道の駅
今日はいつもと異なり、俺も彼女も自転車で登校してきたのだった。
今は授業が終わり、下校の時で自転車にまたがる。
「よし行くか」
俺が暑さに負けずに明るい声を出すと、彼女も「行こう!!」とうなずいてくる。
2人ともヘルメットをし、カバンを前のカゴに入れて走り出す。
外は青空が強く、明るく照らしてくれる。
入道雲が勢力を伸ばしており、まるで午前中と変わりのない空だった。
自転車をまたこぎ始めると、額から汗がばっと流れ、俺は首を振る。
それで汗が飛ぶわけではないのだが、ライオンが毛づくろいするような、そんな感じだった。
暑い中、何故、自転車に乗っているのかというと、理由はすぐに分かる。
「大丈夫か?」
俺が前を走りながら振り向くと、彼女は必死でついて来てきており、俺の顔を見てくる。
まるでうさぎが遅れまいと、短い足を一緒懸命、回転させているようで、「大丈夫!!」と言ってきたのだった。
自転車をこぐこと、30分だろうか。
「あ、見えてきた!!」
俺は花火が花開くように、はしゃいだ声を出すと、彼女はふーふーと、辛そうに息を吐きながら前を見る。
「あ!! 道の駅だ!!」
そう、目的地とは、道の駅のことだった。
到着すると、彼女は荒い息を大きく吐き出し、息を整える。
俺もハンカチで汗を拭うと、駐輪場に行くのだった。
彼女が後から来て、自転車を並べて置く。
「早く、早く!!」
目的地について安堵したのか、彼女はうさぎが餅をつくように、楽しそうな雰囲気を醸し出す。
俺はカバンを持つと、
「きっと美味しいぞ」
と彼女と手を繋ぐ。
道の駅は夕方でも賑やかで、駐車場は県外ナンバーが多かった。
夫婦連れや家族連れが多く、まるで首都圏に来たみたいな違和感を覚える。
とある県にある遊園地みたいだなと、さあっと周りを眺め、それから道の駅に入る。
彼女はやや後ろを歩き、ついて来る。
エアコンが効いているのか、中は涼しく、汗だくだった身体が落ち着いていくのが分かる。
「あの!!」
俺が声をかけると、女性スタッフが驚いたような顔をする。
しかしすぐににこやかな表情となり、対応してくる。
「何でしょうか?」
「ソフトクリームを2つ、ください」
「何味ですか?」
「何味にする?」
俺が彼女に聞くと、「普通のバニラ味」と答えてくる。
50円足せば、色んな味がトッピングできるようなのだが、彼女が遠慮しているので、ここは俺もバニラ味にすることにした。
「分かりました。少々、お待ちください」
スタッフが動き始めたのを見、俺と彼女は目的が叶えられると、リラックスする。
「良かったな。わざわざ自転車をこいでまでして」
「うん!! たまには、コンビニじゃなくて、違う場所に行きたいもんね」
俺と彼女は手を叩き合うと、ソフトクリームを待つ。
スタッフは慣れているらしく、さらに器用にソフトクリームを作っていく。
「はい、1つめ」
「ありがとうございます。…お前、先に食べろ」
「え? いいの?」
「いいから。溶ける前に食べてみろ」
俺が勧めると、ようやく彼女がソフトクリームを口に運ぶ。
その直後、大きな瞳を丸くし、口元を緩める姿といったら。
止まらなくなったのか、次々と口に入れていく。
「はい、もう1つ」
スタッフが渡してくれて、会計を済ます。
「ありがとうございました」
俺と彼女はソフトクリームを持ちながら、道の駅を出る。
まだ空は青さが強く、雲が波のように見えてくる。
相変わらず暑く、ソフトクリームが溶けないように、涼しい場所を探し、
「あそこのベンチに座ろう」
彼女はこくりとうなずき、ベンチに座ると、俺はソフトクリームを口に運ぶ。
「うわ、美味しい!! ミルクが濃厚だ」
感想を口にすると、彼女も、「うーん、たまらない」とはしゃぐだので、俺は声を立てて笑う。
頑張ったご褒美は最高だと浸りながら、コーンを齧ると、車から降りた子どもが「あ!! いいな!!」と指差してくる。
俺はびっくりしたが、子どもに向かって手を振ってみる。
子どもは手を振り返してくれ、道の駅の中に入っていく。
「最後の一口」
ぽいっとコーンを口に放ると、彼女が遅れまいと、ソフトクリームを終わりにする。
2人でふふと笑い合うと、
「また来ような」
「うん。自然を感じたいもんね」
指切りすると、その場から離れたのだった。




