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幸せに生きていたいので  作者: 結汝
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なんで分かった?

「エリオットはこっちに友達がいるの?」

「いるけど…何?」

「何が?」

「…」

「…」


 しばしの沈黙が落ちる。

私なんか変なこと言ったっけ?


「リズが考えなしにそう言ったこと言わないって思ってさ」

「純粋に聞いただけなのにこの言われよう…私泣いちゃうよ?」

「リズはいつでも泣いてるだろう」


 呆れたように笑われる。

 確かにエリオットの前ではよく?泣いているのかな??

そんなことない気もするんだけど。確かに弱音は吐いているけどさ


「で、そんなことを聞いてどうするの?」

「……会ってみたいなって…、エリオット以外の領民の同世代の子達に会って話を聞きたい。ゆくゆく領地を担うのは私達の世代だし、大人には見えない不満もあるかもしれないから」


 大人たちに話を聞くのが本当は一番手っ取り早いかもしれない。おじいさまが出された問題を解決するには

でも、たかが子供の話としてまじめに受け取ってくれないかもしれない。

 それに大人の話は私の手に負えない可能性もある。それこそお父さまが出て解決しなきゃいけないものとなるとこの1ヵ月で成果を見込むことは不可能だろう。


「会うのはいいけど許可はとってるの?」

「え!?」

「だから許可は―」

「とってる!!」

「あ、そう。ならいいんじゃない」


私の勢いの良さにエリオットがわずかに怯む。


「紹介してくれるの⁈いいの?本当に??」


 グイグイと質問立てればエリオットが「近い近い」と私を押し返す。

おっといけない。いけない。淑女あるまじき行為だったわ。

スッと距離をとって、エリオットに視線のみで訴える。


「紹介は出来るよ」


なんと!


「ただ、俺は紹介するだけ。護衛とかはレットとヴィオに頼んでね」


もちろんそのつもりであるので激しく頷いておく。


「明日にでも町に行ってみる?」

「行く!!」


 こんなにすんなりと紹介してもらえるとは思ってもみなかった。

 新しい友人が出来るかもしれない機会でもあるわけで…そう考えると途端に気分が舞い上がってしまう。

だって私、友達と呼べる人がいないことはないけど少ないわけだから―

新しい友達が増えるのは嬉しいもの。

明日が楽しみね!




******************************


―なんて思っていましたよ。昨日はね

 現在その気持ちは見事に裏切られています。


「だから、この()()()()()()は認めないって」


 ここで一案の年長者と思われる少年がため息交じりに言葉を告げる。


「別にリビアが何か害するわけじゃないだろう」

「それはエリオットの主観でしょう?私はここに新しい子が来るのは賛成できない。だってその子()()()()()なんでしょう?」


鮮やかな青髪の少女が冷めた瞳でこちらを一瞥する。


「貴族関係が俺らと遊べるわけないよ。考え違うし、常識違うし、無理無理」


そう言ってこちらに見向きもしないのが茶髪の少年。

 さっきから沈黙を貫いている灰色髪の少年はこちらを見ようともしない。まるでいないかのような扱いだ。

エリオットはそんなことないと少女と年長者に言いつのっている。

 というか、うん。

まったくもって歓迎されてないよね。

それよりも―


「なんで貴族関係ってバレたのかしら?」


 その一言に全員がこっちを見る。

え、え?

なんかまずかった?

 後ろに立っている頼もしい護衛を見ればなぜか生暖かい視線で見られ、前を向けばエリオットが手で顔を覆って天を仰ぎ、他4人は信じられないものを見たかのような表情をしている。

ん~なんでだろう。




遡ること20分前

 今日は昨日の約束を果たすため、エリオットと一緒に町にあるとある宿屋に来ていた。

甘木屋(あまぎや)』と書かれた木板の看板を掲げた、木を基調とした宿屋には多くの人が賑わっていた。宿屋というから寝泊りする場かと思っていたがどうやらそれだけではないらしい。

 一階部分は食事処にもなっているようで温かな料理が運ばれている。

 二階へ続く階段には受付所のようなところがあり、ここで宿泊の手続きを済ませるらしい。

という説明をエリオットにしてもらいながらずんずんと食事処の奥へと連れていかれる。


「こんにちは、セスおばさん」

 

 エリオットは厨房にいる女性に声をかける。セスと呼ばれた人はとても人好きのされる笑顔でエリオットを迎えると隣にいた私を見ると驚いた顔をする。


「こりゃ、たまげたわ。エリーが一番最初にガールフレンド連れてくるなんて」

「おばさん!!違うから、この子は友達!」

「初めまして、お嬢ちゃん。あたしゃここの店主のセスおばさんだよ」

「はじめまして、セスおばさん。私はリビアっていうの」

「リビアちゃんね、よろしくね」


 ワシャワシャと頭を撫でられ目が回るが、大きくて温かな手が心地よく感じる。


「ビンズは?」「あの子なら上さ」


 おばさんに手を振りながらエリオットに連れていかれたのは階段を上って突き当りにあるとある部屋だった。


コンコン


 軽いノックの後に開かれた扉の向こう側で目に飛び込んできたのは部屋のだいたいを占める大きな机。机を囲むように本棚が置かれ、本棚の中身は本だけでなく瓶や葉物も置かれているようだった。


「よう、遅かったじゃねえか」


 声を発した相手に視線をやれば、エリオットよりも背が高いと思われる少年が窓辺に胡坐をかいて座っていた。


「アロー、遅くなってごめん。みんなに紹介したい子が居たから連れてきたんだ」


 アローと呼ばれた少年と視線が交わる。

 エリオットがそっと背中を押してくれ、一歩前にでる。


「はじめまして、リビア・ノグマインといいます」


 名前を名乗って、失礼の内容に頭を下げる。

後ろに控えていたレットとヴィオも続いて挨拶を交わす。


「へ~、紹介したいのってガキかよ。エリオット、ここの決まりを忘れたわけじゃないだろ?久しぶりにこっちに来たと思ったらこんな()()()()()()を紹介するって」


 ()()()()()()

なんだそれは。聞いたことのない言葉に首を傾げる。


「しかも後ろのやつらと違ってそいつ貴族関係だろう」


 え、どうしてバレたの?早くない?名前も偽名使ってるのに

秒でばれてしまったわ。

何がいけなかったのかしら?

名前を名乗ったこと?でも、普通に名乗るよね。名前は

あとはう~ん。どこでバレたんだろう。

それくらいしかやってないと思うんだけどな。貴族と平民の違い…


「俺は、いや、俺達はそいつを認めることはできない」


少年の声が静かに響く。

 海色の瞳はまっすぐに突き刺すようにこちらを見つめる。

場違いにもかっこいいなと思ったことは絶対に今言えないけど


―――こうして始まりに戻る


新しいメンバーがやってきました!


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