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魔王城から転移しガーランド家に帰ると門番に来客があったと告げられる。


「馬車の中でしたので、はっきりとは言えませんが黒髪の女性でした。不在を伝えると貴族街から出て行った様です。それと・・・・・後、お二人程お客様がいらっしゃってまして・・・・・奥様が御相手しております」


「ん?何か歯切れ悪いな・・・・・アイリスさんが対応してるって事は宰相様か?」


「え、ええ・・・それと国王陛下が・・・・・」


「あれか?昼飯食いに来たとか」


「おそらくは」


「しょうがねぇ奴等だな、近衛の連中も止めろよ」


「それが・・・近衛も楽しみにしていたらしく・・・・・」


「あぁ・・・解った・・・・・全部ジェラルドのせいだな・・・あの野郎が誑かしたに決まってる」


屋敷に入り出迎えてくれたジェイムスから居場所を聞きだし、食堂に向かうとアイリス、国王、宰相だけでなく近衛六名までテーブルに着いて昼間から酒を飲んでいた。


「おうおう、お前等昼間っから仕事ほったらかして何やってんだ!特に近衛!お前等護衛任務中だろうが!どいつもこいつも何考えてんだ!」


俺が怒鳴り散らすと近衛達が慌てて立ち上がり国王の後ろに隠れるように走って行き言い訳を始めた。


「い、いや、パンドラ殿、我等近衛は陛下の命には逆らえんのだ」


「そんな言い訳が通用すると思ってんのか?!陛下の過ちを諌めるのもあんたらの仕事だろうが!」


「あ、ああ、すまん。この様な旨い料理は初めてだったもので誘惑に負けてしまったのだ。近衛として有るまじき行為であった、反省している」


「・・・・・よし、取り合えずあんたらは良いだろう。ライラ、料理全部食べていいぞ」


「そ、そんな・・・パ、パンドラ殿後生じゃ。せめて後一皿・・・いや、一口で良いから食べさせて貰えんか!」


「ダメに決まってんだろ!俺が自分から言ったとはいえ、この国の為に魔王の説得所か反対派の将軍倒して来てんだぞ!昼飯も食わずに、だ!ライラなんか将軍二人倒したんだぞ!お前等仕事放り出して酒盛りなんかしやがって恥ずかしくねぇのか!!」


「お、おお、それは大儀であったな。うむ、我等が悪かった。ライラ殿と申したかご苦労であったな。何か褒美を・・・・・望みはあるか?」


「ん~別に無いかな。私は主様のお役に立てたらそれで良いし」


「お~ライラは良い子だな~。お前はあんな大人になるんじゃないぞ~。さて・・・主犯はジェラルドだな・・・お前が国王を唆したんだろ?『今まで味わった事のない酒にあう料理がある』とか言って」


「い、いや、私はだな陛下にも味わって頂きたくて・・・その・・・何だ・・・あ~・・・すまん・・・・・」


「あのな、今が一番大事な時だって解ってねぇだろ!全員で酒の匂いさせて帰ってみろ『陛下と宰相様は酒と肴でガーランド家に懐柔された』とか『ガーランド家は騎士団長の座を酒と肴で買った』なんて噂が立つだろうが!そんな事になってみろ、レンフォール派の騎士や兵士がミゲイルの移動に合わせて反乱起こすに決まってんだろ!」


「・・・そ、そうだな・・・すまん私が浅はかだった。そなたに任せておけば問題ないなどと思い込んでおった」


「・・・よ~し・・・取り敢えず酒の匂い消さなきゃいかんな・・・・・・・二人共こいつを飲め」


「な、なんじゃこれは随分と酷い匂いじゃが」


「ど、毒・・・では無いのだよな」


「毒の訳ねぇだろ、寧ろ身体には良いぞ。薬草と毒消し草を乾燥させて磨り潰した物をハーブティで溶いた物だ」


「ひょっとして嫌がらせとか・・・・・」


「何言ってんだ、罰だよ罰。酒の匂いも消せて一石二鳥だろ」


「わ、わしは飲まんぞ!こんな物を飲んだら旨い酒と料理の味を忘れてしまいそうじゃ!」


「おお、良いぞ。その代わり今後ガーランド家と俺の店に出入り禁止だからな。それでも良けりゃ飲まずに帰れ」


「くっ・・・それでは二度と唐揚げが食べられなく為るではないか!」


「フッ・・・お持ち帰りは無しだ。全ての店員にも徹底させて隠れて持って帰れない様に見張らせるぜ。諦めてそいつを飲むんだな・・・一つだけ良い事を教えてやろう・・・一気に流し込んだ方が少しはましだ」


「ジェラルドよ、わしらに勝ち目は無い諦めよ。わしは腹を括った・・・ふぅ~・・・・・ゴクゴクゴク・・・ぐあぁ!何と言う苦味とえぐ味じゃ!堪らん息をするだけでも臭いがぁ~!!」


「おお、流石は一国を預かるだけの事はある。見事な散り際だ・・・・・さて、ジェラルド・・・あんたの番だ」


「・・・・・くっ・・・先に飲んでしまえば良かった・・・・・だが此処で引く訳には行かんか・・・・・かぁっ!・・・ゴクゴクゴク・・・ぐはぁ!酷い!酷すぎる味じゃ!ぐあぁぁぁ!!」


「せめてもの情けだ・・・水を飲ませてやろう・・・・・そら、口の中を濯ぐ様にゆっくり飲め・・・・・良~し・・・次は、近衛達の番だな・・・・・」


顔中に脂汗を流し苦しむ国王と宰相を見て青褪める近衛達が短い悲鳴を上げる。


「・・・・・6対1だ・・・ライラ、こいつ等の酒が抜けるまで軽くもんでやれ。ジェームスさん、ケント君に見学する様に言ってくれるかい。多数相手の体捌きの勉強だって。さて・・・ガーランド家の時期当主が失望する様な無様な真似だけはするなよ」


近衛達に木剣を渡し有無をも言わせずに送り出した後、今日の会談の結果を報告した。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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