4.放り込め調度品
別館の1階部分の基礎部分が粗方出来たため、一週間ほど養生期間をおいてから2階部分の工事が始まるため、あらかじめ軽めの資材を出しておく。
「あんたが居てくれて助かるよ。セメント袋も水もいちいち2階に上げてらんねえからな。」
「そうそう。担いで持って行けるのは確かだけどよぉ。何往復も階段登るってーのは地獄だぜ。」
「商人はその辺の苦労がわかってねーのか、平然と人件費を落とそうとしやがる。いや、あんたも商人だったっけ。」
現場を見ないで数字だけ追っていく屑…うっ、頭が。
「おいおい。大丈夫か?まあ、炎天下の中だからクラッとくるのもわかるわ。
おい、日よけ無えか?こっちの商人さんが熱中症になったかも知れん。」
「そりゃいけねえ、俺らの仕事が増えちまう。余った木材で仮設の屋根作ったれや。」
熱中症ではないものの、確かに秋とはいえまだ暑い。ここはご厚意に甘えることにしよう。
内装はリヌイ商会が行うようで、ダブラジェーチ君が陣頭指揮をしている。
「まだ2階の着手が始まってないのに内装工事ですか?コンクリート乾いてませんよ?」
「それは承知しているのですが、1階部の工事の完了が遅れていたため調度品を置いていた商会の倉庫を圧迫しましてな。基礎が壊れないことを祈りながらですよ。」
「それは難儀ですね…倉庫の圧迫だけが問題なら俺のほうで預かりますよ?貸倉庫として料金はいただきますけど。」
「う…むぅ。建築資材の放出具合から見て大きな収納持ちの様ですからな。
先日の判断が誤りであったことは認めますが…。」
「なにも大金を取るわけじゃありません。倉庫の維持費分程度で良いですよ。」
「…わかりました。降参です。せっかく傷をつけずに持ってきた調度品に、計画になかった工事などで付いてしまう可能性があるというのは仕入れた側としても嫌ですからな。」
毎度どうもと、すでに配置してしまった調度品を"倉庫"に商品登録しつつ放り込んでいく。
なお、預かり物になるので"倉庫"の3番を追加し、そこに収納していく方針だ。
現在配置済みの物をすべて取り込んだら次はリヌイ商会の倉庫で同じ事をしていく。
「結構な量がありますね。さすがお貴族様というか、何というか。」
「見栄を張るのも貴族の仕事の内ですからな。仕方ない部分もあるのでしょう。」
「もしかしてこれ以上増えます?」
「いえ、この倉庫で最後です。いやはや、相当な量の収納ですな。」
そりゃそうだろう。倉庫2棟まるっと貴族用だったからな。
こうしてあまり高くない金額で館の工事完了までの貸倉庫の契約を結び、リヌイ商会は去って行った。
鑑定してた時オーダーメイド品が大半を占めていたので他者には出せないが、割と有意義な契約だったと思う。
部材には恐怖の石綿も…




