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二百十年前、魔族領北部山岳地帯にある竜人族の集落に向けて魔王率いる魔族軍が進攻した。
魔王軍は山岳地帯の麓に拠点を置き、時の魔王『暴君アースラ』は竜人族に対し大陸北部は魔族領だとし、配下になるか山岳地帯を明け渡せと最終勧告を告げた。
これを受け竜人族は『我ら竜人族は魔族より長きに渡りこの地を治めて来た。明け渡す気も無ければ配下に下る気も無い』と一蹴し防衛戦に入る。
元々数の少ない竜神族だったが個々の戦闘力は高く地の利もあり、一進一退の攻防が続いた。
ケイオスの父『黒竜フェルニ』と叔父の『白竜ズメイ』は最長老に集落の防衛を言い渡されていたが、ケイオス以下精鋭十名を連れて魔王軍に東西から挟撃を仕掛けた。
この作戦により魔王軍を1/3まで減らした時、上空から光がズメイを襲った。
光の奔流がズメイへと流れて行き戦場にズメイの呻き声だけが響き渡り、やがて全ての光がズメイへと収まるとその体が淡い光に包まれた。
「・・・ふむ・・・・・やはりこれでは無かったか・・・・・だが何処まで出せるか試してみるとしよう・・・ハァッ!!」
そう言うとズメイだった者を中心に半径100mに渡り光と熱の暴風が吹き荒れ周囲の全てを吹き飛ばした。
暴風が収まった後には巨大なクレータが残され、その中心には全身を切り刻まれた様な痕の残ったズメイが己の血溜まりに沈んでいた。
魔王アースラは直撃を免れたが大怪我を負い魔王城まで逃げ帰り、回復後は北への進軍を取り止め南へと進軍を始めた。
方やケイオスは父フェルニが覆い被さる事で難を逃れたが他の者は生きておらず、集落へと帰ると長老達が施したと思しき強力な結界に阻まれ今も尚集落へ入る事が出来ないと言う。
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「・・・・・集落へ帰れぬ事は良いのだ・・・最長老の言に背いたのだからな。だが、叔父上の体を乗っ取り戦いに横槍を入れ、我等を愚弄した奴だけは許せん」
「あんたの気持ちは良くわかったよ。だがそれが創造神の仕業だと何故言い切れる?」
「ああ、それはアースラから聞いた。奴は創造神に『竜人族を誘き出せば私が倒す、黒竜と白竜さえ居なければ後は如何にでもなるだろう』と誑かされたのだ」
「なるほど、その後はアースラと手を切って人族を焚きつける段取りをしたって訳か・・・・・良い話が聞けた、お陰で奴の目的が解ったよ。ありがとな」
「奴の目的か・・・・・自分を受け入れられる受容体を探している・・・と言った所か・・・・・」
「正確には『作り出そうとしている』だ。創造神を名乗りながら自分の身体すら作れないなんて情けねぇ話しだと思わねぇか」
「ククク・・・確かに。だが奴の力は本物だ、誘き出したとして勝てるのか」
「言ったろ対策を練ってるって。今直ぐには無理だが必ず奴は俺が倒す。だから力を貸してくれ、人族との和解・・・いや、ベルトラン王国との和平と同盟だけでも良いから頼む」
「良かろう、ドラグーン王国としての独立宣言とベルトラン王国との和平と同盟を文書にしてそなたに託そう。ヴァイス、直ぐに用意を。して、ビブリエ教国は如何する」
「独立とベルトラン王国との和平と同盟の宣言文書を貰えりゃ後は俺が交渉する。調印式はベルトラン王国でやるつもりだからその時は迎えに来るよ」
「何だ、我に足を運べと言うのか。普通は謝罪する側が足を運ぶものだろう」
「本来ならそうなんだが・・・人族に知らしめると言う点であんたが姿を見せる必要が有るんだよ。魔王が竜人族で人族と変わらない存在だってな」
「少々気に食わんがそなたに任せると言ったし、まぁ良いか・・・・・しかしベルトラン王国との同盟か・・・・・軍事関係以外で我等に出来る事なぞ有ったかな」
「それも考えてある。あの目玉・・・フロートアイっつたか?あれは売れるぞ。他だとビックボアとブラックベアもだな・・・・・リザードマンって増やせるか?あれも高値で売れる」
「ああ、試験場に居た魔物はどれも作り出せるな。しかしフロートアイは悪用されるからダメだ」
「あれを調理したものを売るんだよちょっと待ってな・・・・・・・・・・そら、これ飲んでみな」
俺は収納から調理器具とフロートアイを出してその場で調理して見せ、ケイオスと将軍達に配った
「ほう・・・・・これは旨いな・・・確かにこれなら高値で売れそうだ」
「国境にベルトラン王国の砦があるだろう?今あそこを交易都市に作り変え始めた所なんだ。だからこっち側にも交易都市作って、そこで大量生産して取引したらいい。勿論俺も買いに来るぜ」
「ふむ、それは面白そうだ。上手く行ったら食用の魔物の開発も良いかもしれんな」
「よっしゃ!決まりだ。後は魔族がベルトラン王国内で普通に働ける様になれば自然と他の国も習う様になるだろ」
「そう言えばそなた、引抜きを掛けていたが、ベルトラン王国で受け入れられるのか?」
「今王都近くを開拓しててな、そこなら直ぐにでも入れるぞ。そこで農業や畜産関係学んでこっちに帰ってくるとかも有りだし。王都で俺の出す店の店員に雇っても良いぞ」
「暫くは風当たりも強かろうが、そこは本人次第か・・・・・調印式以降は本人達の自由にさせよう」
「良いねぇ王様ってのはそれぐらい寛容で無きゃな。後は前回の取引と・・・そうだ、土産が有ったんだ。こいつは世界で俺にしか作れない酒だ、将軍達は一樽、陛下には二樽置いて行くから良かったら試してくれ。それじゃ材料の所に案内して貰えるかい」
「ああ、俺が案内しよう、頼みたい事もあるしな・・・・・そう言や名乗ってなかったか、第一将軍フェイルだ宜しく。じゃぁ行こうか」
俺達はフェイルの後に付いて裏庭へと向かった。
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