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「主殿、我等も跪いた方が良いのでは?」


出陣前にケイオスに跪くフェイルとアリューズを見てアレスが言った。


「ははは・・・何言ってんだ、俺があんな固っ苦しい事させる訳ねぇだろ。俺達ゃ何時も通りで良いんだよ」


ライラの頭を撫でながら答えるとライラが俺に聞いて来た。


「主様、何か作戦は有る?」


「何も、しいて言うなら何時も通りにだ。アレスが前でライラが後ろ、お互いがお互いの良い所を出せる様に補佐しあう。それが出来ればお前達の勝ちだ」


俺の答えに黙って頷く二人の肩に手を乗せる。


「今日は明日の本番に向けての最終調整だ!今までやって来た事が間違っていなかった事を証明して来い!」


「「はい!」」


元気よく返事をして開始線へと向かう二人を見送り席に着いた。


ニコニコと上機嫌で開始線に付いたライラを見て怪訝な顔をしたフェイルが口を開く。


「おい、嬢ちゃん、この間は俺との手合わせ断った癖に今日は随分とご機嫌じゃねぇか」


「むふふ・・・今日は勝ったら主様がご褒美くれるんだ~」


「ハッ!そいつは現金なこった。で、そっちはあの時のオーガ・・・だよな?・・・・・随分変わっちまったが俺達の相手なんて務まんのかね」


「さて、どうであろうな・・・・・だが、今まで主殿の言が外れた事は無い・・・とだけ言っておこう」


「フェイル、時間の無駄だ、さっさと終わらせちまおう」


「はぁ・・・お前はちっとは楽しもうって気は無いのかよ・・・・・まぁ良いぜ、何時でも掛かって来な」


「フッ・・・・・では、御言葉に甘えて此方から行かせて貰うとしよう」


そう言うとアレスは腰の刀の柄に手を掛けフェイル目掛けて駆け出した。フェイルは右手に大剣を下げたままで構えもせず、アリューズは杖を中水平に構え詠唱に入る。


「喰らえ!抜刀・飛焔斬!キエエエェェェェ!」


アレスが刀の間合いに入る少し手前でスキルを使い、抜き放った刃から噴き出した炎がフェイルを襲う。

フェイルが右手に下げた大剣を左に振るうとアレスの放った炎が掻き消された。


「ハッ!この程度の炎が俺《ゴン!》にっ!・・・・・てめぇ・・・何時の間《ガン!》にっ!・・・・・・・・」


アレスの背後に気配を殺して付いて来ていたライラがアレスの放った炎に合わせてフェイルの背後に回り後頭部を剣の腹で強打し、フェイルが振り向いた所をアレスの峰打ちが脳天を捉えフェイルは白目を剥いて崩れ落ちた。

余りの出来事にアリューズは愕然として固まってしまい詠唱も途切れてしまう。


「ふむ・・・まさかこうも綺麗に決まるとは・・・・・」


「うん、私も吃驚しちゃったよ・・・・・じゃぁ続きをやろうか、アレスさん」


「うむ、確か『時間の無駄だ、さっさと終わらせちまおう』であったな」


白目を剥いて仰向けに倒れるフェイルからアリューズに視線を向けるライラとアレス。

二人の視線に我に返り、額からだらだらと汗を流して見る間に顔色の悪くなるアリューズ。

ライラとアレスが一歩、また一歩とアリューズに近づいて行くとそれに合わせてアリューズも下がって行き・・・・・杖を手放し両手を挙げた。


「ま、待ってくれ!降参だ降参!俺達の負けだ!俺一人じゃそっちの嬢ちゃん止められねぇよ!」


「む、我等はそれでも良いのだが・・・・・そなたの主はそれで良いと言うのか?」

 

三人が観覧席に眼をやると、そこには憤怒の形相で此方を睨むケイオスと腹を抱えて笑うパンドラの姿が有った。

ケイオスと目が合いゴクリと息を飲み後ずさると、アリューズは慌てて杖を拾おうとしたがアレスに杖の先を踏まれていて動かす事すら出来なかった。

アリューズが杖を掴んだまま踏んでいる足から徐々に視線を上げて行くと、にやけ顔のアレスと目が合い、次の瞬間後頭部に衝撃を受け視界が暗転した。




「ククククク・・・いやぁ~流石将軍様だ、見せてくれるねぇ・・・ハハハハハ!・・・・・はぁ~最高の見世物だったよケイオス君・・・ククククク・・・・・」


「くっ・・・あの馬鹿共が慢心しおって・・・・・帰ったら我自ら稽古を付けてくれるわ」


「そう言うなって、個々の能力が高過ぎるせいで連携が必要なかったのがあんた等の弱点だっただけだ。それが解っただけでも収穫は有ったろ」


ケイオスと話をしているとライラとアレスが戻って来た。


「主様!勝ちました!」


飛び付いて来たライラを受け止め頭を撫でてやり、二人に労いの言葉を掛けてやる。


「良くやったな二人共、文句無しだ。所でアレス、お前あんなスキル持って無いだろ。何だありゃ?」


「あれはライラ殿から気を逸らさせる為にその場で思い付いた技名で、特に意味は有りません。少々大げさな方が効果が有るかと思ったのですが・・・・・予想以上でしたな」


「ブハハハハ!そいつは良いや!明日もその調子で奴を出し抜いてやろうぜ」


こうして俺の思惑通り?ベルトラン王国と俺達が勝利を収め御前試合は終了し、昼食会へと移動した。

ここまで読んで頂き有り難う御座います。

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