花と雫
更新に日にちが空いてしまい申し訳ないです。
作者ごとですが、就職活動が落ち着いたのでゆとりをもって書いていけるって思ってます。
(卒業論文があるけど頑張ります)
公爵邸に帰ってきてからお茶会とか色々あった。
一番の思い出はロゼ姉さまと行った四大公爵家主催のお茶会だったが、それ以外にもお母さまに連れていかれた貴婦人会などにも顔出しした。
もちろん領地と王都は何度か行き来して生活しているが、ようやく移動生活にも慣れてきた。そうして、お茶会などの顔出しもとりあえず一段落した現在…私はというと
「まぁ!!!さすがリズビア様ですわ。ご令嬢方に宣伝してくださったおかげでヘアピンの売れ行きは伸びて注文殺到ですのよ」
「ああ、そうなんですね」
「ええ!しかも次に男性用のネクタイの種類を変容するとは、なんて画期的な」
「そちらはお兄さまとお父さまにご協力いただいて―」
「今や流行の最先端を行くガーナ家に注目しない方はいらっしゃりませんよ!!」
「そっか~」
いや、熱量凄いよ。
マリン・ビーナの熱量がすごくて私はついていけない。
温度差凄いよ?
「あと、例の職人からこちらを預かってきました」
言いたいことを言い終わったのかビーナ殿は咳払いを一つ。私の目の前のテーブルに小さな白い箱をそっと差し出す。
例の…ということはヘアピンをお願いしていた職人が納得したということなのだろう。
「開けてみても?」
ビーナ殿の了承を得て箱を開ける。
中には、光をキラキラと反射させる水色の宝石を使用して花をモチーフにした装飾が施されたヘアピンと雫型の小さな透明な宝石によって一つの花をイメージされているのであろうヘアピンが入っていた。
どちらのヘアピンも以前ご令嬢たちに配布した品よりも質量が大きくヘアピンの柄部分もしっかりとしている。これで今までと違い簡単に折れてしまうなんてことは防げるだろう。
「こちらは職人がやっと満足できる品であり、お嬢様にお使いいただきたく作ったそうです」
「へ?」
いやいや、これ商品では?
ビーナ殿は妖艶に笑ってからテーブルの上にもう三箱ほど似た様な箱を出す。
「職人曰く貴族用の流通商品はこちらのモノだそうで」
ビーナ殿が開けた箱の中にはしっかりとした台座に宝石が散らばめられ、光を反射しキラキラ光り人目を惹く品が入ってはいた。
そう、ただ私が受け取った品に比べるとどれも少しだけ見劣りするような気がした。
それは繊細な装飾の凝りようだとか宝石の量だったり、光加減だったりとか…
「いやいやいやいやダメでしょう!!??これ商品でしょう???何言ってるんですか!!?」
「お嬢様、口調が外れてます」
おっと、いやでもだって
ヴィオの指摘に口に手をあてる私をビーナ殿は面白そうに見つめ、笑われる。
「職人自身が希望されたことを取引相手の私がとやかく言うことはできません。無論こちらに何らかの被害が及ぶのならば考えますがね」
被害こうむってんだよ?これ売れば絶対高いやつだって
商売人の天才デザイナーさんが商売辞めてどうすんの?
「ふふ、リズビア様が思っている以上にうちのブティックは売れ行きがいいのです。ですからお金にはそれほど困窮していない。むしろ潤沢なんです」
それは知ってます。
アローにもお嬢様がマリン・ビーナと縁を持っていると話したとき絶対その縁うちにも繋いで来いってリビア・ノグマインに脅し…脅迫…説得してきたものね!!
それでも―
「売り物を買わずにいただくのは…」
「それは彼がお嬢様への感謝だと言っていましたよ」
「感謝…私は何もしていないと思いますが」
「何もしてなくはないでしょう。彼は職人気質故に技術あれど我々と取引をするような人ではなかった。商売には技術だけでなく期日も求められるから」
それは確かにそうだ。商人は職人たちに期日・納品日を指示しその期日までに品がなければ商人は赤字でしかない。
彼はそんな期日よりも自身の納得を取っていた。だからこそ、儲けにはなかなか発展しなかったのだ。
それをアローに相談してビンズの伝手で彼の存在を知ることが出来、レットに頼んで協力してもらうように依頼したのだ。
もちろんリビアとして実際に彼の人となりも確認してから依頼までは持っていっている。
それでもこの関係は両者の利害が一致したからだ。
御礼なら利益でもらうべき
「それをお嬢様の寛大な心で投資という形も含め職人育成と期日重視ではなく納得重視を選択してくださったことを含めお礼だそうです。それから、今後も自分に依頼を回してほしいといういわゆる賄賂のような」
「わいろ…」
「お嬢様が思っているほど深刻に考えずただ、気持ちを受けとられればよろしいのですよ」
気持ちを受け取る。
確かにこれを付き返すなんてことは出来ない。それでも商品として―
「お嬢様のために彼が一生懸命製作したものをお嬢様が無下にすることはないでしょうし」
「うっ」
「まして誰かのために作られたものを受け取らず、売られるなんて」
「あう」
「されませんよね?」
「…………はい」
そんな風に言われてしまえば断った私が悪いように聞こえるではないか。
しかし、二つもあるんだよな~
どっちかをシルにあげようかな?何かのプレゼントとして―
プレゼント?
「…え?もうすぐ??」
「お嬢様?」
「え、ヴィオ私達の誕生日まであとどれぐらい?」
「1ヵ月と少しかと」
なんてこったい!シルの誕生日プレゼントどうしよう
何をあげたらいいの?あの子が好きなことって読書だけど贈った本を既に読んでますとかありえそう。
ふぇ、どうしよう
「リズビア様は、今年はどのようなお色のドレスにされるんですか?」
「え、まだ決めていません。」
確か昨年は白のドレスだった。うん。なんか盛大にジュースひっくり返してダメにした記憶ある。
もったいないよね。一回きりのドレスになってしまったし
あの後大泣きしてお母さまたちをすごく困らせた記憶がある。恥ずかしい
今年はあんなことにならないようにしよう
「それでは、お誕生日パーティーの際にこちらのピンを使用してください。これに見合うドレスを私がご用意いたしますわ」
「え!?いいのですか?」
あのマリン・ビーナが用意するって絶対汚せない
「今後も良きビジネスパートナーとしてこれぐらい当然ですわ」
ひぇ~。ビジネスパートナーとか言われちゃった
嬉しい。しかも今後も続けてくれるのはありがたい。
だって、まだ逃亡資金貯まってないし
ああ、それなら―
「ビーナ殿、まだシルビアのドレスは受けていませんか?」
「ええ、まだお受けしておりませんが」
「それならあの子のドレスは白にしてくださる?」
「白色のドレスですか」
「ええ」
「昨年もシルビア様は白をお召ではなかったでしょうか?」
そう。昨年のドレスは双子でお揃いにお母さまとお姉さまの希望で真っ白の同じドレスを身に纏った。
本来は色被りがないように配色替えをするのだけど今回は白いドレスの方がいじりやすいから色替えはしない。
シルビアに知られたら怒られちゃうかもだけどね。
でも、これぐらいしかあの子に嫌がられないものが思い浮かばないのだ。
あの子が褒めてくれたものを使って
「問題ありません」
たった一人の妹のために
「ただ、私がデザインした通りに作成をお願いいたします」
マリン・ビーナが一瞬驚いた表情をした後、快く頷いてくれる。
誕生日パーティーにはあの方も来るかもしれない。そうなれば…
誕生日のプレゼントって悩みますよね。
シルビア側はたぶんあんまり悩まず直感で決めてそう(勝手な想像だけど)




