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我が栄光は姫のために!!  作者: 石田未来
第一章 無能姫
5/12

 模擬戦の場所を後にするとクラウドは城へと戻っていった。とくに今日はこれといった職務もなかったため、色んな場所を廻っていた。

 途中で兵士や家来の人から挨拶を受け、丁寧に返した。



「クラウドさん。少しよろしいですか?」


 突然背後から声をかけられた。クラウドは背後の声の主を見るように後ろを振り返った。

 そこにはバイオレットブルーのボブカットに眼鏡をかけた女性が立っていた。胸はあまり大きくはないものの、小さいというわけでもなかった。いわゆるバランスがとれているというものだ。


「あぁ、クラリスか。どうしたの?」



 さっきの声の主の名前を呼んだ。彼女の名前はクラリス・アミン・エルネスト。エルネスト三姉妹の一番下であり、知略と魔術に秀でておりエルネスト王国宰相をしている。

 彼女はエルネスト三姉妹の中で最も母親に似ていると言われている。似ているというのは、女王オリーシャの大名詞 謀略 のことである。

 クラリスは女王陛下オリーシャと同じく謀略が上手いため、外交などにも役に立っているのだ。



「クラリア姉様がどこにいるか知りませんか?」



 口調は上の姉2人とは違い、少しかたいところがある。本人曰く、相手に敬意を払っているとのことだ。



「さぁね。朝一緒に寝てて寝癖のことを言ったらどっかにいちゃったよ?」



「一緒に寝ていたのですか……?」



「あっ!いや、その色々あってね!?」


「私は構いませんが、避妊はしてくださいね?まだ私は叔母にはなりたくありませんから。」


「なっっ!ちょっと変なこと言わないでくれよ!?」/////


 いきなりそんなことを言われたクラウドは顔が少し真っ赤になってしまった。避妊なんて言われてしまい主に使えるものとしていけない妄想を一瞬してしまったことを恥じた。



「ふふふ。ではクラリア姉様を見つけた場合は私には教えてくださいね?」



「わかったよ。」


「では私は忙しいのでこれで失礼します。」



 そう言うとクラリスはクラウドの元を後にした。彼女の手にはたくさんの資料があったので、少し引き止めすぎたと反省をしていた。


「クラリスは頑張り屋だな。クラリア様でも見つけるか…。」



 クラウドはクラリスに頼まれたクラリアを見つけるための情報を得るためにと思い、また城の中を進んでいった。

 仕事を探している道中、食堂によった。そこでは、昼ごはんの準備がされていた。みんな休む暇もなくせっせと準備をしていた。

 すると給仕の女性がクラウドに声をかけてきた。


「あら〜、クラウドさん!もうお腹がすきましたか?」


「やぁ、セルビーさん。クラリア様を知らないか?探しているけど…。」


 セルビーという名前の給仕の女性。彼女は、食堂の料理長であり、彼女の料理は他の人と比べても格別に美味しい。

 クラウドは毎回セルビーに頼んで作ってもらっているのだ。他の人にはこっそり……。

 彼女は美人でもあるため、兵士達から人気でもあった。つまりバレたら殺されるかも………。


「ごめんなさい。王女様は見てないわ。」


「そうか…。仕方ないか。すいません。お手を煩わせて。代わりに手伝いますよ?」


「ほんと?。助かります!だったらテーブルを拭いてもらっていいかしら?」


「わかった。任せてくれ。」



 クラウドはセルビーにそう言うと、布巾を手に取りテーブルを拭いていった。手際よくテーブルは拭き終わり他にはスプーンやフォークの準備やお皿をだす手伝いなど積極的に手伝えることをやっていった。

 そして、もうすぐ、昼ごはんの時間となった。


「ありがとう!クラウドさん!軍師殿にこんな雑務本当にごめんね。」


「いいですよ!俺が好きでやっていますから。

 すいませんが、今日はお昼はいらないです。

 ちょっと立て込んでいて……。」


「そうですか……でしたら私が後でクラウドさんの部屋に昼ごはんを届けますよ?」


「そんな…。悪いですよ。」


「構いませんよ?むしろこれぐらい当然です!」



 クラウドはクラリアを探すために、昼ごはんの時間をさいて探すことにした。まぁ、ほんとはセルビーの料理が食べたかったのだが、

 なんとセルビーさんが持ってきてくれるらしい。

 手伝っていてよかったとこの時ほど思えたことはないだろう。



「ありがとうございます!では失礼します!」



 クラウドはセルビーにかるくお辞儀をしていき食堂を後にしていった。


「クラウド様かっこいいわ!」

「ほんとね!素敵だわ。礼儀正しいし。」



 他の給仕の女性がクラウドをことを話していた。クラウドは誰にでも基本礼儀正しく、優しいため女性からの人気は高い。

 とくに、給仕の女性たちからの人気が高く、ファンクラブまで出来ているほどだ。



「クラウドさんともう少し話したかったな……。」


 セルビーは、クラウドが行ってしまったことに残念な表情を浮かべており、さっきまでの明るい彼女とは対照的であった。




「クラリア様はどこにいるんだ?」



 食堂を後にしたクラウドは再びクラリアを探していた。しかしなかなか見つからないため、途方にくれていた。

 もしかしたら、外出しているのかもしれない。そう考えたクラウドは、城の中庭に出てみることにした。

 中庭には、綺麗な花や大きな木があった。これは、女王オリーシャの趣味のガーデニングによるものである。一つ一つ手入れが行き届いており、中庭を鮮やかに彩っていた。



「ここにもいないのかな?」


 そんな花を横にクラウドはクラリア探しに没頭していた。

 すると、数十歩先に2人の人影があった。何かしているようだが、とりあえずそこまで行ってみることにした。



「どうですか?これは食べ頃ですよ?」


「ほんと!?食べる!食べる!」



 その声はどこか聞いたことのある声だった。もしや!と思い、その2人のところに走ってよっていった。



「ここにいたのですか?クラリア様?」


「あら?クラウド。どうしたの?」


「これはこれは、クラウド殿。どうなされましたのか?」



 一方はクラウドの主 クラリア。そしてもう一方は190の長身に立派な銀色の髭と後ろでとめた長い髪の好々爺のような人であった。

 彼の名前はグランドル・カルヴァン。王女たちのお世話係をしており、先々代の国王の頃から使えている、古株の家来の人だ。

 クラリアのことを理解してくれる数少ない人物で、クラリアもぐランドルになついている。



「グランドル殿。何をなされていたのですか?」


 クラウドはついさっき2人のやっていたことが気になりグランドルに尋ねた。


「いや〜、街の知り合いから芋をもらいましてな。焼き芋にしてクラリア様と食べていたのですよ?」


 そう言うグランドルの手には金色に輝く焼き芋が手にしてあった。

 それをみたクラウドはお腹がなってしまった。



 ぐぅぅぅぅ〜〜〜〜!!!!!!


「あっっ!これは…」


「はははは!!腹の虫が泣いていますぞ?クラウド殿!!」


「クラウドも一緒に食べようよ〜!!」


 横からクラリアがクラウドに対して焼き芋をもきゅもきゅ言わせながら食べていた。

 リスのようでとても可愛い。ついクラウドはそんなことを思ってしまった。


「でも、部屋にご飯が……」


「1つ食べては如何かな?」


 グランドルに勧められると、空腹に負け、焼き芋を食べることにした。

 手にとった焼き芋は、割ってみると中身がギッシリ入っており、金色色に輝いていた。


「いただきます!」


「存分に召し上がれ。」



 そう言われるとクラウドは焼き芋にがっついた。焼きたてで熱かったがそれよりも空腹がはるかにまさっており、どんどん食べ進めていった。


「お、美味しい!!こんな芋食べたことありませんよ!?」


「でしょ!?さすがエルネスト芋甘味がくせになるのよ〜。」


 クラリアは既に5つも完食しており、まだ食べようとしていた。だが、それぐらい美味しいのだ。


「クラリア様あまり食べすぎては夜ご飯が入らなくなりますぞ?」


「いいよ。だっていつも食べるのはひとりだし。こっちの方がずっと楽しいもん!!」


 その言葉を聞いた時クラウドは少し胸が痛くなった。彼女の言う通り、王族は兵士達とは違い食堂では食べずに、王族だけで食べている。

 だが、みんな同じ時間に食べようとはせずに、バラバラに食べているのだ。



「クラリア様は1人ではありませぬぞ?なんせこのグランドルとクラウド殿がそばにいますからな!!」


 グランドルはクラウドの背中を叩いてにこやか表情で言った。


「ありがとう。グランドル。」

「礼には及びませんよ。」


 こうして2人を見ているとおじいちゃんと孫のようにも見えた。おそらく、クラリアにとってはグランドルは父親や、祖父のようなものではないかと感じた。



「そういえば、クラリア様。クラリスが呼んでいましたよ?」


「え?クラリスが?どうしてだろう?なんか悪いことしたかな?」



 大体クラリスに呼ばれるとしたら、何かやらかしたことがほとんどである。

 クラウドも1度城の物を壊しクラリスからお説教をくらったことがある。


「わかったわ。じゃあ行きましょう。」


「はい。そうですね。」


 2人はクラリスのところへ行く準備をした。


「ではお2人とも、私はこの焼き芋を皆に配ってきますので失礼しますぞ?」


 といって大量の焼き芋を車に乗せて引いていった。



「私達も行きますか?」


「そうだね。」


 お呼び出しをしたクラリスのところへ2人は走って行くことにした。



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