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こんとん大戦  作者: 寿
47/68

リョジュン艦隊

短い更新です。

これから数日間多忙のため、短い更新となりますが、なにとぞよしなに。


 大矢健治郎と天宮緋影がパリへ出向いている頃の話。


 オロシヤ帝国は、すでに極東へと派遣していた艦隊のうち、ウラジオ艦隊を喪失していた。

 ヤワラギ海軍第二艦隊による殊勲である。

 だが極東艦隊はウラジオのみではない。

 ヤワラギから見れば大陸への入口、リョジュンに船は残っている。

 しかもリョジュン港というのは、ヤワラギから見れば砲門を林立させた要塞が守りを固めていた。

 ヤワラギは、リョジュン艦隊に手を出すことはできない!

 そう思っていた矢先だ。

 ヤワラギから大艦隊が押し寄せて来た。

 大型艦ばかりだ。

 強襲しようというのか?

 リョジュン陸軍司令官、ドラチェンコ将軍は迎撃を命じた。

 撃て! 撃て! 沈めてしまえ!

 皇帝陛下の栄光に泥を塗る民族どもめ! 海の藻屑と消えるがいい!

 ヤワラギ船団の来襲は深夜であった。

 将軍は寝間着から制服に着替え、オートミールを腹に流し込むと、すみやかに司令部の椅子に腰かけた。

「状況はどうか」

 将軍としてあるべき対処をし、あるべき場所に就いたドラチェンコは、芝居掛かっていると自分でも思うほど泰然とした態度で、参謀たちに目を向けた。

「ヤワラギ艦隊、なおも接近中!」

「先頭艦は、間もなくリョジュン港湾へ侵入します!」

「第三砲兵隊配置完了! これより砲撃に参加します!」

 ドラチェンコにとっては暁幸である。

 砦の火力が増えるのだから。

 うむとうなずく前に、さらなる砲兵部隊が射撃開始の報を上げてきた。

「ならば速やかに攻撃させたまえ」

 苛烈な砲撃を浴びせる反面、ドラチェンコは疑問を感じていた。

 ヤワラギ艦隊からの反撃が無いのだ。

「どう思う?」

 参謀に意見を求める。

 一、艦隊は輸送船団である。

 一、夜間ならばリョジュンに入ることが出来ると、艦隊は踏んだ。

 一、あるいは、夜間に荷揚げしたい荷物がある。

 一、護衛艦隊がいると発見されるおそれがある、つまり秘匿したい荷物を積んでいる。

「そこから推察すると、リョジュンを直接強襲する、夜間部隊を運んでいるのかと」

「それは絶対に、上陸させてはいかんな」

 実際には、船団に夜間部隊など搭載してはいなかった。

 ヤワラギの船団は、リョジュン港から極東艦隊が出て来られなくするための、廃船だったのだ。

 つまり、廃船をリョジュン港の出入口に沈めて、極東艦隊が通過できなくするという作戦だったのだ。

 どうせ沈める船なのだから、ヤワラギ海軍としては大砲の歓迎は、むしろウェルカム。

 と思いきや。

「司令官! 福竜丸、沈没しました!」

「なにっ! 他の船はどうかっ!」

「大鯨丸、機関損傷! 海神丸、航行不能っ!」

「司令官! この船も、もうダメですっ! 退艦してくださいっ!」

「えぇいっ! 港口はまだ先だぞっ!」

「お気持ちはわかりますが、もう沈みますっ!」

 という具合に、沈没予定の場所へ届かぬうちに沈められて、成功とは言えない結果に終った。

 リョジュンに艦隊を残し、なおかつバルチック艦隊を迎え撃つとなると、ヤワラギ海軍は二面作戦を強いられることとなり、俄然不利になる。

 そこは避けたいと頭を抱えているときに発案した、苦肉の策であった。

 戦わずしてリョジュン艦隊を無力化したいところであったが、思うような結果は得られなかった。

 このリョジュン封鎖作戦は、海軍としては完遂したい。それにはひとつ理由があり、リョジュン艦隊を見張るために、連合艦隊が張り付けにされていたのだ。

 全部の船を見張りにつけなくても、いいんじゃないの?

 それはその通りだ。見張りごときにすべての艦船は必要ない。

 しかし、リョジュン艦隊に動きがあれば、即座に叩くというのであれば、話は違ってくる。

 しかも、リョジュン艦隊を一隻残らず全滅させるというのなら、なおさらだ。

 リョジュン艦隊の一隻でも取り逃がせば、ウラジオへ帰還し整備補給。

 その上で霧に紛れ、ヤワラギ輸送船団に襲いかかってくるだろう。

 そうなると上陸した陸軍は、兵站を失った状態でオロシヤ陸軍と相対することになる。

 オロシヤ兵は体格でヤワラギ兵に勝り、数でもヤワラギ陸軍を上回っている。

 さらに言うならば、ヤワラギ陸軍が決戦の場と想定している満蒙の地は、永久凍土。

 オロシヤ兵たちのホームなのである。

 兵站を失った状態では、オロシヤに勝てる訳が無い。

 それがわかっているから、海軍としてはリョジュン艦隊を早急に無力化したいのだ。

 その上で艦隊を帰国させ、補給と整備、兵のへの休息を与え万全の態勢をこしらえたのち、バルチック艦隊を迎え撃ちたいのだ。

 刻一刻、バルチック艦隊は近づいてくる。しかしリョジュン艦隊は出て来ない。しかもバルチック艦隊が、太平洋へ出るかツシマ海峡を抜けるか、それすらわかっていない。

 ヤワラギ海軍としては、問題山積みの状態だ。

 その困り果てた状況で、陸軍が協力を申し出てくれたのだ。


 ならばリョジュン要塞を落とすべし、と。

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