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〈アコ〉とダンス

 午後からは、また〈アコ〉とダンスの練習だ。

 正妻候補とは、パーティーに出席する機会が多くあるため、入念に練習する必要があるらしい。


 僕は〈アコ〉の腰に左手を添えて、〈アコ〉の左手を僕の右手で握りながら、ステップを踏み出した。


 「久しぶりに〈タロ〉様と踊れて嬉しいですわ。よろしくお願いします」


 「僕も〈アコ〉と踊れて、胸が高鳴っているんだ。よろしく頼むよ」


 何ともクサイ台詞だが、口からこぼれるのが止められない。

 異世界転生は、アイデンティティすら崩壊させてしまうのか、なんて怖いことだ。ブルブルだよ。

 僕は断じて、鼻持ちならないキザ野郎ではないと、宣言だけはしておこう。 


 立て続けにスカート捲りが達成出来て、調子に乗っているのが、自分でも良く分かる。

 が、あまり逢えない〈アコ〉だから、強引でも勢いに乗って、極親密になろう。

 なろう。「なろう」だから問題ない。


 「まぁ、〈タロ〉様、胸が高鳴なんて、揶揄からかっていらっしゃるのですか」


 「揶揄ってなんかいないよ。〈アコ〉はスタイルが良くて、美人だから、二人で踊れるのを楽しみにしてたんだ」


 「そんな。私はそれほど、スタイルが良くありませんし、美人なんてとんでもないですわ。〈タロ〉様は、お世辞がお上手ですね」


 「悲しいな。〈アコ〉は信じてくれないんだね。心からの言葉なのに」


 「まぁ、〈タロ〉様、本当にお上手ですね、うっかり信じてしまいますわ」


 「やっと信じてくれたんだね。嬉しいよ。〈アコ〉は美人で、スタイル抜群なのが確定したね」


 「もぉ、〈タロ〉様、これ以上はお止めになって。恥ずかしくて、踊れなくなってしまいますわ」


 〈アコ〉はそう言いながらも、頬をポッと薔薇色にして、満更でも無い様子だ。

 やっぱり、女の子は褒めないといけないな。


 〈アコ〉との会話を楽しみながら、練習をしていると、〈ドリー〉ダンス講師から新たな指導が入った。


「〈タロ〉様、〈アコ〉様、上達されましたね。正しく滑らかに踊れています。このステップはこれで十分ですので、次のステップを練習して頂きます。次は難しくなりますので、そのおつもりで。足の位置はここで、次はこう動きます。その次は…… 」


 〈ドリー〉の言うとおり、次のステップは中々難しくて、二人は黙々とステップの練習を繰り返した。


「お二人ともステップばかり気にして、足元を見過ぎです。お顔を上げて、お互いの顔を見て下さい。〈タロ〉様は、〈アコ〉様の身体をもっと引き寄せて、適切に誘導して下さい」


 〈ドリー〉は、無理なことを言うな。同時にするには難しい内容だぞ。

 〈アコ〉の腰に回している手に、若干力を込めて、ぐいって、〈アコ〉の身体を僕の方に引き寄せた。

 密着状態だ。


 〈アコ〉の胸が、僕の胸と接して、〈アコ〉の胸が大きいのがまざまざと分かる。

  マスクメロンくらいあるんじゃないかな。麗しのメロンおっぱいだ。


 顔を上げて、〈アコ〉の顔を見ると、とんでもなく近い。

 引き寄せたのだから、当然だけど、直ぐ近くに〈アコ〉の顔がある。

 息がかかりそうな近さだ。いや、少しかかっているぞ。


 〈アコ〉も顔を上げているから、二人で見つめ合うことになる。


 〈アコ〉の瞳は琥珀のように輝き、澄んだ泉のようだ。

 唇は小振りだが幾分肉厚で、ほんの少しあだっぽく、もう大人の女性の雰囲気をまとっている。


 「〈タロ〉様、あの、その、もう少し力を緩めて下さいませんか。胸が苦しいのですわ」


 「悪い。少し緩めるよ」


 メロンを潰してはいけない。


 「〈タロ〉様、私の顔をそんなに見詰めないで、くださいな。そんなふうに、見られたら恥ずかしくて堪りませんわ」


 「ゴメン。〈アコ〉の顔が綺麗だから、眼が離せないんだよ」


 「もぉ、〈タロ〉様、私をどうするおつもりですか。心にも無いことを仰って」


 「そんなことは無いさ。さっきから言ってるけど、〈アコ〉はとっても魅力的でとりこになるんだよ」


 「ふぅ、〈タロ〉様、強く抱き寄せて、甘い言葉を言い続けるのは、狡いです。こんな事をされたら、平常心を保てませんわ。おまけにずっと見詰めるなんて。〈タロ〉様こそ、私を虜にするおつもりですか」


 「〈アコ〉を虜に出来たら嬉しいなとは思っているよ」


 「〈タロ〉様が、こんな意地悪だとは思いませんでしたわ。私はもう限界です」


 〈アコ〉は、顔を桃色に染め上げて、潤んだ目で、僕を見詰めてくる。

 唇が触れ合いそうな近さだ。


 「キャー」


 ふいに〈アコ〉が態勢を崩して、倒れそうになった。

 僕は慌てて、〈アコ〉の身体を倒れないように下から支える。


 「〈アコ〉、大丈夫か」


 「〈タロ〉様、すいません。ふらついてしまって」


 「足をくじいたりはしてない」


 「大丈夫です。ただ、あの、その、私のお尻から手を離して頂けないでしょうか。もう立てますわ」


 何だか柔らかい物を触っていると思ったら、〈アコ〉のお尻だったのか。

 離したくないな、もっとこの存在感のある、フニュとした心地良い感触を楽しみたい。


 「〈タロ〉様、聞いていますか。もう、私のお尻を触らないで下さい。お願いしますわ」


 「悪い。直ぐに手を退けるよ」


 〈アコ〉は、真っ赤になった顔を、両手でおおい隠すようにしている。

 そんなに恥かしかったのか。照れてる仕草は年相応で可愛いな。


 「〈アコ〉様がお疲れのようですので、練習はここまでです」


 こうして、ダンスの練習は、少しハプニングがあったけど、無事終了した。

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