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アレスとタニアを魔の森に送り届けた後に王都に戻った俺は、北商業地区を歩き回ってハンス商会にお邪魔する事に。
「結構でかいんだな・・・・・これで中堅だと大商会はどんだけだよ」
両開きの扉を開け中に入ると右側の壁には陳列棚が有るが商店と言うより役所の様な作りで小売ではなく仲介や卸売りがメインだと解る。
正面のカウンターに居る女性に名前を告げると周囲がざわつき、直ぐに二階の応接室に通された。
応接室で一人出されたお茶を飲んでいると、ばたばたと駆け込む様に一人の男が部屋に入ってきた。
「お待たせして申し訳ありません。会頭が長期出張から戻るまでの間、当商会を任されております副会頭のホレスと申します。以後お見知り置きを」
「パンドラだ、ハンスさんからどう話を聞いたか知らないがそこまで畏まらなくてもいいぜ。今日来たのは開拓と出店の許可が出たんで出店だけでも急げないかと思ってね」
「も、もう許可が出たのですか・・・・・会頭が急いで指示を出して出かけていった理由が解りました。店員と入植者に関しては昨日から募集を始めておりますが店舗に関しては北地区に手頃な空きが無く、幾つかの店舗を買収する方向で行こうかと」
「ん?北地区にって事は他ならあるのか?別に北である必要は無いし土地だけでも良いんだぜ」
「え、ええ・・・・・まぁ・・・有るには有るのですが少々問題がありまして・・・お勧めする訳には・・・・・」
「どんな問題だ?出来れば現地も見たいんだけどダメか?」
「南地区の中央広場から少し北に中央通りを行った所で立地条件は申し分ありませんが・・・その・・・正面にある商会が王都一の商会で・・・隣に直営の食堂がご座いまして・・・・・他の商会を潰す為に開けられた土地と言われてます。うち程度の商会が太刀打ち出来る相手では・・・・・」
「何だそんな事か、心配いらねぇよ。ハンスさんから聞いてないのか?あんたの所は俺の依頼でやってるだけだから相手にしなくていいんだ。ま、敵情視察もしたいし案内してくれるかい?」
「・・・・・聞いておりますよ・・・商会内で全てを聞いているのは私だけです。だからこそ慎重にならざるを得ません・・・・・パンドラさん・・・世界が敵にまわるって何です?ハンスが動いた以上私は従いますけど何が起こるのか位は知って置いた方が良いと思うのですが・・・・・違いますか?」
「・・・・・あ~世界情勢が変わる・・・魔族との和平が為り教国が衰退もしくは滅亡する・・・・・と言ったら信じるか?」
「そ、そんな・・・教会の影響力を知らないんですか!?魔族との和平なんて事に為ったら周辺諸国が黙ってませんよ!貴方はこの国を滅ぼすつもりですか!」
「おいおい、魔王が味方に為るんだぜ、何処の国が攻めて来るって言うんだよ。五十年前の大進攻以上の兵力集めるのに何年掛かる?教会の影響力?そんなもん直ぐに無くなるから心配すんなっつーかこの話し信じるの?お前」
「・・・信じたくありませんけど信じますよ・・・それに・・・もう手遅れなんですよね?」
「ここから先は国家機密に相当するんだが・・・・・聞きたい?」
「・・・・・いえ、その問いで十分理解しました。最悪教国が無くなる事を想定して動きます」
「まぁそう心配すんな。何が有ってもこの国は救う。マークス・ガーランドと約束したし、出来るだけ被害を抑える為に動いてんだ。あんたは開拓地用に種や苗とか家畜の用意をしとけば良いんだ」
「あ、ああ・・・そう言えば村か町一つ戴けると聞きましたが場所と規模を教えて頂けないでしょうか。それによって募集人員や物資も変わってきますので」
「場所は王都から北西に一日程行った所で『魔の森』って呼ばれてる所だ。ええっと・・・・・これが許可証と権利書な。広さは地図の縮尺が合ってれば王都よりちょっと大きい位・・・・・かな?北側から森の中央を抜けて西に向かって結構大きな川が流れてるから水路も引き易いと思う」
ホレスが俺が置いた書類を手に取ったまま固まってしまった。
「あ、あれ?どうした?書類に不備でも有ったか?お~い、大丈夫か~」
ホレスの目の前でてをひらひらさせるとホレスは俺を睨みつけ捲し立ててきた。
「・・・・・あのですねぇ・・・こんな所を渡されてどうしろって言うんですか!此処がどんな所か知ってるんですか!?年に何回も騎士団が魔物を間引いても溢れて来るのを止めるのが精一杯で、街道を離しても魔物の被害が無くならないんですよ!ガーランド家に所縁が在るのなら知ってるでしょう!?二十五年前の氾濫で先代のハリス様は王都を守り左腕を失って亡くなられているんですよ!!」
「ああ・・・良く知ってるよ・・・・・昨夜のうちに中心地まで行って拠点を設営してきたし、ここに来る前に部下を置いて来たからもう開墾も始まってる。ガーランド家の敵討ちって訳じゃないがこの国を守るって言った以上、危険は排除しないといけないだろ。心配すんな、約束通り全て更地にして入植者用の家も用意する」
「・・・え・・・・・あ・・・な、何を言って・・・・・」
「ふぅ・・・理解出来ないって面だな・・・・・良いんだホレス、何も心配は要らない。お前はハンスに言われた通り俺に協力すれば良い。そうすればこの商会は世界一の商会になるんだ。俺じゃなくハンスを信じろ。ずっとそうやって来たんだろ」
「・・・あ・・・そ、そうだ・・・ハンス・・・あいつの判断を信じてやって来た・・・・・私に理解出来なくても何も問題なかった・・・・・パンドラさんハンスが信じた貴方を信じましょう。入植可能になるのはいつ頃になりますか?」
「十五日前後を予定してる。最初は少数でいいだろ。どうせ直ぐに噂になって人は集まる。職人用の施設に必要な物は材料と設計図さえ用意すれば俺が作るから発注しなくていいぞ」
「は?・・・つ、作る?あ・・・いや、解りました、宜しくお願いします」
「よし、じゃあ店舗を見に行こうぜ。あ、多分買う事になるんで金とかの準備も宜しく」
「はい、現在借り手すら居ない状況なので底値になってますから問題ありません。直ぐに馬車を用意しますから少々お待ち下さい」
「ああ、馬車はいらねぇよ。自前の乗り物が有るんでな。用意が出来てんなら行こうぜ」
そう言って店を出ると収納から車を出して後部座席のドアを開けて頬を引きつらせているホレスを押し込み、ドアを閉めて運転席に乗り込んで南地区へ向けて出発した。
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