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扉が閉まるまで  作者: 長谷部 葉
3/6

職場の多忙

「相模。昨日言ってた書類できた?」

「はい。これですね」

「後で確認しておくから。じゃあ今度はこれお願い」

「わかりました」

「凉くん、ちょっと調査手伝ってくれない?」

「待ってください。すぐ行きます」

「相模君。今日は陽子と玲子が外回りしているから、管理室のデータをまとめといてくれ」

「はい」


NEAのオフィスは大忙しだ。とはいえ先輩達の様子からほとんど通常運転のようだった。NEAの本業は逃げ出したニークの駆除だが、そのための雑用も当然必要な仕事である。

先輩達はそれぞれ役割が振られているが、新人は全ての仕事の手伝いがメインのため、あちらこちらへ動き回っていた。


「紅井さん。書類まとめました。ボス、管理室のデータはこれですよね……今確認しましたが問題ありません。荒田さん、手伝いましょうか?」

「え、これ今まとめたの?」

「はい」

「相模君。問題なしと言ったが、現在空間管理部第五課はサーバーがダウンしてトラブルの原因を究明しているところだ。そのデータからは分からないかもしれないが、一つ一つチェックすればわかる事だ」

「その事ですが、サーバーダウンの原因は第四課のサーバーが重可動していてネットワークを圧迫していたみたいなので、第四課に注意とサーバーのリミッターを一時的に付けておきました」

「そうか。すまない」

「荒田さん、何をお手伝いしましょうか?」


荒田さんは目を丸くして止まっていた。


「大丈夫ですか?」

「凉くんこそ大丈夫? 疲れてない?」

「全く……」

「そ、そう。ならいいんだけど。それじゃあアマワラの論文をかき集めてまとめてくれない?」

「パソコンに送りますね」

「ありがとう……ってもう来た」

「他に手伝うことありませんか?」


今度は紅井さんも目を丸くしていた。


「本当にあんた仕事できるのね」

「なんか僕がいじめてる気分になるよ」


二人が唖然としていると、ボスが目を開けた。


「来る」

「みんな。出動準備して」


ボスが何かを察知すると、紅井さんはそれをみんなに伝えた。


「来るって何が来るんですか?」

「何って凉くん。もちろんニークだよ」


荒田さんがニヤついてそう言うと、オフィスの警報機が鳴った。


『NEA。カザリグが数体第一管理室管轄のA257-3-15に入りました。ただちに捕獲してください』


「だってさー。どうするボス?」

「そうだな。折角だし相模君行ってみるか。それと紅井君も行こう」

「ボス。新人がカザリグの相手をするのは、いくらなんでも危険すぎます」


第三管理室時代でもガザリグという名前は聞いたことがある。ガザリグはニークの中でも攻撃性が高く、また現界に留まろうとする特性がある。さらにこのガザリグは一つの集団を成して行動する。その集団には必ずガザリグをまとめるリーダーのガザレグリムがいる。ガザレグリムは体長がガザリグの二倍、人間の一.五倍あり、まだ解明されていない未知の方法で遠距離攻撃をしてくる。昔第四管理室でガザリグの集団が現れてNEAが出動していたことがあったが、聞いた話によるとNEAの一人がガザリグに大怪我を負わされたらしい。紅井さんの言う通りここは新人の出る幕ではないのだろう。しかし、ボスは意外な反応をした。


「安心したまえ。彼は君の想像より強いだろう。相模君行けるよな?」

「え……も、もちろんです」

「それじゃあすぐに準備して駆除してこい!」


恐怖はあったがボスの言ったことも正しかった。ガザリグを殺したことがあるボスの攻撃を避けたんだ。これはつまり、少なからず回避能力はガザリグやガザレグリムより高いという事だ。


「行ってきます!」

「相模。手ぶらで行くき?」


紅井さんはいつの間にか鎧に身を包み、大きな剣を持っていた。


「でも武器とか持ってないですし……」


そう答えると、ボスは手を触れず遠くにある大きなロッカーを開けた。そしてそこからいくつかの武器を取り出したかと思うと、刃の方を向けて飛ばしてきた。


「危なっ」


たくさんの武器を投げられたため到底避けれそうにはなかった。そこで、武器の素材、大きさ、形などを見極め、最も小回りが効きそうな武器をキャッチし、他の武器を払い落とした。


「うむ。君にはそれが合うだろう。じゃあ行ってこい」

「ボス。相模の装備は……?」

「要らん。むしろ邪魔になるだけだ」

「それもそうですけど……」

「早く行くんだ。シャッターを突き破って移動するかもしれない」

「わかりました! 紅井さん。行きましょう」


そうして一息もつかないままオフィスを出て、現場である第一管理室管轄のエリアA第一層と呼ばれるところに向かった。

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