妖精のような愛らしさで
ドレスを侍女たちに着せられ、ヴィオが梳かした髪も一つにまとめて高い位置で結わえられる。毛先は少し縦にカールさせてサイドの髪は少しだけ残される。
靴にはドレス同色の少しだけ高さのあるパンプスを履き、両手には薄っすらと黄色のマニキュアを塗られる。
今日が初のお披露目となる例のヘアピンは小さな雫型の宝石をあしらった花形のものを右側につける。装着してから初めて知ったのだが、こちらの雫型のヘアピンには主体となる花の部分とそんな花が舞い散るというように細いワイヤーで花弁となる宝石が下にもついていて、動くたびにそれらが揺れるようになっていた。
ハッキリ言ってめっちゃ可愛いしおしゃれだと思う。
しかも、ワイヤーが目立たないように工夫されているし、揺れるたびに小さなシャランという音が響く。それも楽しい。
最後にショールを羽織ってクルリと回って見せれば支度をしてくれた侍女たちから感嘆のため息が零れる。
「とてもお似合いですわ!!まるで華の精のようで可憐で美しいです」
「ありがとう。このドレス他のものより軽いし本当に妖精の羽みたいね。このヘアピンもこんなに凝っているなんて知らなかったわ!!」
「職人の最高傑作ですから。今度本人にもお伝えください」
「ええ、近々伺うわ」
「お嬢様大変お綺麗です」
「ありがとう、ヴィオ。シルのドレスも楽しみね」
ビーナ様とドレス生地について話始めるとみんなが困ったような仕方ないと言った生暖かい目線をむけてきたが、気になるのだから仕方がないではないか。
だってこのショール本当に肌触りいいんだよ?
はじめてこんなの触ったんだもの。
話を聞けばなんでも南の方にある島国でのみ生産されているものなんだとか…
そんな貴重なものを公爵家のご令嬢7歳に使用していいのか?という疑問は凄いのだけどビーナ様曰く未来への投資なんだとか。
何だろうね未来への投資って
コンコン
「失礼いたします。お嬢様シルビア様の御準備がそろそろ―」
レットが部屋に知らせに来てくれた。
シルにもヘアピンを渡さなくてはいけないからね。本当はドレスと一緒でもよかったのだけど直接渡したくてお願いしていたのだ。
しかし、レットは部屋の扉を中途半端に開けたまま立ち止まっている。
え、大丈夫?
「レット?」
「は!!失礼いたしました。あまりにもお嬢様がお綺麗で少し見とれておりました」
頬をわずかに染め上げるレットがなんだか物珍しくて笑ってしまう。
私の笑いにつられて周りの侍女も微笑まし気に見つめたり、小声で笑ったりするものだから益々レットの顔に赤みがさす。
コホンとレットが咳払いをするがそれすらもなんだかおかしくてまた笑ってしまうのは悪くないと思う。
ひとしきり笑ったので、ビーナ様にパーティー会場でと挨拶をしてともに部屋から出て行く。
小さな箱を手にシルビアの部屋へ向かえば、入り口にゴッテルが立っていた。
「おはよう、ゴッテル」
「…!?…おはようございます、リズビア様」
何の間だよ。そんなに私とあいさつしたくないか?
まぁ原因は100%私側だから文句言えないんですけどね。
「シルビアに渡したいものがあるのだけど」
「どうぞ」
「ありがとう」
2回ノックをすればかわいい妹が入室の許可をくれる。
「おはようございます、お姉さま」
「おはよう、シル。それからお誕生日おめでとう。ドレスはどうかしら?」
こちらを向いたシルビアは私がプレゼントしたドレスを着てくれていた。よかった、少なくとも嫌がってはないみたいね。
「ドレスとても綺麗です!!しかも、生花と刺繍のコラボなんて初めてですもの。約束を覚えていてくださって嬉しいです。ありがとうございます。それから、お誕生日おめでとうございます」
満面の笑みで喜んでもらえるのはこちらもとても嬉しい。しかもシルビアにしては珍しくテンションが高めである。
「ありがとう。気に行ってもらえたようでよかったわ」
「お姉さまも大変お美しいですわ!!」
「ビーナ様がとても貴重な布をわざわざ使ってくださったのよ」
「本日の主役に相応しいですね」
シルビアが私を見つめながら頬をピンクに染めていく。かわいい。
「シルビアにはもう一つプレゼントがあってね」
すっと手にしていた箱を差し出し、空けるように促す。
「これは!!ヘアピン?ですよね?」
「ええ、職人の最高傑作になるものよ。2ついただいたから一つはおすそ分けしようと思って」
「よろしいのですか?だってこれはお姉さまに送られたもので―」
「私に送られたものだからこそ私がシルに渡そうが職人には関係ないわ。それに、使われる頻度は多い方がヘアピンも嬉しいはずだしね?」
悪戯っぽく笑って見せればシルビアも笑ってくれる。
シルビアの側に控えていた侍女にお願いしてシルビアの髪に水色の宝石を使用した花をモチーフとしたヘアピンをつけてもらう。
こちらには私の方みたいにワイヤーとかは使われていなかった。
つまり宝石の色味や大きさを考慮してデザインしてくれていたのか…。いい職人に出会えてよかった。
「お姉さま」
シルビアは髪をおろしたままで左側に着けられている。
ヘアピンの水色はシルビアの瞳と同じ色合いでやはり似合っている。
「とても似合っているわ」
「ありがとうございます」
大人しいシルビアの清楚さを表した白のドレスに色とりどりの小花と黄色と緑を基調とした刺繍。花に好かれたお姫様のようだ。
シルビアと私のドレスは丈の長さが違うからシルビアのパンプスが動くたびに見え隠れするのはとても意地らしいくかわいらしさを強調している。
髪もいつものようにおろしていることで大人しさがあるが、ヘアピンがいつもとは違った特別感を付け足している。
本当に似合っている。作ってよかったと実感できることはなによりのやりがいになるとはよく言ったものだ。
「こちらは私からお姉さまへ贈り物です」
受け取った箱には色とりどりのリボンが入っている。しかも形や幅、生地すべてがバラバラで…
「ありがとう!!これ集めるの大変じゃなかった?」
「お姉さまの為にご用意しましたから大変なんて思いませんよ」
堪らずぎゅ~っとシルビアを抱きしめる。ええええ私の妹超いい子おおおおおお!!!!
天使の様に可愛くて優しくてかわいくて
この子の姉で良かったぁぁああぁ!!ありがとう神様、お母さま、お父さま
「ふふ、お姉さまくすぐったいです」
「あ、ごめんね。本当にありがとう」
「喜んでいただけたのでしたらこちらも選んだ甲斐があります。そろそろ会場へいきましょうか」
「そうね」
プレゼントをヴィオに渡して部屋に持っていってもらう。
あのリボン今度ハンカチとかの装飾に使ってみようかしら?あ、なんなら栞とかどうかな?リボンを活用したかわいいものだとご令嬢受けはいいかもしれないし
「今日は楽しみですね」
シルビアが嬉しそうにいうものだからこちらまで嬉しくなって頷き返す。
2人でこうして誕生日を互いに祝えるのはとても嬉しいものね
題名は一体どちらを指していたのでしょうかね?
次回は少し短めになります。




