068「学園長室の会合①」
「もし、テイラー君の今の立場といったものを全部無いものとして考えた時、君はラルフ君に対して何を思うかい?」
「⋯⋯そ、それは」
「それは?」
「期待⋯⋯しかないです!」
テイラーがフリオに力強く答える。
「期待?」
「はい。私は貴族の子といっても、領地なしで一代限りの子爵家の子供です。なので、当然称号も『水魔法中級士』程度⋯⋯。体術には自信がありますが、身分も称号も貴族よりも平民に近いようなものです!」
「ふむ⋯⋯」
「そんな私のような貴族であれば、ラルフの生活魔法やオリジナル魔法ははっきり言って魅力的です! いえ、それどころか、可能性の塊としか思えません!」
「なるほど⋯⋯」
「けど⋯⋯だけど⋯⋯ラルフの生活魔法が普及するということは、この国の⋯⋯いえ世界の常識が逆転するということです。そう考えると、あまりにも話が大事過ぎて、俺にはとても⋯⋯」
「決断できない、と?」
「はい」
「ふむ。とりあえず予想通りの答えで何よりだ」
「え?⋯⋯よ、予想? え?」
「テイラー君、あとでここに来てくれ」
そう言って、フリオに紙を渡されるテイラー。
「これは?」
「この会議が終わったら、この紙に書いてある場所に来てくれたまえ。ラルフ君には内緒で。⋯⋯いいね?」
「! わ、わかりました⋯⋯」
こうして、今後はラルフに生活魔法の研究と魔道具開発を存分にやってもらうという形で会議が終わった。
「え? こ、ここで合ってる⋯⋯よな?」
コン、コン⋯⋯。
そう言って、テイラーは緊張しながらドアをノックした。
テイラーは生活魔法クラブの会議が終わった後、一度ラルフと一緒に寮に帰ったがラルフと別れたあと、すぐに寮から出て校舎へと向かった。というのも、フリオから渡された紙には『校舎内のある場所』を指定していたのだが、それがあまりにも意外というか、奇妙というか、何とも言えない場所だったからだ。
ガチャリ。
「やあ、よく来てくれたね、テイラー君。待ってましたよ。さあ、どうぞ⋯⋯」
フリオがドアを開けると、テイラーに一言声をかけ、中に入るのを促す。
テイラーはごくりと唾を飲み込むと、緊張しながら中へと入った。
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「やあ、君と話すのは初めてだね⋯⋯テイラー・バレンタイン君」
「な⋯⋯! あ、あなたは⋯⋯」
部屋に入るタイミングで最初に声をかけてきたのは、
「学園長!」
セルティア魔法学園学園長ザナーク・レンフロ⋯⋯その人だった。
そして、学園長ザナーク・レンフロを筆頭に、フリオ、レイカ、ミーシャ、サブリナと生活魔法クラブのみんなもおり、さらにそれに加え、
「おお! やっぱ、お前もきたか!」
「ア、アルマーニ先生!」
魔法自由科の担任と魔法基礎を担当しているセフィロ・アルマーニ先生、
「おお、テイラー! 筋トレは欠かさず毎日⋯⋯だぞ?」
「ハ、ハンセン先生!」
歴史と剣術・体術を担当しているゲーリック・ハンセン先生。そして最後は、
「テ、テイラー君⋯⋯! 生活魔法基礎で頑張っている姿、先生いつも見てますよ!」
「ル、ルナ先生ぇぇぇっ?!」
生活魔法基礎担任で『合法ロリ巨乳』のルナ・ウェンブリー先生がいた。
これだけのメンツでも十分に驚きの連続なのだが、それ以上に一番驚いたのは、
「やあ、テイラー君って言ったかな? はじめまして。レオンハート・セルティアです」
「レ、レオンハート様!? は、はじめましてっ!!」
この国の第二王子。ミーシャの2つ上の兄でセルティア魔法学園現生徒会長レオンハート・セルティアが目の前にいて俺ごときに挨拶をしてくれた。
ていうか、マジ何の集まりだよ。これっ!?
「これで全員揃いましたかね? それでは早速始めたいと思います。⋯⋯テイラー君」
「えっ?! は、はい!」
突然、フリオに名前を指名されて戸惑うテイラー。
「これから話すことはすべて他言無用です。親・兄弟にも話してはいけません。そして、テイラー君はこれを断ることはできません」
「っ!?」
いつもと違った様子で淡々と喋るフリオ。「断る余地はない」とはっきりと告げるその一方的な内容に言葉を失うテイラー。
「では、早速ですが、テイラー君に『事の真相』をお話ししたいと思います」
「事の⋯⋯真相⋯⋯?」
「まず結論からお話ししましょう。ここにいる皆はある一つの目的のために集まっています。それは⋯⋯⋯⋯『変革』」
「『変革』⋯⋯?」
「はい。『世界変革』です」
「世界⋯⋯変革?」
「はい。『世界変革』⋯⋯つまり、六大魔法絶対主義の打倒です」
「な⋯⋯っ?!」
フリオがはっきりとした口調で言い切る。そんなフリオを見て動揺するテイラー。
「せ、先生! そんなこと言って大丈夫なんですか!? 思いっきりアウトな発言ですよ、それっ!!」
そう言って、テイラーがフリオの言葉に思いっきり物言いをつける。すると、
「はっはっは! まー誰だって、そういう反応になるわなぁ〜」
と、ニカッとイタズラな笑みを見せながら入ってきたのは学園長ザナーク・レンフロ。入学式ではすごく真面目な感じだったが、今は『やんちゃな大人』という印象だ。
そんなザナークがおもむろに質問をぶつけた。
「ところで、テイラー君。君はどう思っている? この国の現状、そして、世界の現状を⋯⋯」
「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」
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