4.アイスいらんかね
「兄ちゃん、こっちアイス2個ね。」
「毎度、銅2枚です。」
「お兄さん、あたしは苺ジャム追加でー。」
「あいよー、銅1枚1本。」
屋台で売りに出したのはアイスクリームだ。
暑さという自然現象の前であればアイスクリーム販売は盛況が約束されているのである。
耐水紙を折り紙のコップ状に折り、アイスを盛る。
トッピングがあれば上からぶっかけ、木ベラぶっ刺して客に渡す。
途中から表に出していた材料が足りなくなり"仕入れ"で
アイスクリームそのものを購入するという事態に陥ったが1日目は気合いで乗り切った。
片付けをしている時、部下を引き連れた紅蓮狐の若頭さんが来た。
「たいした売れ行きじゃないか。ショバ代くらいは稼げたか?
ま、この分なら3日後には売掛金の回収に行ってもよさそうだな。」
「そうですね、食材の費用があるので利益としてはまだ届いていませんが
売上金での話なら場代に届いています。」
「おう。上客になりそうなニイチャンの言うことだから信じてやる。
俺はキッチリ金を払う奴が大好きなんだ。」
「はい。では9日後にまた。」
一礼して片付けを再開する。やはり筋を通してから始めたのは正しかったようだ。
◇◇◇◇
屋台を始めてから10日目、1回目の支払いに紅蓮狐の事務所へ向かう。
「お?闇市のアイス屋か。」
「ハサマです。場代の支払いに来ました。」
「おう。入りな。」
普通なら支払い程度で応対しないはずの若頭さんがなぜか目の前に居る。
「ニイチャンよ、今日はどこまで支払うんだ?」
「今日までの場代と卵の買掛金ですね。なんとか利益を達成できました。」
「そうかそうか、他の連中もこれだけキッチリ払ってくれりゃ苦労はねぇんだが
ニイチャンは筋ってモノを理解しているな。良い心がけだ。」
「それは…どうも。」
「俺はそういう気持ちのいい奴から利息は取らねえ主義なんだ。
じゃ、これからは場代だけになるが支払いをキッチリ頼むぜ。」
「はい、ではまた10日後…。」
案外面倒見の良い人なのかもしれない。
通貨の支払い方、やっと登場




