9.将軍
作戦開始から2週間が経った。
王家の親衛隊が援軍として到着し、6層まで押し返したというのが今の戦況である。
「西方軍、臨時師団が編成されこちらに向かうようです。」
「ずいぶん時間が掛かったが、ようやくか。」
「なお、指揮系統は親衛隊の下に付くと言っています。」
「おいおい、階級が滅茶苦茶になるじゃないか。」
「それはもうすでにグチャグチャじゃないですか。」
そう。ハンター、アウトロー、警備隊、親衛隊、南方軍、西方軍先遣隊というごった煮状態で氾濫に対処しているのである。
しかも本来であれば軍が指揮している状況なのだがギルド主導で動いているのである。
これは親衛隊の隊長であるウェルチ中佐が軍関係で一番高い階級であったこと、
その中佐がギルドの作戦に従う事によってトラブルを回避していたからだ。
だが師団が来て、しかも親衛隊の指揮下に入るという。師団規模だと将軍が率いているだろうというのに、中佐の指揮下に収まるというのだ。
おかしいと言わざるを得ない。
「どういうことなんだろうな。」
「さあ?」
3日後、大型トラックで到着した西方軍が合流する。
「西方軍のヴェイク中将だ。遅れて申し訳ない。」
「まさか中将閣下がいらっしゃるとは思いませんでした。」
「何、儂も貴族の端くれ。国の危機に馳せ参じるのが義務というものよ。
しかし、若い連中が汁だけ吸いたがってな、黙らせるのに手間取った。」
「いえ、閣下が来られたのならば百人力というものです。
しかし、指揮系統は本当にギルド麾下でよろしいので?」
「それが一番効率が良いのじゃろ。文句が出るようなら儂が黙らせる。」
なかなか話せる将軍がトップのようだ。
それにしても貴族の暗闘は見苦しい。
西方軍が到着したということで、改めて現状の確認が行われる。
「現在、親衛隊が7層を臨時拠点として8層を攻略中ですが、数が多く思うように進めていない状況です。
また推測よりも数が多いことから、スタンピードの発生階層は当初の12層よりもう少し深いと思われます。」
「なるほど。抑えてはいるんじゃな。」
「はい。ですが親衛隊の大隊規模ではここまでが限界です。」
「わかった。準備でき次第、潜る事にしよう。」
さすがに将軍だけあって話が早いし有能な様だ。
であれば補給物資も質の良いものを出して答えようじゃないか。
…といっても資金が底をつきそうなので出せる数に限界はあるが。
「資金なら儂が持ってきてるぞ。」
「使っても宜しいのですか?」
「うむ。お主が能力を使うために資金が要るのいうのは、ミアーの小僧っ子から聞いておる。
どうせ他に使う当てもないのじゃ、適切に使われるのであれば使用を認める。」
暗闘の割を食った常識人枠




