新たな仲間
警戒心をむき出しにするのはお姉さんと茶髪のお兄さん。
目の前のお兄さんは驚いた表情で固まっている。
リーダー格のお兄さんはこちらを苦い表情で見つめながら頭をがりがりとかいている。
エリオットはもう目が死んでいる。
えへへと笑っておこう。あとできっとなんか言われるんだろうけど聞かない、聞こえない。
「ああ~もう、わかった。そいつ無駄に頭いいわ」
「ちょっ!アロー」
「ハンナ、頭がいい奴は追い返しても絶対来るぞ。こっちが嫌とかじゃなくてあっちが嫌って思うのが手っ取り早い対処法だ」
酷い言われようである。
まあ、追い出されても絶対うんって言わすよね。レットとヴィオが居たら絶対に道迷わないし、セスおばさんに聞くよね。あとエリオットの後つけたりする。
それから、たぶん私が嫌っていうことはないかなって。
だって、せっかくお友達?候補を逃すわけないしね!(口に出したらめんどくさいから絶対に言わないけど)
「君はよく見ているんだね」
「そうかな?私お友達が少ないからよく人のこと見ちゃうんだよね」
「え、ボッチ?」
「ボッチ?」
茶髪のお兄さんが食い気味に質問してくる。
「一人ぼっちって意味だよ。君、友だち少ないんでしょ?」
一人ぼっち=ボッチ。なるほどこれも平民ならではの言い回しだ
「一応友達いるからボッチではない、、、はず」
「へー、なんか思ってたよりやっぱ貴族っぽくないね」
「お兄さんの貴族のイメージってどんなの?」
「偉そう、傲慢、差別主義」
それはなんというかかつてのリズビアだな。うん。
「でも、ガーナ公爵家の人はそうでもないんじゃない?」
「うちの領主さまは別物でしょう。だって、ガーナ公爵家は平民であっても能力があれば認めてくださるもん」
さすがお父さま、お母さま達だわ。
領民の信頼がすごい。
「大半はさっきみたいなやつが多いから君はどちらかといえばガーナ公爵家よりなのかな?だけど本物のお貴族様がこんなところに来るわけない。だから、君は貴族じゃなくてその関係者って考えた」
「なるほどー」
貴族だと確定はされていないなら問題はないかな。
というより、追い出されなさそうでよかった。
「アローが諦めたのなら僕らはその判断に従うよ」
「…」
え、心の声が読めるのかな?このお兄さん
「君は結構思っていることが表情に出やすいんだね」
「えへへ、よく言われます」
心の声が聞かれていたわけじゃなくてよかったぁ!聞かれてたらやばいどころじゃないよね。すぐに貴族ってバレちゃうもん。
「よかったね、リビア」
「うん!」
エリオットに優しく頭を撫でられる。ここまで連れてきてもらって手ぶらでなんか帰るわけがない。
「あー、俺はアロー・セル。この領地にあるセランド商会の三男坊」
海色の瞳が私を捉える。
セルランド商会は領地内で最も有名な商会だったと思う。この間の領地訪問の際も確か会頭さんが参加していたはずだ。
「私はハンナよ。薬師の祖父と二人で住んでる。薬草以外は基本興味ないから」
ショートカットの鮮やかな青髪が揺れる。
薬草について興味があるなら今度一緒に山に行ってみようかな。何か取れるかもだし
「僕はビンズ・メイサっていうの。ここ『甘木屋』の女将の息子ね」
甘木屋の女将ってことは、つまり店主で、店主といえばセスおばさん
つまり…
「え!セスおばさんの息子さんなんですか⁈」
「え、うん。そう。ってか、母さんと既に顔見知りな件にビックリ」
言われてみたら似てる!
目元とかまんまセスおばさんだわ。何故気づかなかった私
「俺はベイクっていうよ。医者の子だからある程度なら病気とか見分けられるよ。よろしく」
私にわざわざ目線を合わせてくれたお兄さんが最後に名乗る。サラサラな灰色の髪が揺れる。
スッと伸ばされた手を握る。
彼等は私に平民らしい振る舞いを教えてくれる。それはきっと今後役に立つはずだ。
公爵家では得られないものを与えてくれる彼らになにを返すことが出来るんだろうか。
…いや、何を共にやることが出来るのかを考えるべきだろう。
だって、自惚れかもしれないけど彼らは私達を仲間として認めてくれたわけなのだから
「さて、じゃあ仕事を始めるぞお前ら」
「はーい」「うん」「りょうかーい」「そうだね」
アローの一言にそれぞれが返事を返す。
とっても息が合っていらっしゃることだ。仲良きことは美しきかな…ところで、仕事ってなんですか?
テッテレー♪リズビアは平民の友人(?)を4人ゲットした。
友達レベルが2上昇
よくよく考えるとリズって今までエリオット以外に友人居なかったんですよね。
エリオットと友人になる前は本当にボッチだったから、成長してるんです!




