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扉が閉まるまで  作者: 長谷部 葉
2/6

相模の異常

「……とまあ仕事内容はざっとこんなもんかしら。何かわからない所ある?」

「大体わかりました」

「凉くん、アリスちゃんの説明でよく分かったね」


荒田と呼ばれていた青年はニヤつきながら聞いてきた。


「何よ。私の説明の仕方に文句でもあるの?」

「そんな、とんでもない。ただ僕はアリスちゃんの芸術的な程に壊滅的な説明を理解した新人くんに驚いただけだよ」


確かに紅井さんの説明は荒田さんの言う通りあまりにも不足する点が多くまさに壊滅的だった。


「凉くん本当に大丈夫? 僕が優しさを持って教えてあげるよ。誰かと違ってね」

「あんた……」


紅井さんが荒田さんのことを睨むと再び髪の色が赤くなった。しばらくすると紅井さんは間違いなく熱を帯び始めた。その様子を見て状況を理解し、「大丈夫です。本当に理解出来たので」と答えた。すると荒田さんは再びニヤついた。


「そうかそうかー。まあ自己紹介も兼ねて、本当に覚えているかテストしてあげるよ」

「テスト……ですか?」

「そう。テスト♡」


荒田さんはそう言うと、じっと目を見つめてきた。


「な、なんですか?」

「こっちこそ聞きたいよ。なんで君は憑依が効かないんだ?」

「憑依?」

「ああ。僕の能力だよ。もしかして凉くんは能力が効かないとか……では無いよね。さっき陽子ちゃんのワープで来たし、アリスちゃんの発熱も暑そうにしてたから。なんで僕のだけ効かないんだ? まあいいや。面倒だけど口頭でクイズを出そう」

「望むところです」


荒田さんは次々と紅井さんに教わっていない質問をしてきた。もちろんそれら全てに正解した。


「凉くん、心読んだりしてないよね?」

「いや、そういう訳では……」

「荒田君。そんな考えたらわかるクイズを彼に出しても無意味だ。彼はなんて言ったってNEAの入隊試験満点だからね」


ボスの発言にオフィス全体が静まり返った。


「え、ボス、マジっすか?」

「あんたそんなに賢いの?」

「NEAの入隊試験は当然賢いだけでは無意味だ。紅井君も知っているだろう」

「それにしても満点って……」

「相模君の能力については調査済みだ。まあせっかくだしみんなに見せてあげなさい。銃弾ならこれくらいか?」


ボスは両手を広げて見せてきた。それに対して指を三本出し「これくらいがちょうどいいです」と答えると目を閉じたまま笑った。


「荒田君。拳銃を出して」

「ボス、何するつもりですか?」

「まあやれば分かる」


荒田さんは不安げな顔を浮かべながらも拳銃を取り出した。


「実弾を込めて相模君の額から三センチ離して発砲しろ」

「三センチ!?」

「やればわかる」

「あんた、本当にやらないわよね? いくらボスが言っていても間違いなく即死よ? 死んだらアレンでも治せないわ」

「まあ、ボスが言うから仕方ないよね」


荒田さんは躊躇無しに額から三センチ離して引き金を引いた。その引き金の動きを見計らい、頭を横に倒し、銃弾をスレスレで避けた。その異様な光景にNEAの先輩達は唖然としていた。


「今、何が起きたの?」

「相模君。これはどうかな?」


ボスはそう言いながら中に浮かせていたものを全て音速の数倍で飛ばしてきた。前方全てを塞ぎながら飛ばしてきたため避けることはできないと考え、向かって右側の物を指で叩き落とし、左側に飛んできたものを右側にかわした。


「今のはボスのフルパワー……それをいとも簡単に……」

「こいつ、一体何なのよ」

「相模君、馬鹿な二人と気づいて答え合わせをしたい三人に教えてあげなさい」

「はい。僕の能力は……」

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