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我武者等 4
「…光政、
お前はつくづく哀れな奴だ。
人を憂う事は優しさだ。
誰かに優しくし、
優しくされるからこそ、
人は誰かを守ろうとする。
だから人は強くなりたいと願うのだ。
それを知らぬ者に、強くなる資格はない。」
「…っ、黙れ!!
お前に何がわかる…
何が強さだ…
何が信頼だ…
そんな綺麗事…」
「本当のことだ。
隼は己の地位や権力の為に人を殺したことは一度としてない。
だがな、
もしもそれを破り、
間違った道を進みそんなことをするような時は、
俺は迷うことなく隼をこの手で殺す。
隼もまた、俺がそんな奴になったら同じようにするだろう。」
目を反らすことなく真っ直ぐに見つめた済んだ瞳には、
まるで色あせてしまったかのように小さく映る光政の姿がありました。
「他人に殺されるというのは武士の恥だ。
だがその恥や傷の痛みよりも、
仲間を裏切るという痛みは、
胸をえぐられるよりも酷く苦しいのだ。
それこそ、武士ではなく
人としての恥だとは思わぬか・・・。」
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