月曜☆ちゃぶ台劇場
月曜☆ちゃぶ台劇場
朝、目を覚まして顔を洗いにゆく。
寝汗で少し顔がベタついたか。あまり快適なコンディションとは言えない。
夏はまだ終わっていない。朝から汗をかいているのも、当然と言えば当然である。
ヒゲも少しあたった方がいいだろう。
俺はヒゲの濃い方ではないが、だからこそ伸びると格好の悪いヒゲになる。
鏡をのぞき込んだ。
右の頬に、「お仕事です」と書かれていた。
が、石鹸で顔を洗う。
塗れタオルを顔に押しつけ、ヒゲを柔らかくして、それからカミソリを取った。
月曜日の朝だ。
わかっている。
しかし、朝っぱらからかよ。
いや、ちゃぶ台劇場に朝も夜も無い。
油断したヤツから命を落としてゆくのだ。
それがちゃぶ台劇場の掟である。
居間に入ると、相変わらず忍者と使鬼たちが、我が物顔でちゃぶ台を占領していた。
我が家には人外しかいないのだろうか?
忍者を人間扱いしていない俺もどうかと思うが、人間の枠に入ることを許されない忍者というのもどうかと思う。
つまり忍者を人間扱いしていない俺は、まったく悪くない。
ちゃぶ台に着く。
聞き覚えのあるイントロが流れ始めた。
襖が開いて緋影と出雲鏡花が出てきた。
タヌキの着ぐるみだ。
二人は声をそろえて歌い出す。
たん・たん・タヌキの大爆(笑)♪
繰り返し申し上げるが、こんとん大戦は歌詞の引用など一切おこなっていない。
芙蓉に瑠璃っぺ忍者さん♪
まだ続けるのか、二人とも!
ってゆーか、使鬼と忍者がスクールメ〇ツとか称して、ポンポン持って踊りだしたぞ!
おかげで客は俺ひとり。
いまにも孤独死してしまいそうだ。
俺の孤独を察したか、芙蓉がマイクを向けてきた。
「あ~ゆ~はっぴぃ?」
「いぇい♪」
反射的に答えてしまった。
しかし芙蓉は、かまうことなく進行する。
「それじゃあそろそろ行ってみよいかな! ヤング! オーオー!」
「芙蓉、いい加減にしなさい」
珍しく緋影が、主らしい態度をしめした。
「ただでさえ『突然ガバチョ』ネタを使っているのです。作者がO阪府出身と、バラしているようなものじゃありませんか」
「うんうん、そうだねぇ。先週もどおくまん先生をネタにしてたしねぇ」
「芙蓉!」
とても珍しいことに、緋影が本気になって怒っている。
ちなみに俺は、道頓堀ダイブの経験は無い。
洗濯機ぃフライドチキンのおじさんを、入水させたことも無い。
「さあ緋影さま、気を取り直して本編に突入しますわよ!」
その本編が、俺の胃をさいなむ最大の原因なのだが………。
「今回は、現在作者がプレイしているゲームを題材にしようと思いましたが!」
「気が変わりましたわ」
「ドラマ版、翔んだカップルです!」
ヤングオーオーといい翔んだカップルといい、お前ら若年層の読者をおいてけぼりにしすぎだろ。
というか松田〇作ネタまでカマしてやがったし、本当に自重しろってんだ。
「知ってましたか、鏡花さん?」
「なんでしょう、緋影さま?」
「翔んだカップルのエンディングを歌っていたのは、あのH2Oなんですよ?」
「まあ! テレビアニメみゆきのopとedを歌った、あのH2Oですの?」
あぁ、名曲「思い出がいっぱい」は、美しい曲だったな。
「♪大人の快感味わう~………でしたわね?」
出雲鏡花、お前俺の青春を汚しやがったな。
「鏡花さん、君はまだシコ〇コだからと続くんですよ?」
二人とも、今この場で腹を切れ。
「緋影さま、翔んだカップルですわ」
「そうでしたね、鏡花さん。いまでこそ定着したNGという単語。実はこの番組から一般化したのです」
強引に話を修正しやがったな、お前ら。
「NG、すなわちノー・グッド。緋影さまはMGと思い込んで、勝手に『マチガイ』の略だと訳してましたわね」
「天宮緋影、米英語は赤点です」
よし緋影、今日も居残りで英語の補習な。
「ですが鏡花さん、この番組は視聴率が良かったのか、のちにシリーズ化して『~ライバル』、『~パープリン』と続きましたね」
「それだけではありませんわ、緋影さま。この流れは当時のアイドル原田知世さんによる、『セーラー服と機関銃』、『ねらわれた学園』へと昇華しますのよ?」
知世か? 知世なんだな? よし、俺にまかせておけっ!
「原田知世さん………罪な方ですねぇ………」
「とり・みき先生、火浦功先生、ゆうきまさみ先生、出淵裕先生。………様々な先生方を虜にしましたわね」
「ですが鏡花さん、作者は原田知世さんのことを、エ〇ボ・アク〇洗顔フォームのCMで見初めた後発なんですよ?」
「だらしない男ですわね」
「所詮ふにゃチ〇のチキン野郎なんですよ」
使鬼たちと忍者が、親指を下に向けたブーイングを送っている。
「それでは緋影さま」
「いつものアレをキメましょうか? せ~の………」
『カーーッ………ペッ!』
と、その時そこに!
百万頭のマッコウクジラが現れて、居間を通過して行った!
「マッコーーッ!」
「マッコーーッ!」
「マッコーーッ! マッコーーッ!」
というか、予告も前振りも無しに、月刊OUTネタかよ?
流星皇子〇みぃかよ?
「あぁっ! 鏡花さんっ!」
「あぁっ! 緋影さまがマッコウクジラの群れに飲まれ………私もですのっ!」
かなり楽しそうな歓声をあげながら、二人はマッコウクジラの群れに流されて行った。
………悪は滅んだ。
またもや平和が守られたのである。
しかも二人は、アウシタンという肩書きまで背負ってくれたのだ。
尊い犠牲である。
そしてマッコウクジラが通りすぎた後、俺の背後にダイオウイカ百万匹の気配がするのだが、それは気づかないふりをしておこう。
次回予告
花の都パリで明石大佐を護衛する我々だが、この男とにかくいかがわしい店へ立ち入りたがる。
しかも飲めや歌えやのフィーバーっぷりは、諜報予算を圧迫するほど。
それでも任務は任務。
輝夜の刀が暗殺の弾丸を斬り落とし、瑠璃の魔性が男たちをトロけさせる。
次回、「芙蓉は飲んでるだけ」に、絶対期待しないでください。




