体力測定
「今日は体力測定だ!」
そう暑苦しく言うのは、体育教師の井上。井上は、担任であるせいなのか距離が近い。まだ、会って二日目だぞ。
そんなことを考えて先生を眺めていると、僕の隣でイヒイヒと笑う人影あった。
「今日、体力測定だよ!」
そうやって、麗奈はコソコソ俺の耳元で言った。
「そうだけど。何?」
「ついに来た!私の活躍する時が!ワクワクするよね!」
「……」
「なんか反応してよ。そんなんじゃ、彼女作れないよー。」
「うっ!言われなくても、わかってるよ。」
くそ、痛いところつかれた。僕もそんなこと知ってるのに。
「おいっ!そこの二人、静かにしろよー。」
井上は単調に言う。そう言うと僕たちは「はーい」と言った。
そうやってぐたぐた話をしていると、体力測定が始まる。まずは、握力を測る。
「ゔううぅーー!」
麗奈は大きな声を出し、握力測定器を力強く握った。
「どうかな。何キロになったかな〜!」
「…うっ!よっしゃー!47キロだー!」
麗奈は力強く飛び跳ねた。
「麗奈、ゴリラかよ。俺、28キロだぞ。」
「はぁーー!失礼ね。私、一応女の子よ。」
怒った顔で、僕をにらみつけてきた。
「毎日片道5キロ走る、女の子がどこにいるんだよ。」
負けずと、僕も言い返した。
「いやぁーー。それは、しょうがないとゆうかぁー。」
麗奈は、顔を紅潮させながら、ぶつぶつ言った。
「そうかー、しょうがないのかー。」
僕は端的に答える。
「うん、次に行こう!次に!」
麗奈は、逃げるようにして次の体力測定に向かった。
次は、ハンドボール投げ。僕の一番苦手な種目。できればやりたくないが、やるしかない。
まず、僕から。
僕は踏ん張り、自分のできる最大の力で投げた。ボールを投げると、ゆっくりと空に上がり10メートル過ぎたあたりから下に落ちてきた。記録は15メートル。
「まあまあかな。」
「何がまあまあよ。男なのに情けない。」
そう言うと麗奈はボールを力いっぱい投げる。
ボールは高く飛び、僕の記録もはるかにこし、31メートル飛んだ。
「わー、…すごーい、飛んだ、飛んだ。」
僕は凄さのあまり思考が停止した。女子平均をはるかに超える記録を見た僕は、口をぽっかり開けて唖然とした。
「今日は調子が良くなかったけど、意外と飛んだなー。」
「意外と!?めっちゃ飛び過ぎたの間違いじゃないのか。」
ここまで、すごいのは予想外だった。周りのクラスメイトも僕と同じように、思考が停止。みんな関心した様子で、静かになった。
思考を停止していたら、終わりの時間になっていた。
「今日の体育は、以上。」
井上がそう言うと恐ろしい体力測定は終わった。




