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豆は世界を変えます! ~アラフィフ オッサンの異世界チート堪能珍道中~  作者: 嬉々ゆう


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第41話 「美味しいを広めよう」

鶏肉はもも肉が好きです。




 ••✼••チレカ冒険者ギルド••✼••




 ピコン!

『パーティー名『トロと愉快な仲間たち』のリーダートロが、エヴァに対してパーティー入り申請しました!』



 トロがエヴァに対して、『パーティー入り申請』をする。



「これを、『はい』にすれば宜しいのでしょうか?」


「うん! そうだねえ」


「わかりましたわぁ!」


 ピコン!

『エヴァは、パーティー名『トロと愉快な仲間たち』への加入を承諾しました!』

『エヴァは、パーティー名『トロも愉快な仲間たち』のパーティーメンバーとして登録されました!』



 鑑定虫眼鏡でエヴァを鑑定した受付嬢が、エヴァがパーティー『トロと愉快な仲間たち』に加入した事を確認した。



「はい! 登録完了いたしました!

 これでエヴァさんも、パーティー名は『トロと愉快な仲間たち』の仲間入りです!」


「わあっ! ありがとうございます!!」


「「「おおおお~~~!」」」


 パチパチパチパチパチパチパチ!!


「・・・・・・」



 エヴァも、新しく『トロと愉快な仲間たち』のパーティーに加わった事が冒険者ギルドにも正式に登録された。

 トロ達は、エヴァを快く受け入れた。

 だが若干1名、エヴァに対してライバル心に燃える奴が居た。


 クレオだった。


 今までのクレオは、『トロと愉快な仲間たち』のメンバーとしての登録の順番的には新入りで1番下っ端だったが、実力的にはロンデル達の助けもあって、レベルはパーティー内ではナンバー3である。

 ただ、クレオは催眠術師であり非戦闘職である。

 戦闘時はワイサのように目立って活躍している風には見えず、とても地味である。


 このままでは・・・


 ワイサは、自分の能力である催眠術について改めて考えてみた。

 催眠術とは、術者の意思による暗示によって、自分や他人に対して、精神的変化や身体的変化を引き起こすものである。

 その効果は熟練度レベル(LV)によって、または術師の強い意志(INT)によって絶大である。

 また、その効果は術者の思考によっても変化があり、今回もクレオの『自分にも催眠術をかけたい!』と強く考えていたせいか、【自己闘志向上催眠】と、【自己防衛力向上催眠】を覚えた!

 それはつまり、自分の意思によって思い通りの催眠術を覚える事が可能なのかも知れない?

 クレオは、そう考えた。


 でも、どんな効果を発揮する催眠術を覚えたら良いのだろう?


 クレオにとって憧れはやはり、ワイサのような強い剣士だった。

 男として単純に強い者に憧れるものだ。

 身体は女の子だけど・・・

 クレオは、今まで見てきたワイサの戦い方を思い出し、それを催眠術によって、剣術や力強さを再現できないかと考えた。

 イメージトレーニングのように、ワイサの剣術や大技を客観的ではなく自分の視点からイメージしてみる。

 剣を持ってるイメージで、ワイサが剣を振り回す様子を頭の中でリピート再生し、その様子を自分の視点から自分が剣を振り回すようにイメージしてみる。

 そんな事を、暇を見付けては繰り返していた。


 そして、エヴァがオパール級冒険者へと昇格した頃・・・




 ■===========■

 ・⋯━☞STATUS☜━⋯・

 ■===========■

 名前 エヴァ

 性別 女

 年齢 15

 種族 魔族

 職業 不明

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 状態

【健康】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 LV 155

 HP 255

 MP 2125

 STR 102

 ATK 109

 DEF 61

 DEX 65

 INT 663

 MAT 24

 SPD 39

 LUK 62

 EXP 545422

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得魔法

 【ヒールLv3】【ハイ・ヒールLv2】

 【ピュリフィケーションLv3】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得スキル

【隠密Lv3 】【索敵Lv4】【鑑定Lv4】【限界突破Lv2】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 称号

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 資格

【オパール級級冒険者】

 ■===========■




「エヴァ! オパール級昇格おめでとう!」


「「「わあ~~~!!」」」


 パチパチパチパチパチパチ!!


「ありがとうございますぅ!! 私、もっと頑張りますわ!」


「・・・・・・」


 パチパチパチ・・・



 正直、クレオは面白くなかった。

 自分の能力が今現在頭打ち状態なうえに、未知なる能力を持つと期待されている者が居るとなると気が気ではなかった。

 トロは、決して仲間達に優劣を付ける者ではない。

 それに、こんな短期間でここまで成長したのだから、『やばいくらいに凄い奴』とさえ思っているくらいだ。

 だがクレオにしてみれば、目に見えて成長しているエヴァを見ると焦ってくる。

 焦っても仕方がない・・・それは理解しているクレオだったが、やはり自己評価としては、ナンバー3をなんとしても維持したい!

 1番下っ端には、なりたくない。

 そんな思いが強いからか、素直にエヴァの冒険者等級の昇格を気持ちよく祝えなかった。


 そしてクレオは、今も奮闘する!

 そんな日々か続いある日の事だった。



 ・⋯━☞4日後☜━⋯・


 ••✼••リトキヤの村前••✼••



「ここが、鶏肉を専門に料理してくれる商店が並ぶというリトキヤの村だ!」


「「「「おおおお~~~!」」」」


「師匠! トリニクって、鳥型の魔物の肉を専門に料理するって事ですか?」


「いや、ちょっと違うかな?

『鶏肉』ってのは、鳥型の魔物や動物の肉を、食べるために食肉として加工したものの総称の事だな

 俺の知る限り、鶏肉ってものはだな、調理の仕方によって味が良くも悪くも、まるで別物に変わるものなんだ」


「・・・と、言うと?」


「「「・・・???」」」


「おそらくは、この村でも・・・

 塩だけの味付けがメインなのだろうが、俺にとっては塩だけの味付けなんて、折角の鶏肉なのに物足りなくて勿体なくて仕方がなくてなあ・・・(汗)

 いや、けっして『不味い』と言っている訳ではないがな!」


「え? なになに? 塩味よりも美味しく食べる方法があるの?」


「そうだぞナディー!

 肉焼きでよく使う『焼肉のタレ』があるだろう?

 そのタレを使うだけでも、味が全然違う料理に変貌するんだ」


「「「「おおおお~~~」」」」


「肉焼きのタレって、ボアやブルやオーク肉にだけ使うのかと思っていたわ!」


「いやいや! 何にだって合うぞ!

 肉焼きのタレは、白ご飯にかけても合うぞ!」


「「「「おおおお~~~!!」」」」


「鳥の魔物の肉なんて、我が家でも塩で焼くか、塩で煮る調理法しか、見た事も食べた事もありませんわ」


「なるほど・・・貴族の料理人ですら、味付けは塩がメインなのか・・・

 それは、非常に勿体ない!! 悲しいほど勿体ない!!

 もっと美味く食える方法はいくらでもあるのに」


「「「「おおおおお~~~?!」」」」


「師匠! はやく師匠の言う鳥料理を食べましょう!」


「あはは まあ、落ち着け!

 俺は鳥料理については、少しは心得があるんだ」


「「「「おおおあ~~~!」」」」


「なにせ、この村は鶏肉で栄えたお陰で発展した、今ではもう町と言ってもいい規模だ!

 探せば、塩味以外にも美味い食べ方があるはずだが、俺の味付けの方が、きっとお前達の舌を満足させる事ができるだろうぜ!」


「「「「おおおおおおおお~~~~~~!!」」」」



 やはり、『美味い』は正義である。


 生きる過程で、寝る、食う、遊ぶ(性欲)の三大欲求の内、『食う』を疎かにするなんて、めちゃくちゃ悲しい事だと思うし、人生を楽しむと言う意味では半分は損をしていると言っても過言では無い。(トロ的主観)

 世の中、『生きるために食べる』者も居れば、『食べるために生きている』者も居る。 

 トロは、全身全霊をかけて後者だと言えるだろう。



「よし! 俺の知る鳥料理ってものを、この村で広めてやるぜ!」


「「「「おおおおお━━━っ!!」」」」



 トロ達は、意気揚々とリトキヤ村へと入った。




 ••✼••リトキヤ村の宿屋••✼••



「トロと愉快な仲間たち御一行、ご案内~♪」


「あ、そうだ! 女将さん、俺は実は・・・」


「ん? なんだい?」


 ポン!・・・ポポン!


「?!」



 トロは、そう言ってオッサンの姿に戻った。

 それと同時に、ワイサとクレオも、男の子の姿に戻った!



「なんだいこりゃあ?! 女の子がニヒルな男に、それに後ろの女の子も男の子に変身したよお!!」


「ニヒルとはなんだ!!

 とにかく、俺達は時々姿を変えるから、覚えておいてくれ」


「ほお~私達魔族が人族に変身する事はたまにあるけど、異性に変身するのは珍しいねえ?」


「まあ、ギルドでは変身する事を隠せないから知らせているけど、宿の女将さんにだけは知らせておくよ

 何かあった時に知られて驚かれるよりも良いからね」



 トロは、今ではオッサンの姿でも活動していた。

 オッサンの姿で居る時間が長くなると、変身が安定する事が解ってきたからだ。

 今となってはトロはもう、『異世界人』だとさえバレかければ構わないと思っている。

 なぜなら、未だにギルドには『種生成』の固有スキルはバレていないからだ。

 どうやら『固有スキル』とは、この世界の者の鑑定では見ることはできないようだ。

 この世界の者では、どうやら魔法やスキルレベルは5を越えられないと気付いたからだった。

 だが不思議と、トロとパーティーを組んだ仲間達なら、レベルへ5を超えるようである。

 どういう理屈なのか解らないが、トロにとっては有難い仕様なのは間違いない。

 どうやら、トロの『種生成』が、この世界を少しずつ変えているのではないだろうか?

 そう思うトロだった。

 それなら、オッサンの姿で活動しても問題は無いだろう。



「うむ ところで女将さん!

 この村で1番鳥料理が美味い店ってあるかい?」


「この村で1番だってぇ?

 まるでウチの鳥料理には満足できないみたいに聞こえて心外だねえ」


「お! これは失敬・・・

 そんなつもりなどは、なかったのだが・・・(汗)」


「あはは! 別にいいさ!

 でもここを何処だと思ってんだい?

 鶏肉じゃあ、ちとうるさい鶏肉専門の料理人ばかりの居る村だよ!

 どの店でも、ピカイチさあ!」


「ほほお・・・それは楽しみだな」


「「「「・・・」」」」



 ナディー達の表情は、『塩味のどこがピカイチなんだ?』と言いたげな表情だった・・・



「それにさ、この村には『異国の調味料』が今話題になっていてね!

 その調味料で味付けした鶏肉を食べると、そりゃあホッペが落ちるほどに美味いって評判なんだよ!

 私も1度だけ1切れ食べた事があるんだけどね、そりゃあ噂に違わず絶品の美味さだったねえ!

 忘れられない味ってなもんさね!

 あんた達も、是非とも異国の調味料で味付けした鳥料理を食べてみておくれ!

 ま、貴重で希少なモノらしくてね、なかなか手には入らないらしいけど・・・

 なあに! 金さえ払えば誰だって食べさせてくれるさね!

 お貴族様なら、毎日だって食べられるんだろえけど、こんな時だけは、お貴族様を羨ましいと思うってもんだよ!

 行商人だって、その調味料で鶏肉を食べたくて、お金を貯めてわざわざまたこの村まで来るってほどに忘れられなくなるほどの味なんだとよ!

 そうだ! 露店街の屋台の中でも人が多く並ぶ所なら、『異国の調味料』を使ってる可能性が高いはずだよ!

 もちろん、値段は飛び上がるほどに高いだろうけどね!」


「ほおお? 異国の調味料か・・・」



 この時トロは思った。

 おそらくは、宿屋の女将が言う『異国の調味料』とは、トロが『種生成』で作った『焼肉のタレ』であり、その味を真似てこの世界の料理人か誰かが作ったものであろうと思われる。

 さて、その味とやらは如何なものか?

 トロは、ちと興味が湧いた。



「女将さん! その『異国の調味料』とやらは、何処に行けば手に入るんだい?」


「そりゃあ、『異国の調味料』だけを求めるんだったなら、お貴族様の屋敷にでも行かなきゃ手には入らないだろうねえ?

 まっ、ウチらみたいな庶民は、相手にしてくれないだろうけどね!

 他には、時々やって来る行商人が少しばかり持ってるかも知れないけど・・・

 なにせ今では、この村を統治する領主様の『リトキヤ男爵様』が、『異国の調味料』の取引を取り仕切ってるてんだから、よほど気に入っちまったんだろうねえ?

 だからウチら庶民には、なかなか手に入らないくらいに高価なモノとなっちまったって話しだね」


「なんだいそりゃあ?!

 またお貴族様かよ! まったく、貴族って奴らはどいつもこいつも・・・(怒)」


「ちょっとお前さん! 滅多な事を言うもんじゃないよ!

 もし、リトキヤ男爵家の者の耳にでも入ったら、お前さん達は下手すりゃ手打ちにされちまうよ!」


「何言ってんだよ女将さん! 俺はサファイア級冒険者だぜ!」


「お、おい、ワイサ・・・(汗)」


「サファイア級冒険者だってえ?!」


「そうさ! 俺達の身分は公爵位同等なんだよ!

 その気になれは、国だって興せるレベルだ

 男爵風情に好き勝手にされてたまるかってんだよ」


「ええっ?!・・・」


「こら、ワイサ! 調子に乗るな! 言い過ぎだ!!」


「す、すみません・・・師匠(汗)」


「あ、アンタ達、本当にサファイア級冒険者なのかい?」


「え? ああ、そうだよ・・・ほら!」


「・・・!!」



 トロは、宿屋の女将に自分の冒険者プレートを見せてやった。

 トロの冒険者プレートとは、ミスリル製のプレートに深く青く光り輝くサファイアがはめ込まれた物だ。

 普通一般人には、なかなかお目にかかれない代物だ。

 なにせ、サファイア級冒険者と言えば、今現在のこの世界では、トロ達だけなのだから。



「っへえ~~~! 本当にサファイア級冒険者なのかい?!

 これは驚いた!! サファイア級と言えば、初代勇者レベルじゃないか?

 ウチの宿もサファイア級冒険者が泊まってくれたときたら、これは箔が付くってもんだよ!」


「いやあ・・・そんな・・・(恥)」



 なんだか話しや表情がコロコロと変わるなこの女将さん・・・(汗)

 なんでもいいけど、『異国の調味料』とやらを所望したいなら、リトキヤ男爵にサファイア級冒険者プレートをチラつかせて一発噛み付いたなら・・・げふんげふん!

 ちょいと、話しをしてみるのも良さげだな。

 だが、いきなり乗り込んで直談判なんてしたくはない。

 『異国の調味料』とは、トロが以前からこの世界で焼肉のタレとして使っていた物なのは間違いないだろう。

 そのタレを模して、この世界の人が作ったタレだと思われる。

 ここは、『異国の調味料』とやらがどんな物かを知り、それ以上の物を出して、堂々と食って見せ付けてやればいい!

 そうしたなら、リトキヤ男爵も食い付いてくるだろう。

 ・・・と、そんな話しを仲間達としていた。




 ••✼••プライベート・ルーム••✼••



「~~~と、言う訳でだな、この村では鶏肉が・・・って、本当に美味いのかどうかは、食ってからのお楽しみだな!

 それに、露店街が賑わったのは『異国の調味料』ってものが広まってからだろうけどな?

 せっかくリトキヤへ来たんだ 鶏肉料理を堪能しようぜ?

 とりあえずは、露店の串鶏肉焼きを食べてみよう!」


「「「「はあ~~~い!」」」」



 てな訳で、先ずは露店で焼いている『焼き鳥』みたいなのを食べてみることにした。




 ••✼••屋台が並ぶ露店街••✼••


 ワイワイガヤガヤ・・・


「なんだよこの人の多さわっ!!」


「ホントにねえ~~~(汗)」


「お前達! 押し潰されないように気を付けろ・・・ぎゃっ!」

 ぶぎゅる!

「ぐえっ!・・・」


「師匠お━━━っ!!」


「「「?!~~~・・・(汗)」」」



 屋台の並ぶ露店路は、屋台の数もそうだが、人の数(魔族達)がまるでお祭り騒ぎだった。

 魔族だけに、人族よりも移動手段が豊富なだけに、宙に浮いている者も居た。

 とにかく上も下も左右何処を見てもまるで人の壁。

 進行方向すら分からないくらいだ。

 トロ達は身体が小さいので、押し潰されないようにと仲間達に注意するも、自分が魔族達の大きな尻と尻に挟まってしまった!



「なんだ人が居たのか・・・って、まだ子供じゃないか?

 あんまりモタモタしていたら、踏み潰されるぞ?」


「ご、ごめんなさい・・・(汗) ケホッ!」


「師匠! 大丈夫ですか?!」


「ケホッ! ケホッ!・・・ダメだこりゃ

 ワイサ、すまん! 何処か広い場所まで連れてってくれ」


「あ、はい! わかりました! よっと!」


「きゃあ! ちょっ、ワイサ?!」


「「?!・・・(汗)」」



 ワイサは、ヒョイ!とトロを持ち上げてお姫様抱っこをして、ササッ!と人の来ないスペースを見付けて、トロを運んでくれた。



「大丈夫・・・ですか?」


「ああ、すまん・・・(汗)

 オッサンの姿に戻っておくべきだった・・・」


「トロ、怪我してない?」


「ああ、怪我はないかな」


「でも、これじゃあ鶏肉どろこじゃないですね?」


「うえ~~~む・・・」


「確かに、これでは先へは進めませんわ!」


「そうだな・・・(汗)」



 エヴァの言うように、とても先へは進めそうもなさそうだ。

 ところがロンデル達は、【変化(へんげ)スキル】で、身体の大きな魔族の姿に変化して、屋台をコンプリートでもする気なのか、順番に鶏肉を買っては食い漁っていた。

 ロンデル達には、貴族が住むような屋敷が買えるほどのお金を渡していたので、お金には問題ないのだが、屋台の鶏肉を本気でコンプリートしそうな勢いだ。



「あぁ~あぁ~あぁ~~~まったくアイツらは(汗)」


「あははっ! 見事なくらいの食べっぷりですね」


「でも、俺も1件だけですが、鶏肉買って食べてみたけど、やっぱり塩だけの味付けだったから、正直言うと美味くはなかったですよ?」


「!・・・やっぱりか(汗) って、もう食ったのかよ!!」



 屋台で売るものは、もちろん鶏肉ばかりではないが、殆どが鶏肉の加工したものを焼いたり、煮詰めたりしたものばかりで、どれも塩味ばかりだ。

 そして鶏肉だけでなく、他のどれも味付けは塩なのだとか。

 高級な味付けを売りとしている屋台では、塩胡椒(コショウ)だとか。

 胡椒(コショウ)は、元々この世界には無いもので、もちろんトロが豆生成で作った『胡椒の木の種』を生成したものが広まったものだ。

 しかも、冬以外なら全季節でも通常の3倍の早さで育ち実をつけるようにと設定したので、この世界に広まるのは早かった。

 それでも胡椒の出回る数はけっして多くはないので、価格は高くなるのは仕方ないようだ。

 それも実は意図的で、希少価値を持たせるために、わざと数を増やさないようにしているとの事のようだ。

 トロがせっかくここ世界に広めようとしたのに、まったく金儲けのためとは言え、どの世界の者も考える事は同じかと落胆したものだ。

 なのでトロは、行く先行く先で胡椒などの香辛料や、焼肉のタレのレシピや材料となる素材も広めるつもりだ。

 トロは、オッサンの姿に戻って宿へと向かった。


 ポン!


「よおし! 宿に戻ったら、新しい味付けで鶏肉を食いまくるぞ!」


「「「「おおお━━━っ!!」」」」


 ポポン!



 ワイサとクレオも、男の子の姿に戻った!

 なぜなら男の子の方が女の子の身体よりも沢山食べれれると思ったからだ。


 

「はあ・・・いったい、どれだけ食べる気?」


「へへん! ナディーは知らないのかい?

 師匠の味付けは、天下一品なんだぜ!」


「知ってるわよ! でも、なんで男の子に戻ったの?

 もしかして、女の子よりも沢山食べられると思った?」


「「あったりぃ~~~!」」


「はっ! 単純ね! 男の子って・・・(汗)」


「・・・???」


「あはは・・・(汗)」



 実はトロも同じ考えだったとは、言えないのだった(汗)




 ••✼••リトキヤの宿屋••✼••



「ただいまぁ~~~」


「おや、お帰り! ん? ああ、アンタかい!

 誰かと思ったよ! 皆んな男に変身してんだねえ?」


「いや、こっちが本当の俺達なんだよ?」


「へえ~~~そうだったのかい? まあ、なんでもいいさ!

 ところで、『異国の調味料』は堪能できたかい?」


「いやぁ、お店に近付く事すら、できませんでしたよ(汗)」


「おやおや、そうかい・・・それは残念だったねえ・・・(汗)」


「「「「・・・(汗)」」」」



 宿の女将さんは、酷く残念そうだった。

 トロ達にも、『異国の調味料』を味わって欲しかったのだろう。

 でもトロには、他にも美味い味付けを知っている。


 それよりトロ達は、もう二度とあんなごった返した場所になんか行きたくないと思った。

 下手したら、踏み潰されていたかも?

 そう思うと、ゾッとした。


 でも、『異国の調味料』とやらを味見すらできなかったので、悔しかったから宿屋の食堂でトロが出した調味料で、この村の名物?の鶏肉を食べることにした。



 ••✼••宿屋の食堂••✼••



「女将さん! 俺達の鳥料理にだけは味付けはしないでくれますか?」


「え? 味付けはするなだってぇ? それはいったいどういう事だい?」


「コレを、使いたいからですよ!」


「ん? なんだいソレは?」



 トロが抱え上げたのは、この世界では希少な透明なガラス瓶に入った褐色の液体。

 日本では極々普通のいわゆる『ポン酢』である。

 ポン酢とは、酢に柑橘類の汁を混ぜたものである。

 オランダ語で柑橘類の事を『ポンス』と言うらしく、そこで『ポンス』と、『ポン酢』をかけたらしい。

 一般的に『ポン酢』と言えば、日本では『醤油』を混ぜたものが普通だ。

 今はもうこの世界には普及している『醤油』と、甘い実から作った『酢』を混ぜたものだ。

 意外と日本のポン酢と、それほど遜色(そんしょく)は無かった。

 この世界に広めるためなので、この世界の調味料から作ったものだ。

 後で知ったのだが、『白野菜』からでも、【錬金術Lv3】以上なら『醤油』は作れるらしい。

 ただ、製作者の好みの味になるので、人それぞれ好みで製作者を選ぶらしいが。

 心の中で『種生成意味ね━━━っ!!』と叫んだが、まあ作れるならそれはそれで良い。



「どれどれ、ちょいと見せておくれ!」


「はいはい」



 トロは、ポン酢を女将に渡した。



「ほお・・・肉焼きのタレとはまたトロミが違うんだねぇ?」 


「そうですね! 焼肉の・・・肉焼きのタレとは違います

 ちょっと酸っぱさがあるので好みが別れるとは思いますが

 でも、コレをかけて食べても、また焼いても美味しいですよ!」


「ほお~~~そうかい?

 ちょっと、使わせて貰っても良いかい?」


「ふふふ いいですよ!」



 女将は、早速今焼き始めていた鶏肉に、ポン酢をぶっ掛けた。



 じゅじゅぅ~~~!


「ほお? ちょいと鼻にツンとするが、これはなかなか美味しそうな香りがするねえ!」


「あはっ! そーでしょう! そーでしょう!!」


「「「「おおおお~~~!」」」」


「おっ! なんだこの美味そうな匂いは?」


「おおっ! ホントだ! 美味そう!」


「女将さん! もしかして例のヤツが手に入ったのかい?!」


「ええっ!! マジで!?」


「さまか肉焼きのタレか! いや、なにか違うな?」



 他の客達も、いつもと違う匂いに気が付いたようだ。

 ポン酢の焼く甘酸っぱく甘辛い匂いは、食欲をそそると言うものだ。

 そして出てきたのは、ポン酢をかけて焼いた鶏肉の、いわば『照り焼き』であった。

 その美味さときたら、ほとんどの客からお代わりが注文されるほだだった。

『焼肉のタレ』で鶏肉を食べた経験のある客も、美味いと絶賛していた。

 だが、ポン酢が1本では全然足りなくて、後から8本も追加で出さされた。

 お代はもちろん、ポン酢1本につき500Tia頂いた。

 日本の希望小売価格の倍はするが、それでもこの世界にしては良心的な価格だ。



「師匠! コレ、めちゃくちゃ美味いっす!」


「だろ?」


「肉焼きのタレも良いけど、コレもまた良いわあ!」


「だろ~?」


「本当に美味しい! もっと食べたい!」


「だろう~?」


「コレは、美味しいですわぁ! 今までで1番の鶏肉料理ですわぁ!」


「だろう~~~?」



 エヴァ以外のナディー達は、野営で焼肉のタレで焼いた肉を食べた事が何度もあるのだか、そんなナディー達もポン酢は初めてだったからか大絶賛だった。

 本当は他にも、マヨネーズや、タルタルソースや、蒲焼のタレなどもあるのだが、今はポン酢だけで良いだろう。




 ・⋯━☞数日後☜━⋯・



 ポン酢の味付けの鶏肉料理が評判になってから、宿の泊まり客の他に、食堂へポン酢の鶏肉料理を求めてやって来る客もドンと増えた。

 

 そんな時、リトキヤ男爵の使いの者と名乗る男が宿の食堂にやって来た。



「我は、リトキヤ男爵様の使いの者である!

『ポン酢』とやらを、この食堂に出したのは誰か!」


 ザワザワザワザワ・・・



 宿の女将は、オドオドしている。

 流石の強気な女将も、貴族の使いを相手にすると、下手な対応はできないと戸惑ってしまうらしい。

 どうせ、いつかはこんな事になるかも知れないと予測していたトロは、大きくため息を吐いて、わざと椅子を大きな音を立てて席を立ち上がるのだった。 



 ガコッ!


「俺ですが・・・」


 ザワ・・・


「ぬ! 貴様がポン酢とやらを、この食堂で出したのか!」


「それに、なにか問題でも?」


「問題大ありだ! 今すぐポン酢を出すのは控えろとの我が主からの命令だ!」


「命令? お前、誰に向かって言っている!」


「貴様! 不敬だぞ! 私はリトキヤ男爵様の使いの・・・」


「俺は、サファイア級冒険者だ!

 貴族で言うならば、『公爵位』同等だが、それがなにか?」



 トロは、サファイア級冒険者のプレートを、リトキヤ男爵の使いの男に見せつけて、そう言ってやった!



「さ、サファイア級?! 公爵ぅ?!・・・

 ひっ!・・・失礼しましたあ~~~!!」


 バタバタバタバタッ!


 ザワザワザワザワ・・・


「なんだよ、アレ?」



 リトキヤ男爵の使いとやらの男は、大慌てで去って行った。



「ふん! どぉーせ、貴族の権力と権限でポン酢を徴発するつもりだったんでしょね?」


「だろうね? そして、独占して金儲けでも企んでたんじゃない?」


「肉焼きのタレだけじゃなく、ポン酢まで独占するつもりだったの? バカなの?」


「元貴族として、見ていてお恥ずかしい行為ですわ・・・(汗)」


「う、うん・・・まあ・・・そうだな(汗)」


「ご主人様! 奴の住処を燃やしましょうか?」


「ロプロプ、それはやめとこうね? 実害は無かったんだし・・・(汗)」


「潰しますか?」


「だから、やめてね?(汗)」


「私の(つるぎ)のサビにしてくれようか?」


「ちょっ!」


「アタイの刀の試し斬りに・・・」


「怖い! 怖い! 怖い(汗)」


「タゲ取りで魔物を向かわせますか?」


「はあ?!」


「雄叫びで、小規模のスタンピードを・・・」


「冗談じゃ済まないから、ホントにやめてぇ!!」


「「「「あははははははははっ!!」」」」



 この日から、『肉焼きのタレ』も、リトキヤ男爵の独占ではなくなったとか。

 そこでトロは、今度は、マヨネーズや、タルタルソースや、蒲焼のタレなども作ってやった。

 もう、お貴族様なんかに奪取される事もないと安心したので、どんどん様々な鳥料理を出してやった。

 するといつの間にか、『鶏肉パーティー』となっていた。


美味しいは正義です!

誰か、料理で美味しい味付け教えて!

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