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生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜  作者: mitsuzo
第二章<セルティア魔法学園/入学編>

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070「学園長室の会合③」



「さて、今後のことであるが、そもそも今回テイラー君に声をかけたのは⋯⋯ラルフ君のことだ」

「はい」


 そう言って、ザナークがテイラーに改めて向き合い、今回テイラーに声をかけた理由を話す。


「⋯⋯見た感じ、君とラルフ君は親密な友人のように思える。なので、今後もラルフ君は君の意見を求めたり、悩み事を言ったりすることがあるだろう。そんなラルフ君が生活魔法の研究で周囲に迷惑をかけないか、とか言ってきた場合は、問題ない・心配ないとちゃんと伝えて欲しいのだ」

「はい」

「ラルフ君はラルフ君なりに生活魔法が目立つことはあまりよろしくないだろうと思っているように感じる。実際それは間違いではないが、しかし、こちらとしてはむしろラルフ君には目立つくらいに生活魔法の研究や発表、また魔道具開発を積極的に行って欲しいと思っている」

「それは⋯⋯つまり、ラルフにあえて目立たさせる理由があるということですか?」

「そうだ。ラルフ君に生活魔法の研究成果を大々的に世間に公表することで、それを良しとしない既得権益貴族らにワザと警戒心を持たせたいのだ」

「け、警戒心をワザと⋯⋯ですか?」

「そうだ。そうすれば奴らはラルフ君をどうにかしようと接触しようとしてくるだろう」

「ど、どうにかって⋯⋯それってもしかして、ラルフの暗殺とか⋯⋯ですか?」

「そうだ。ラルフ君の生活魔法はこれまでにないものであるから奴らが動くのはまず間違いないだろう。そして、それを我々は利用して既得権益貴族をこの国の法律に従って潰していく⋯⋯これが今後我々が考えている計画だ」

「⋯⋯な、なるほど」


 テイラーはザナークの話を一通り聞いた後、


「あ、あの、レオンハート様」

「なんだい?」

「この計画って、最終的にはレオンハート様がこの国の国王になる、という話ですよね?」

「そうだね」

「しかし、現国王様や王太子様中心のこの現政権下では、ほとんどの貴族が現政権側ではないのですか?」

「そうだね。テイラー君の言う通りだよ。でも、それは少し語弊があるかな⋯⋯」

「語弊?」

「具体的に言えば、、全体を100とした場合、現政権下で完全に『現国王・王太子派』というのは全貴族の半分の50程度。そして、その残りの50の半分が我々側⋯⋯つまり、数字で言うと25程度。そして、残りの25はどちらについてもいない貴族連中⋯⋯そんな感じかな」

「なるほど。つまりそのどっちにもつかない貴族を取り込めば『現国王・王太子派』と並ぶほどの勢力になるということですね」

「そういうことだ」

「なるほど。ありがとうございます」


 テイラーはそう言って少し考えた。というのも、正直思っていたよりレオンハート様側に貴族がついていることが意外だったからだ。


(もっと、厳しいかと思っていたけど⋯⋯意外にレオンハート様のほうに貴族が集まっているんだな。これなら、本当に『現政権の打倒』というものを実現できるかも⋯⋯)


 テイラーが思っていたより可能性があることに希望を見出したところで、


「あ、テイラー君。今、君が考えているほど現実は単純じゃないからね?」

「⋯⋯え?」


 ザナークがテイラーの希望を叩き落とすようなことを言ってきた。



********************



「ど、どういうことですかっ!?」

「つまり、『現国王・王太子派』についている貴族というのは、侯爵や伯爵といった有力貴族が多いということだよ」

「あ⋯⋯!」


 そうか! 確かに『既得権益貴族』っていうのは、言い方を変えればこの国の重要ポストを担っている貴族とも言えるのか。


「先ほど、レオンハートが言った話は概ね事実ではあるが、しかし有力貴族のほとんどは『現国王・王太子派』だ。そして、ここをひっくり返すのは容易ではない」

「そ、そう⋯⋯ですね⋯⋯」


 学園長の言う通りだ。数だけで言えばどっちにもついていない『中立派』を取り込めば数だけは同じになる。しかし、『現国王・王太子派』の貴族はこの国の中枢を担う侯爵家や伯爵家といった有力貴族ばかり。


 つまり、例え、貴族の数が同じになろうとも影響力のある貴族がいなければただの『烏合の衆』だと⋯⋯学園長はそう言いたいのだろう。


「とはいえ、味方の貴族が増えることは好ましいのも事実。様子を見ながらではあるが、隙ができれば有力貴族にも声をかけていくつもりだ」

「なるほど」

「しかし、個人的には⋯⋯⋯⋯ラルフ・ウォーカーの今後の台頭で大きな変化が起き、有力貴族も一枚岩では無くなるようになるんじゃないかと思っている」

「えっ?!」

「ふふふ、それくらいラルフ・ウォーカーの『ラルフ式生活魔法』に期待している⋯⋯まーそういう話だ。はっはっは!」

「⋯⋯!」


 学園長は相変わらず豪胆な笑いで「ラルフ・ウォーカーに期待している」などと(うそぶ)く。それにしても、学園長がラルフの力に大きな期待を寄せているのはわかるが学園長(この人)の目には一体どんな未来(ビジョン)が見えているのだろう⋯⋯。


 そんなことを思いながら、俺は学園長の話を聞いていた。


「いずれにしても、しばらくは様子見ということになるが、フリオや生活魔法クラブのみんなは、ラルフ君が精力的に生活魔法の研究や魔道具開発を行えるようフォローして欲しい」

「「「「「わかりました」」」」」

「私も個人的にラルフ君と接触しよっかな〜」

「いやいや、それは困るぞ。レオンハート? お前はまだしばらくはラルフ君との接触は避けてくれよ? このタイミングで敵対貴族にラルフ君との関係を勘繰られるのは正直面倒だ」


 学園長がそう言ってレオンハートを嗜める。しかし、


「え〜? 大丈夫だよ〜。だって、みんな優秀でしょ?」


 そんな学園長の言葉にも全く臆することなく、。そんな返事を返すレオンハート。このやり取りだけで、レオンハートが『やんちゃな人物』であることを理解したテイラーだった。


 そんな二人のやりとりの後、学園長が「解散」を宣言。




 こうして、学園長室での会合は終了となった。


「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵ギフトというぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」

https://ncode.syosetu.com/n3084hz/


『毎週土曜日13時更新』です。


よろしくお願いいたします。


mitsuzo


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