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生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜  作者: mitsuzo
第三章<セルティア魔法学園/生活魔法クラブ編>

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086「幕間:ラルフの日記(抜粋)①」



※※※※年○月×日


 どうやら、私は本当に異世界に転生したようだ。


 しかも、両親は貴族らしい。


 あと『神託の儀』というもので『生活魔法帝』という称号を授かった。


 この世界には『称号』というものがあるらしく、これがどれだけ優秀な称号かによって将来が変わるらしい。そして、私の称号は見たことがないものらしいのだが、生活魔法に関するものだから大した称号ではないとのことだった。


 それにしても、この生まれ変わった世界には魔法があるのか。


 私が死ぬ間際まで読んでいたラノベのような世界だったらいいな。


 とにかく私はこの世界でこれから生きていかなければならない。


 いずれにしても、まずは知ることが先だな。



********************



※※※※年○月×日


 1歳になった。


 神託の儀のあと、この世界を知るために家にある書庫から歴史や魔法、その他いろいろな本を片っ端から読んだ。読書は0歳から始めていたこともあって、おかげで、この世界の知識をそれなりに把握することができた。


 それにしても、赤ちゃんの私が本を読むことに両親は怖がるかと心配したが、そんなことはなく、喜んで受け入れてくれたのはとてもありがたかったな。


 さて、いろいろと歴史の本を読むと、この世界はアガルタ大陸という一つの大陸に五大国という五つの国が存在すること。


 また、『六大魔法』という魔法がこの世界の主流魔法と言われていることや、『生活魔法』が日常生活程度にしか使えないクズ魔法と言われていることもわかった。


 なるほど。だから私の『生活魔法帝』という称号は初めて聞く称号とはいえ、生活魔法寄りの称号だから大したことないだろうと判断されたということか。


 とはいえ、この生活魔法は少し気になるところがあるから、もう少しいろいろ調べてみようと思う。



********************



※※※※年○月×日


 魔力を感じることができたので、早速、生活魔法を使ってみた。


 するとかなりの威力にビックリした。


 これが本当に日常生活程度の魔法なのだろうか?


 いや、そんなはずはない。明らかに威力がおかしい。


 ということは、私が魔力を込めすぎたから?


 ということは、私の魔力は多いのか?


 いずれにしても、クズ魔法と言われる生活魔法でもどうにかなりそうな気がしてきた。



********************



※※※※年○月×日


 3歳になった。


 ここで、重大な事実を知ることとなる。


 それは、世界の主流である『六大魔法』の魔法1つ1つに『魔法効果・威力・必要魔力量』があらかじめ記録されており、その記録された効果・威力しか発動することができないというものだ。


 これはつまり、「六大魔法は『魔法』に縛られている」と言えるし、同時に「『称号』に縛られている」とも言える。


 そうなると、おかしなことに気づく。


 生活魔法は魔力を魔法に自由に込めることができるので威力の調整が可能だが、六大魔法はそれができないという。


 でも、それって、六大魔法は生活魔法よりも使い勝手が悪いということになるのだが?


 正直、魔力を自由に込めて威力が調整できる生活魔法のほうが遥かに優秀だ。


 なのに、どうして六大魔法がここまで持てはやされ、生活魔法がクズ魔法などと蔑まれることになっているのだろう?


 何となく、きな臭さを感じる。



********************



※※※※年○月×日


 4歳になった。


 初めて、父に領地の森の魔物の『間引き』に連れて行ってもらった。


 そこで、他の人の魔法を目にすることとなったがそれではっきりとわかった。


 大人が使っている六大魔法より、自分が使っている生活魔法が威力が高いということを。



********************



※※※※年○月×日


 5歳になった。


 なんと『神託の儀』で、1つ下の弟ヘンリーは『風魔法特級士』を、2つ下の妹ローラは『光魔法上級士』とすごい称号をもらっていた。特にヘンリーは『風魔法特級士』と父上と同じ特別な称号をもらっていた。


 この『特級士』という称号は最上位の称号なので滅多にいないが、それをヘンリーが授かったらしい。


 すごいよ、ヘンリー。


 それにしても、ここ最近ヘンリーが私に対して妙によそよそしくなった。というか、私を避けるようになった。どうしたんだろう?


 すると今日、ヘンリーが私に向かって「僕は父と同じ称号を持っている。だから、兄上より僕のほうが次期当主に相応しいんだ!」と言ってきた。


 そもそも私は嫡男だが「できれば家を出て自由に生活魔法を研究したい」と思っていたので、ヘンリーのその言葉はありがたかった。


 ヘンリーに次期当主の座を譲って、私は冒険者として世界を回るぞ。



********************



※※※※年○月×日


 6歳になった。


 2つ下の妹のローラとはとても仲が良く、ローラもまた私によく懐いていた。


 そんなローラを私はすごく可愛がっていた。


 そんなローラに私はいつからか生活魔法の話や前世の話もするようになっていた。


 特に理由があったわけではない。ただ何となくだ。


 それに、この時ローラはまだ4歳と幼いので、私の言っていることは理解できないだろうと思って気にせずいろいろと話していた。


 よくよく考えると、生活魔法や前世の話という誰にも言えない自分だけの秘密がストレスだったからかもしれない。


 ただ、ローラはそんな私の話をきゃっきゃと楽しそうに聞いていた。


 理解はしていないだろうが、それでも私にとってはとても癒しになった。



********************



※※※※年○月×日


 ある日、ローラに生活魔法の早朝特訓を見られた。


 どうやってごまかそうかと思っていたら、ローラが「私にもそれ教えて欲しい」と言ってきた。


 特に断る理由もなかったし、かわいい妹のお願いなので二つ返事で答え、丁寧に教えてあげた。


 すると、ローラは努力の末、私の生活魔法を身につけた。


 最初は苦しんでいたが一度コツを掴んだらあっという間だった。


 すごい! ウチの妹、天才だ!



********************



※※※※年○月×日


 9歳になった。


 今度はヘンリーがローラと一緒に早朝訓練にやってきた。


 ローラの話では、引きこもっていたヘンリーをローラが説得し、そして、私との仲直りを兼ねて早朝訓練に誘ったとのことだった。


 しかし、その時のヘンリーの言葉遣いが少し()だった。


 私に対して、「兄上のこの魔法はまさに神がもたらした奇跡」と言ったり、またローラも「聖人ラルフお兄様」なんて言ったりと、妙に宗教チックな言葉を発していた。


 おやおや、どうやら裏でローラが何か動いているようだ。


 ふふ⋯⋯まったくかわいい妹です。


 どれ、ローラが何をしようとしているのか⋯⋯気づかないフリ(・・・・・・・)してしばらく様子を見てみようかな。ルン。



********************



※※※※年○月×日


 私がローラとヘンリーの異変に気づきながらも知らないフリをして二人を泳がせていると、ようやく、ローラが何をしようとしているのかがわかった。


 彼女はどうやら私を『教祖』とした宗教組織を作ろうとしているようだった。


 まったく、何という子だ。まだ7歳だよ?


 きっかけは、どうやらローラが4歳の時に私が生活魔法の話や前世の話をしていたときだったらしい。


 あの時、君はわからないフリをしていたってことかな?


 だとしたら、ローラはいろいろすごい子だと思う。


 それにしても、ローラはこの世界をあまりよくないと思っているのかな?


 宗教組織を作りたいってことは、力を身につけたいと思っているということだけど、それって、じゃあローラは世界を変えたいと思っているのかな?


 理由はわからないけど、何か窮屈な思いをしているのだろうか?


 ただ、私は私でこの世界を、六大魔法絶対主義や貴族第一主義な世界を変えたいと思っているから、ローラの活動はとてもありがたい。


 でも、さすがのローラでも宗教組織を作るだなんて簡単にはいかないと思うけど、でもローラなら⋯⋯ってつい期待しちゃうな。


 ローラ、お手並み拝見だよ。



********************



※※※※年○月×日


 15歳になった。


 いよいよ領地を出て、王都にあるセルティア魔法学園へ行くこととなった。


 そして、ローラは6年前の『宗教組織の確立』というすごい目標に向かって一歩一歩歩みを続け、そして実現させた。


 彼女は元々ヘンリーを仲間にし、それから父上や母上も巻き込んだ。その後は、屋敷の使用人から始まり、そして今ではウォーカー領の領民をも『ラルラブ教』の信者にしたようだ。


 いやいや、末恐ろしい妹だよ。まったく。


 それにしても『ラルフお兄様ラブラブ愛している教』略して『ラルラブ教』だなんて⋯⋯。ふふ、実にローラらしい、ローラらしいよ。


 本当なら今すぐにでも「ローラ、私のためにありがとう!」とネタバレをして感謝の抱擁をしたいところだが⋯⋯それはできない。だって、まだローラも私も歩み始めたばかりだから。


 ローラがこれからラルラブ教を布教するには、私の生活魔法をどこかで大々的に宣伝するのを期待しているだろう。もちろん私もローラのためにどうにかしたいと思っている。


 そして、そういう面も含めて、セルティア魔法学園はうってつけな舞台だと私は期待している。


 さて、これからもしばらくは『知らぬ存ぜぬキャラ』でいかせていただくとしますか。


 セルティア魔法学園ではどんな面白いことが待っているかな?


「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵ギフトというぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」

https://ncode.syosetu.com/n3084hz/


『毎週土曜日13時更新』です。


よろしくお願いいたします。


mitsuzo

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