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王様のお遊戯(あそび)  作者: 社容尊悟
第二章 落ちこぼれと青春

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何もかもがうまくいかない


 春川友青は小学生。かなり捻((ひね)くれていて、全く可愛くない男子である。

 そんな友青が昨日の昼頃に出会った青年は、ちょっぴりおかしな奴だった。出会ったばかりの友青のことを叱ったやつだ。友青は電蔵の髪の色や瞳の色のことを調べていた。

 図鑑やインターネットを駆使して調べるさまは、そこらにいる小学生とは似ても似つかない。調べるのに真剣になって、無我夢中になっている。

「どう表現するんだよ、あれ……」

 電蔵の髪の色は、ブラックスフィアでは水紫色と呼んでいる。電蔵のファーストネームは紫水で、ややこしいが、少しだけニュアンスが違うのだ。水紫色なら、水色が色濃いということ。

 しかしその言葉自体が日本にないので、どれだけ調べても出てこないのだ。

 友青はインターネットの質問掲示板に書き込みをした。

「水色と紫色が混ざってる色のこと……なんていう……っと」

 それだけでは情報が不十分なことを、友青はわかっていない。人に説明するのは、自分が一番理解していなければならないので、難しいことなのだ。何も知らない相手に話すように、詳しく説明すれば好ましい。それができないうちは、説明できるようになるまで理解すること。

 世の中には、説明するのが下手でも頭のいい人間はたくさんいるが、ある程度は説明できるようにしておくと、自身の今後に役立つ。他者に説明する力を持っているのは、素晴らしいことなのだ。

 自身がわかりやすいと思っても、ダメなのである。ストレスのたまる作業かもしれないが、それをすることができれば、大抵のことはこなせるようになる。

 落ちこぼれと称された友青も、それをするために一所懸命に調べている。

 気になることを調べる。たったそれだけのことのために、人は動くのだ。動機は十分。

 後は……結果に繋がるかどうか。

 未だ実らずということがわかれば、進歩したことにはなる。時には諦めも肝心。

 友青はため息をついた。すぐに返信がきたものの、もっと詳しく説明しろと書かれていた。詳しく説明できるほど記憶が鮮明ではないし、そうまでして知る必要があるのかという疑問もある。

 それらが合わさったため息。友青は机で頬杖をつく。

「くそ……」

 何もかもがうまくいかない、と友青は拗ねた。

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