樹海を突破せよ!!㊥
「火炎の風!」
ニャウィーの国があんな状態の真っ只中、炎魔法で倒していくのはなんだか気が引けるが…。
「……なぁ、凍慈」
「なんや?」
「ニャウィーの宝玉が無事って事は…」
「まぁ、そういう事やな。こっからぶっ壊されまーす、みたいな展開が来ん限り」
不穏なセリフは一旦脇に置いといて。
彼女も、クリスタルには選ばれないのか…。
「魔力アップの踊り~♪」
踊り子の恩恵は凄いから、、仲間に居たら助かるのにな…。
そんな事を考えていたシゲの足が完全に停止した。
「……森の中の敵はこうだろってのはわかった」
「せやで。現実も森とか山とか入ったらこんなもんや」
すっと視線を反らす凍慈。
今ぜっっったい変だと思ったよな!!?
シゲの視線の先には、、動く花に草に木が……。
「そんな森があってたまるかっっ!!!」
いや、もうあの見た目は辛うじて植物だよ。
「マンイーター、マンドラゴラ、樹面樹…。普段は樹海の奥地にしか出ないのに……」
そのニャウィーの呟きに嫌な予感に襲われるのに時間はかからなかった。
「……えー、そうなんやー」
凍慈を見ると、再びサッと顔を反対側へ。
「白々しいっっ」
普段は◯◯シリーズはもうアトランティスで経験したからっ!!
これがあれか、フラグってやつかっっ!?
「シゲ」
セピアのその声に合わせるように
「え?」
なぎ払いを繰り出していたシゲの武器が赤く燃え…
「火炎回し!!」
おお!出た!威力凄いな…。
間髪入れずに凍慈も「ファイアアロー」と炎魔法の合成技が。
「海底では遅れを取ったが、、樹海では私も本領発揮、、という所かな?」
流石、火炎の騎士。
「まだ炎属性で道中は楽に行けてるのが救いだよ」
「今までが無さすぎやったけどな」
そして、進む凍慈からボソッと漏れた言葉。
「……樹海か。アレ出てくるんやろか」
3方向への分かれ道を、光る花の方へと進んで行く。
「なに?アレ??」
「……………ゲームやからさぁ、、うわーとかやけど…」
「???」
「今までのリアル具合からして、、絶対イヤやなぁ」
「え?絶対嫌って、、、待って何あれっっ!?」
再びエンカウントしたモンスター。
「待って、武器持ってるんだが??」
弓を構えるタヌキ?槍持つさらにデカイ人型の蜂?
「ボロン系とクイーンビーやな」
「クイーン、、え?クイーン?」
「あれや、働き蜂がおったら女王蜂もおるやん?」
「だから、なんでそんな所リアル設定なんだよ!!」
そんな事を言ってる間にも、槍持つデカイ蜂はこっちに突っ込んで、槍をぐるぐる振り回している。
しかもその後ろからは弓タヌキがこっちを狙っている。
「モンスターが武器とか理不尽だろっっ!!」
「それは、ちょい同意やな……」
槍を避けると地面に刺さり、地面がえぐれる。
いや、待って、、威力高くない??
「シゲ、先にクイーンやってまうで!!」
どう考えても背後で弓構えてる腹立たしいタヌキが先だろ!!
「仲間呼ぶ前にやらんと、下手したら“キングクロウラー”が」
「急所突き!!!」
「……いきなりやる気になりよったな」
流石の敵の多さに、全員がぜぇぜぇと息切れ。
「過去イチできついんだけど」
「……敵のレベルも上がっとるからな」
「少し休憩しようか」
セピアがキャンプ道具から簡易の椅子と飲み物を取り出して、全員が座って【セピアのアフタヌーンティー】をとる。
【HPMPが全回復しました】
【火属性攻撃力アップ+10%】
【属性異常耐性アップ+10%】
の、テロップと、、あからさまに項垂れた凍慈。
「……皆まで言わなくて良いぞ、凍慈」
「ようやくセオリーわかったみたいやな」
突如。
カシャンカシャン、と…音が木霊する。
[鎧の音だ]
シゲがふっと顔を上げる
カメラワークが全員を背後からぐるっと一周し、再び正面へ
その先は何故か吸い込まれそうな程真っ黒い
[…勇者一行だ、、足止めしろ!!]
[召喚、終了しています]
[…よし、先行部隊に追い付くぞ]
ずる
ズル……ズル……
何かが、地面を削りながら近づいてくる。
[…うっ、、なんだ…この強烈な臭いは…]
喉が焼ける
肺に入った瞬間、吐き気が込み上げる
正面の真っ黒い先から“それ”は近づいて来る
[………全員、戦闘準備]
しゅるしゅるしゅる…
ズルズルズルズル…
そんな音と同時に、“それ”は姿を現した
「……樹海にはあんなモンスター居ないニャ!!」
━━それは、植物のようで━━明らかに“違った”━━
「待っ……臭いっっ!!」
「あーー……」
凍慈が額を押さえる。
「……最悪や……」
出ると思ってたわ、そんな言葉の後。
「モルボルや……」
【腐臭王・モルボル】
そのテロップは、強烈な臭いにかき消された。
本当、樹海は理不尽だ……




