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アレスの訓練を始めて十日が過ぎ、二つの広場を越え三つ目の広場まで何事も無く辿り着いたが、四つ目の広場に行く途中の通路にそれは居た。


(主様、敵が・・・え・・・こっちに向かってくる?・・・・・)


(アレス!丸太を捨てろ!2人共急いで下がれ!・・・・・ライラ!そこの角を曲がったら俺を置いて更に下がれ!念話が届くぎりぎりの所で待機だ!)


(くっ、あいつ私より早い!主様お願いします!)


ライラは俺を置きアレスを押す様に走って行き、ほんの数秒でそいつは角を曲がり姿を現した。


それは人間の顔に獣ような体、無数の棘の付いた尻尾を持つ四本足の怪物だった。


(うわっ!きもっ!っと、行かせねぇよっと)


角を曲がるためにスピードを落としたそいつを俺は靄で拘束した。


(ライラー、アレスー、捕まえたぞー。戻って来ーい、面白い奴が見られるぞー)


「グルルル・・・ナンダコレハ!ハナセ!ナニモノダキサマ!!」


(やっぱり話せるんだ・・・人の顔してるからもしやと思ったけど・・・・・きもいな~こいつ、何度見てもきもい)


(うわぁ・・・主様何ですかこいつ・・・何か中途半端で気持ち悪いです・・・・・)


(むぅ・・・なまじ人の顔の出来が良いだけに残念な・・・・・)


(こいつはマンティコアって奴だな。ライラ、どうする?こいつも食いたいか?食うなら取っとくけど)


(えぇ~嫌ですよこんなの~・・・気持ち悪いし、体も細くて筋ばかりで不味そうじゃないですか。主様が吸収しちゃってくださいよ~)


酷い言い様である。こいつも目玉を食べようとしたライラにだけは言われたく無い台詞だろう。


(しかしこやつ喧しいですな。自分の置かれた状況がまったく解っておらん・・・・・主殿、我が教育致しましょうか?)


(いやいや、その必要はねぇよ。こいつの相手なんぞ時間の無駄だ。アレス、こいつはお前が殺れ)


アレスに首を刎ねさせた後に吸収して今後の対応を話した。


(状況から見てあいつはライラ以上の索敵範囲と早さを持っている訳だが、俺の靄で捕まえられる以上対応は出来る。ここから先アレスはライラの後方5m前後を保って移動、敵を察知次第丸太を放棄して後退。ライラは敵を10mまで引き付けてから後退して攻撃範囲内に入ったら俺が拘束、この流れで先を進もう)


俺の作戦が嵌り特に問題なく進んで行き、八匹のマンティコアを順番に倒して経験値を稼いだ所で状況が変わった。

今まではある程度進むと曲がり角が有ったのだがそれが無くなり先が見えない程の直線になったのだ。


(拙いなこりゃ。一匹ならまだしも複数来られたら対処出来る速度じゃないってのに・・・・・)


(主様はここに居て私が引き連れて来ましょうか?)


(いや、それはダメだ。俺との距離が離れるといざと言う時に対処出来ない)


(主殿、我に策が有ります。我があやつの移動速度を落として見せましょう。ライラ殿は敵を察知したら我の足元に主殿を置いて下がってくだされ)


(おいアレス、お前自分を壁にする積もりじゃねぇだろうな)


(まさか、その様な真似をしても何の意味も無い事位解っております故ご安心を)


俺はアレスを信用しアレスの言う策を聞いて二、三匹なら行けるだろうと判断して先に進んだ。


(敵襲!数2!退避します!・・・・・主様、アレスさん後はお願い!)


(お任せあれ、ライラ殿!主殿行きます!)


アレスはそう言うと通路一杯に広がる様に両腕に抱えた丸太を投げた。

マンティコア達は広がった丸太を避ける為に速度を落としながらも襲って来たが二匹共俺の靄に拘束され倒された。


(行けそうだが油断は禁物だな。ペースを落として慎重に行くぞ)


その後暫く進んで行き、更に六匹倒した所で通路の先に光が見えた。


(二人共止まれ・・・拙いな・・・あの先は多分広場だ。どれだけ敵が居るか解らねぇ・・・・・アレスは後5m程下がれ、俺とライラで少し進んでみる)


俺とライラは慎重に進んで行くと直ぐに反応があった。


(敵襲!数5!撤退します!)


(拙い!数が多い!ライラ!俺をアレスの前に置いてお前は背後からアレスの補助だ!)


(解りました!主様、アレスさんお願い!)


ライラが俺を置いてアレスの横を抜けると、直ぐにアレスは丸太を放り投げ背中の剣を構えた。

俺は速度が落ちて視認出来たマンティコアを次々と靄で拘束したが、丸太を避け陰に隠れて視認出来なかった最後の一匹を逃してしまう。

剣を正面に構えるアレスにマンティコアが飛び掛り、その牙でアレスの肩口に喰らい付くとその衝撃でアレスは背中から倒れてしまった。


(ライラ!対処を!アレスは無事か!)


俺はマンティコアに圧し掛かられているアレスを慌てて確認すると、マンティコアの背中から剣が生えていた。


(主殿、我は問題ありません。ライラ殿は主殿の手伝いをお願いします)


そう言ってアレスは圧し掛かったマンティコアを転がし剣を引き抜いたが、噛み付かれた肩からは血が流れていた。


(馬鹿野郎!怪我してんじゃねぇか!何が問題無いだ!ライラ、急いで薬草出せ!)


俺はマンティコアを急いで吸収しライラに薬草と布を渡してアレスの手当てをさせていると頭の中に声が響いた。


《LV上限に達し条件を満たした為、進化を開始します。進化先を選択してください。1:木箱(大) 2:宝箱》


(な、なん・・・だと・・・二人共、手当てが終わったら一旦下がるぞ、曲がり角まで撤退だ)


このまま此処で進化するのは危険だと判断し、撤退する事にして曲がり角を超え少し行った所で俺は二人に告げた。


(二人共、良く聞いてくれ。これから俺は進化するため暫く無防備になる。然程時間は掛からないだろうが十分に注意を。ライラ、背負子から外してくれ)


頷く二人を見ながら俺は進化先を選択した。

ここまで読んで頂き有り難う御座います。

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