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ポーランド侵攻 3

「こりゃ、、、ひでえな」


トラックの幌の隙間から外をみていたトーマスがそううめく。


トーマスの視線の先には我らがドイツ国防軍の先鋒と、ルフトバッフェがもたらした惨状がひろがっていた。


(・・・これが現代戦か)


クラウスも幌の隙間から見える光景に息をのむ。


クラウス達が所属するSS第一自動車化師団は陸軍の第1装甲師団、第4装甲師団及び第4自動車化師団とカルテットを組み、北方軍集団の先鋒部隊としてポーランドに侵攻した。


その戦闘の規模は想像を絶するものだった。


クラウス達は『実戦経験者』をもってしても呆けてしまうくらいものであった。


クラウス達カルタヘナ組は実戦童貞はスペインで捨てているうえ、アンシュルス(オーストリア進駐)もこなしている。


部隊が臨戦態勢に入ること自体は特段思うところもないくらいだったが如何せん規模が全く違った。


カルタヘナのときはせいぜい中隊規模。


アンシュルスの際は連隊規模でそこそこのボリュームだったが、どこか行軍訓練を彷彿とさせる弛緩した空気もあった。


だが今回は違った。


第一装甲軍団は北方軍集団の中の一軍団に過ぎないが、その軍団だけでも400輌以上の戦車と1万台近いトラックなど各種車両が配備。


作戦開始前夜の時点ではドイツ西部国境は軍で埋め尽くされるような状況だった。


そしてその類を見ない規模で貯められた暴力の塊は、ちょび髭総統の号令によりポーランドに侵攻を開始。


そしてその暴力の最先鋒である第一装甲軍団は、クラウス達前線の兵士をして明らかに準備不足と分かる有様のポーランド軍防衛ラインを瞬く間に突破。


軍団は防衛ラインの要所要所を突破しただけであり、防衛ライン自体にはまだ多くのポーランド陸軍が戦力を保ったまま存在していたがその相手は後続の歩兵師団にまかせ、そのまま装甲軍団はポーランド奥地に浸透。


過去の戦争で未だかつて現出したことがない速度で戦局が推移したのだった。


そしてこのとんでもない速度で推移する戦局は全く新しい景色をクラウス達第一装甲軍団に所属する兵士に見せていた。


ひっきりなしに空をいきかうルフトバッフェは地上の兵士よりもはるかに奥地のポーランド軍拠点や部隊を攻撃。


防衛線突破後に遭遇する敵部隊はひどく混乱し、まともに陣地の構築すら終えていない、いやそれどころかもろに行軍している最中であり行軍陣形のままこちらと遭遇戦に発展することも少なくなかった。


(それはこっちも同じだけどな)


クラウスはこれまで何回か繰り返された戦闘を思い出しそう思う。


国防軍が防衛ラインを突破しポーランド軍後方に浸透した結果、前線という概念が曖昧化。


一応偵察部隊が本隊に先行して出来るだけ戦場の把握に努めてはいるものの、前線が曖昧化された結果、予期せぬタイミングでの遭遇戦の勃発が当初の想定よりも大幅に増えているのであった。


ただ衝突の規模はそれぞれの戦場に限ってみれば限定的で、小規模の部隊同士での衝突が多かった。


というのもドイツ側、ポーランド側問わず第一装甲軍団が浸透した戦域においてそれぞれ原因は異なるものの、双方共に兵力が広範囲に拡散していたからだ。


ポーランド側はそもそも軍の動員の最中であり、それぞれの原隊の駐屯地から前線に部隊が移動中の状態での開戦となった。


だが鉄道を始めとする交通インフラと移動中の部隊はルフトバッフェの優先攻撃目標であり、大部隊でのまとまった移動は困難を極めた。


大隊単位での移動がやっとの有様で、交通インフラの破壊度合によっては中隊単位、小隊単位での移動すら行われる始末であった。


それに対しドイツ側はドイツ側でポーランド軍防衛ラインを装甲軍団は突破したもののその総数は多くなく、それに対し占領すべき作戦目標は非常に多かった。


無論、装甲軍団がこじ開けた突破口からは順次後続の歩兵師団が追いかけて来てはいたが、装甲師団・自動車化師団とは機動力の差が大きく第一装甲軍団が広げた戦線のカバーが全く追いついていなかったのだ。


だが歩兵が追いついてくるのをちんたら待っていては装甲軍団の機動力が持ち腐れになるだけであり、拠点の維持のために部隊を細分化してでもポーランド奥地への展開を優先したのだ。


そんなわけで中隊単位以下での予期せぬ遭遇戦が増えてはいったが、とは言え戦車を含む装甲部隊と行軍中の歩兵部隊が遭遇すればどうなるかは目に見えている。


クラウス達が通り過ぎようとしているポーランドの片田舎の村も先行する戦車部隊とポーランド軍歩兵部隊で戦闘が行われた結果、多くのポーランド兵が物言わぬ躯になり地面に倒れ伏していた。


どうやらルフトバッフェの航空支援もあったようで、重砲の着弾跡をはるかに凌ぐ大きなクレーターがそこかしろに開いており場所によってはかなり凄惨なことになっていた。


今はかつて戦友だったであろうそれらをポーランド軍捕虜が死んだ魚の目をして片付けている。


国防軍側の被害はほとんどなかったようで、エンジン故障など機械的な故障で数台の戦車・トラックが村はずれで修理作業をしている以外はポーランド軍捕虜の動きを監視している兵士と、少数の負傷兵が居残っているに過ぎなかった。


「・・・ポーランド軍にだけは入りたくないものだな」


「あぁ、全くだ」


戦車部隊に一方的に蹂躙されたポーランド軍部隊の成れの果てを見て思わずクラウスはトーマスとそう頷き合うのだった。


だが、この時二人は勝ち戦に慣れ、忘れていたのだった。


敵のふところ深くに潜り込むということは、一歩間違えれば敵中に孤立するということ。


そして槍を折るには穂先ではなく柄を狙うのが定石であり、SS第一自動車化師団は第一装甲軍団という北方軍集団がポーランドに突き立てた槍の中でまさに柄というべき箇所に位置してしまっていたことを。







過去ログ見てて気付いたのですが、ちょうど本日も1周年となります。

誤字が多く、更新が不定期な本作ですがお付き合い頂きましてありがとうございます。

皆さまの感想、リアクション、評価を燃料に日々執筆しております。

いつかは出版して(ちょっと題材的に無理な気もしますがw)もっと多くの読者の方に読んでもらえたら嬉しいなという夢をもちながら引き続き書いていこうと思います。

今後も拙作をよろしくお願いいたします。

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おめでとうございます。大変でしょうが、これからも楽しみにさせていただきます。
ハイルちょび髭! 応援したいです!
ちょび髭の中の人がどうなってくのか楽しみ!!
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