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彼らの終わり
本編でとんだ部分の補完的なもの
「――ああああああああああああああああああああああああああ――」
喉が裂けんばかりに出た声は、無意識のもの。
「いやだいやだいやだいやだ――」
頭を振って、非情な現実を拒絶する。いくら否定しても、変えられないのに。
握りしめすぎて、壊れてしまった、携帯電話。届かせたい人に、言葉はもう、届かない。遺されたのは、縋ることができないくらい、短い言葉。
どうして、と蹲る頃には、声はもう、枯れ果てて。
「――ひとり、に、しないでよ――」
涙と共に、絞り出した言葉は、酷く擦れて、ほとんど音にならなかった。
手に入れる前には、思いもしなかった。失うときが、来るなんて。
二人が、出会わなかったら。自分の名を呼ぶ静かな声も、抱きしめてくれる温もりも、――それらを失う痛みも、知らずに済んだのに。
それでも。
もう、何も知らなかった頃には、戻れないのだ。