冒険者ができるようになる事を目指して頑張るしかない。


 宿屋の部屋を取ったら、次は冒険者ギルドだ。




 ••✼••リトキヤ冒険者ギルド••✼••



 リトキヤ冒険者ギルド内には、巨大な鳥の骨格標本が、まるで地球でよく見る恐竜の骨格標本のように飾られている。

 その大きさときたら、まるでティラノサウルスだ!

 確かこのリトキヤ村とは、鶏肉料理が有名らしい。

 なぜならこのリトキヤ地域では、鳥型の魔物がわんさか居るのである。

 もちろん、鳥以外の魔物も沢山居るが。

 大きさ的には鶏サイズから、ティラノサウルスサイズまで。

 後で、鶏肉料理を堪能しようと考えていたら、いきなり冒険者ギルドの受付嬢に声を掛けられた!



「ようこそ! リトキヤ冒険者ギルドへ!」


「どうも・・・(汗)」


「お噂はかねがねですよ! トロ様!」


「はい? トロさまぁ?」


「「「トロさまあ~~~?」」」



 なんだか冒険者ギルドの受付嬢の反応がやけに上機嫌だ。

 なんだろう?

 でも、このリトキヤ村の冒険者ギルドにも、トロの名前が轟いていたなんて驚きだった。

 人族の少女ばかりのパーティーだから目立つのは仕方がない。

 なんでもトロは、今世紀初の人族でアース・ドラゴン討伐に成功したパーティーだったんだとか。

 そりゃあ、騒がれるわ。

 そして・・・



「貴女がワイサさんですね?」


「へっ?! あ、はい? まあ、そうですが・・・(汗)」


「貴女も、お噂はかねがねですよ!

 アース・ドラゴンを一刀両断ですってね!」


「「「「おおおおおおっ!!」」」」


「え? そんなっ・・・(汗)」




 なんと! ワイサの情報もこのリトキヤに轟いているようだった。

 それに、『アース・ドラゴンを一刀両断』の言葉で周囲がざわめいたのはなぜだろうか?

 魔族の冒険者達も驚いていた!

 実は魔族でも、アース・ドラゴンを一刀両断できる冒険者はそうそう居ないのである。

 ただ1人だけ、アース・ドラゴンクラスの1000体もの魔物を一撃で一掃したという魔女が居たらしいが、今は大人しくして姿を消しているとか。

 他は、魔王の持つ魔族の魔物ハンターの尖鋭達に、アース・ドラゴンを一撃で倒せる者が数人居る程度だ。



「そしてそちらの貴女が、『シンニング・テイマー』のナディーさんね!」


「ひえ?! あ、はひぃ!」


「『シンニング・テイマー』って、初めて聞くジョブなのよね!

 確か、歌をうたうことで、従魔達を操り敵と戦うんですってね!」


「は、はい~~~(汗)」



 確かにそうである。

 『シンニング・テイマー』とは、『戦いの歌』などの歌をうたって従魔を操り敵を倒すテイマーとして、冒険者ギルドにも新規のジョブとして登録されたのだ。

 『戦いの歌』とは、もちろんナディーが即興で歌うのだが、今ではトロが日本の子供向けの歌や昭和のアニメソングなどをもじった歌などを教えたものをうたってるのだが、なぜかトロが教えた歌の方が攻撃力が上がるという不思議な事が起きていた。

 


 例えば、母親を探して旅をするハチの男の子が主人公の昭和アニメのテーマソングの『クマバチ ハッチン』の替え歌で・・・


 ゆっけ~! ゆけ~! シーシ~! リリーとレ~レ~~~!

 飛っべ~! 飛べ~! シーシ~! リリーとレ~レ~~~!

 見た目は小っちゃな女の子だけど

 こんなに強いぞ 頑張るぞ~~~

 み~ん~な~友達~~~仲間~だ~け~れど~~~

 誰よりも つよ~~~く~~~ なりた~い~ぞ~~~

 たったっかえ~~~ シーシ~! リリーとレ~レ~~~!

 つよ~い 強い~~ シーシ~! リリーとレ~レ~~~!

 戦え~~~!


 なぜかこの歌をナディーが繰り返し歌うと、なんと通常攻撃力が以前の1.5倍になったと言う。


 他にも、【従魔の増強の歌】や、【従魔の防御の歌】などにもトロの替え歌があるが、ここでは控えておく。



「そして、そちらの小さな貴女?」


「はっ! はい!」


「貴女がクレオ様? 催眠術師ですってね!」


「あ、はい!」


「催眠術師も、また新しく冒険者ギルドに登録されたジョブなのですが、面白い情報がありますよね!」


「え? 面白い情報?」


「あら? もしかしてまだご存知ではない?」


「「「「・・・???」」」」


「実はですね、魔族の中にも1人だけ『催眠術師』が現れたのですが、催眠術では、仲間にかけた催眠術に、『条件反射』を与えるだけで、ほぼ同じ効果を発揮できるようになるようですね!」


「「「えっ?!・・・」」」


「条件反射を与える事によって、それまで催眠術を施し効果が現れるまですこし時間がかかるところを、『条件反射』によって瞬時に効果が現れるようですね!

 とても素晴らしい能力です!!」


「え?・・・ぼ、僕そんなの知らない・・・(汗)」


「「「えええっ?!」」」


「どう言う事だクレオ?」


「え? だ、だって本当に僕、条件反射なんて知らないです」


「「「はあ~~~?」」」


「・・・あら?

 では、まだクレオ様には『条件反射』のスキルはまだ発現されていないようですね?

 今後に期待できる能力なので、ご説明いたしますね!

 『条件反射』とは・・・」



 受付嬢の話しによると、どうやら魔族にも催眠術師が1人で現れたらいしい。

 そしてその催眠術師には、『条件反射』というスキルが発現し、仮に条件反射として、『指パッチン』を設定すれば、次回から一々催眠術を施さなくても、『指パッチン』するだけで、催眠効果が現れるとの事だった。

 それは確かに素晴らしい能力だ!

 例えば、今までのクレオの催眠術を見てきた限りでは、仲間1人に催眠術の『闘志向上催眠』を施すのに『約5秒~8秒』ほど時間がかかっていた。

 だが『条件反射』を設定する事によって、初めから催眠術を一から施す手間が省ける訳だ。

 つまり、条件反射の『指パッチン』だけで、『闘志向上催眠』にかかるのだ!

 これはかなりの時間短縮になる!

 ただ、『条件反射』とは、仲間に対しての催眠術に限った事だ。

 でもクレオはまだ、『条件反射』は覚えていなかった。



「え? まだ条件反射は覚えていないのかクレオ?」


「あ、はい 覚えて・・・ません・・・(汗)」


「「「・・・」」」



 この時クレオは、『自分はまだまだダメだ』と思った。

 魔族に居る催眠術師は、既に『条件反射スキル』を覚えているのに・・・

 でもクレオは、腐らなかった。



「で、でも僕頑張ります!!」


「「「!!・・・」」」


「僕も早く条件反射スキルを覚えて、仲間の皆んなの役に立てるように!!」


「「「!・・・」」」


「そうだな!」


「そうよ! クレオ!」


「ああ、頑張ろうぜ! クレオ!」


「はい!!」



 こうしてクレオは次の目標として、『条件反射スキル』を覚えるように頑張ると誓うのだった。

 だが、そんなトロ達を見詰める者が1人居た。

 その者は魔族ではあるが、見た目は額に1本の小さな角が生えているだけの、ほとんど人族と見分けがつかない者だった。

 身なりからすると、貴族の娘ではありそうな、ちょっとした良い所出の娘を思わせる、オシャレなドレスを着ている、とても可愛らしい魔族の美少女だ。

 彼女に気付いたトロだったが、彼女と目が合うと、彼女は少し笑みを浮かべるとトロに近付いて来た。

 そして、少しオロオロしながらも、トロに話し掛けてきた。



「あ・・・あの・・・(汗)」


「ん? なにか俺に用かい、お嬢さん?」


「突然話し掛けて申し訳ありません

 貴女達が、『トロと愉快な仲間たち』のパーティーですか?」


「! ああ、そうだけど 君は?」


「あ、はい 私は一応冒険者なのですが、実は職業が不明なんです」


「はい?!」


「「「ええっ?!」」」


「ちょ、ちょっと待ってくれ!

 職業が不明とは、いったいどう言う事なんだい?」


「はい・・・実は・・・」



 彼女の話しを聞くと、実に不可解ではあるが興味深いものだった。


 彼女の名は、『エヴァ メルフォール』というらしい。

 元は、メルフォール男爵家の第3女だとか。

 メルフォール領では、宿も無く、商店すらも無く、男爵の屋敷の他、点々と百にも満たない民家があるだけの小さな領地を運営する貧乏貴族だとのこと。

 そしてエヴァは今は除名扱いされ、家名は名乗らず『エヴァ』と名乗ってるらしい。

 一応は魔族の下級貴族家(男爵)の娘だったが、1番末っ子で冒険者として活動できる年齢13歳には発現するはずの職業が教会でも認識できなくて、貴族家の出としては『出来損ない』扱いされてしまうので、メルフォール家を自分から出家したという。

 だが、けっしてエヴァの両親は毒親ではなく、普通に優しい両親だったそうだ。

 なんとも貴族というものは、魔族でも仕来りには厳しいようで、こんな小さな女の子でも貴族令嬢として資格を持てない者は出家しなければならないとは・・・




 ■===========■

 ・⋯━☞STATUS☜━⋯・

 ■===========■

 名前 エヴァ

 性別 女

 年齢 15

 種族 魔族/サキュバス

 職業 不明

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 状態

【健康】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 LV 128

 HP 228

 MP 1688

 STR 89

 ATK 95

 DEF 55

 DEX 57

 INT 548

 MAT 22

 SPD 36

 LUK 56

 EXP 351198

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得魔法

 【ヒールLv3】【ハイ・ヒールLv2】

 【ピュリフィケーションLv3】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得スキル

【隠密Lv3 】【索敵Lv4】【鑑定Lv4】【限界突破Lv2】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 称号

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 資格

【ラピスラズリ級冒険者】

 ■===========■



 ステータスを見ると、MPとINTがやけに高い!

 魔法系のジョブなのは間違いなさそうなのだが、確かに職業は、『不明』となっていた。

 だがエヴァは、もっとレベルが上がれば、きっと職業もハッキリすると言う。

 その根拠は、時々聞こえてくる『謎の声』だと言う。

 その声の主が何者なのかは、エヴァ自身にも解らないらしいのだが、きっとその声の主と出会う事がてきれば、自分の正体が明らかになると確信しているのだと。

 今はレベルが声の主と対話できるレベルではないため、ハッキリとは声が認識できないのだと、漠然と感じるのだと言うのだ。

 そう言うエヴァは、どこか不安気であった。

 今まで見てきた冒険者達とは、自分はどれにも当てはまらず、他の冒険者達とは何かが違う。

 それは、自分自身でも理解しているそうだ。

 でもトロは、そんなエヴァを見て『掘り出し物』的な、何かとんでもない逸材と巡り会えた感がしてならなかった。



「私は、自分の職業を知りたいのです!

 きっと、レベルさえ上がれば・・・きっと・・・きっと!」


「そうか・・・わかった!

 なら君を、俺達のパーティー『トロと愉快な仲間たち』に入れてあげようと思う」


「「「ええっ?!」」」


「ちょっとトロ! そんな安易に仲間にしちゃっても良いの?」


「そうですよ師匠! まだこの()が何者かも解らないのに」


「う~~~ん・・・」


「そうだ 解らないからこそ、すごく気になるんだよ」


「「「気になる?」」」


「ああ この()・・・エヴァには、きっとこの俺でさえも圧倒するような力を秘めている・・・そんな気がするんだ」


「「「!・・・」」」


「だからこそ、誰かに取られる前に、先にエヴァを確保しておきたくってね!」


「そんな、売り切れ御免の商品じゃないんだから・・・(汗)」


「「あはは・・・(汗)」」


「こう言っちゃ悪いが、ナディーの言うと通りだよ!」


「え?」


「「・・・?」」


「まさに、商品価値がまだ解っていない掘り出し物を、誰かに取られた後でとんでもない価値のあるモノだと気付いて後悔するよりもぉ~~~ね!」


「「「あははは・・・(汗)」」」


「まっ! そういう訳だ!

 今日から新しく俺達のパーティーに入る事になったエヴァだ!

 皆んな、よろしく頼むぞ!」


「あ、ええ~~~っと・・・(焦)

 え、エヴァです! よろしくお願いいたしますわ!」


「「「~~~!!??」」」


「今、『いたしますわ』って言った?」


「う、うん・・・言ったぁ」


「やっぱり、お嬢様だから?」


「確か、メルフォール男爵家だったっけ?」


「え? あ、いえ! 私はもう貴族の娘ではありません!

 ですから、畏まらなくても構いませんわ」


「え? いえ、誰も畏まってなんかないけど?」


「え?・・・(汗)」


「だって貴女は元男爵家の令嬢だったかも知れないけど、今はラピスラズリ級冒険者だから、爵位でなら騎士爵」


「騎士爵・・・騎士爵と言えば、男爵よりも下」


「うん そうだねえ」


「そして俺達は、アクアマリン級冒険者だから、貴族爵位で言えば伯爵位同等の身分だし」


「「「うんうんうん!」」」


「ええっ?!」


「おっと! 俺達はドラゴン・スレイヤーの称号持ちだから、爵位で言えば侯爵位だしな!」


「「「うんうんうん!」」」


「えええっ?! (そうろう)侯爵位同等!!」


「しかも! 侯爵同等と言っても、領地を運営する義務は無いから自由なもんだよ」


「「「うんうんうん!」」」


「えええええ~~~!!」


「今じゃ、トスター伯爵も私達には腰が低いものね!」


「「「うんうんうん!」」」


「ええええええええ~~~~~~!!」


「「「「~~~~~~(汗)」」」」



 そうなのだ。

 この世界での冒険者の身分は、なかなか高いようである。

 なにせ、アクアマリン級冒険者ともなれは、アース・ドラゴンを倒せるレベルだし。

 しかしまあ、オパール級(Lv150~299)の爵位で男爵位から子爵位同等にまでなれる冒険者は若干居るようだが、アクアマリン級(Lv300~499)の爵位で伯爵位になる冒険者は今現在はトロ達以外には居ない。

 近い存在と言えば、『勇者パーティ』だろうか。


 エヴァは、心底驚いていた。

 やはり、貴族の御令嬢だったからか、若干世間知らずなところがあるようだ。

 トロも日本から無理やりこの世界へ召喚された身なので、世間知らずなのは似たようなものだが。

 でも、元々は素直な性格なエヴァだったので、トロ達にすぐに慣れて仲良く話せるようになっていた。



「そ・・・そうだったのですね!

 で、ですが私は頑張って皆さんに認めてもらいますわあっ!」


「そうだな! 頑張ってくれ 俺も楽しみにしているぞ」


「はあい!」


「頑張ってね! 応援しているわ!」


「はあい! 見ていてくださいませ!」


「前衛は俺に任せてくれ! はやく実力見せてくれよ!」


「はあい! 絶対にお見せしますわ!」


「・・・・・・」


「・・・?」


「クレオ、どうした?」


「え? いえ、なにも・・・頑張って」


「はあい! 頑張りますわ!」


「・・・・・・(睨)」


「・・・?(汗)」



 トロ達は、エヴァを心から応援してした。

 だが、クレオは1人難しそうな顔をしていた。

 クレオは、『トロと愉快な仲間たちパーティー』の中では、レベルはそれなりに上がったが、1番下っ端である。

 それに、エヴァはクレオと同様に特殊な職業に違いない。

 クレオはエヴァに、密かにライバル心を燃やすのだった。



謎の能力持ち?な美少女が現れましたが、彼女の正体とは?

クレオは頑張って、新しいスキルを開発ちぅ~

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