ブラックスフィアへ帰還
電蔵たちがブラックスフィアに降り立った。友青は目を丸くして口を開けていた。
電蔵と友青がいる場所は、王城のど真ん中。
大勢の息子たちがいる場所に突如として現れた……ということだ。
当然のように、息子たちも目を見張っている。
電蔵はいつものブラックスフィアの言語を使って、声をかけた。
「……久しぶりだな……みんな」
「電蔵……帰ってきたのか……」
みんなの電蔵を見る目が以前よりも厳しい。嫉妬ではなく、拒絶や排除の意思が見え隠れしている。電蔵を苦しめるみんなの眼差し。
睨みつける息子たちの目が、電蔵の傍にいる友青に移った。
「電蔵、お前……まさか、人間をここに?」
一層警戒心が強まっていく。もう電蔵を、同じ王様の息子とは思っていないのだろう。
電蔵は悟ったようにふっと笑って、一歩前に出た。
「王様に連れてこいと頼まれたんだ。オレは仕事をした。お前さんがオレの仕事に口出しすることは許さない。誰が何と言おうと、オレは王様の息子だ。それ以外でもそれ以下でもない。オレは紫水電蔵。剋黒雷貴でもない」
ありふれた言葉を、電蔵は言い放った。
言葉はありふれていても、電蔵が言うからこそ輝く。王様を第一に思っている電蔵の言葉だからこそ、意味を成す。
効果覿面。警戒していた息子たちが電蔵に叱咤され、信じる心を取り戻した。
ほんの一瞬の出来事のように、皆の心が入れ替わった。憑き物が落ちたように、呆気なく。
「……悪い。俺たちはまた……」
「いい。嫌われるのは慣れているからな」
「……そんなこと、言うなよ」
「そうだな……」
電蔵たちが暗い会話をすると、友青はムッとした。言葉はわからなくとも、雰囲気でわかることもある。
「オマエら、なんなんだよ。身内なんだろ? なんか、よそよそしくね? 暗いし」
「王様の息子と言っても、赤の他人みたいなもんだ……お前さんのように腹から生まれたやつじゃないからな。性質も能力も容姿も違う。オレ自身も王様に似てない」
電蔵が説明する。他の息子たちも頷いた。
「友人になることはできる……と思う。多分な」




