067「フリオの決断」
「ただ⋯⋯その『世界の常識』は今や『害悪』のような存在に様変わりしている。『神託の儀』で『価値の高い称号を授かる者』や『六大魔法士となる者』はほとんどが貴族であり、そして、その偏りは時を追うごとに顕著になってきている。そして、その行き着く先は『終わらない堕落政治』だと私は思っている」
フリオ先生の言葉に全員が強い眼差しを向けながら耳を傾けていた。
「ちなみに、ラルフ君はどうなんですか? 君は今その手に『大いなる力』を持っています。それはこれまでの世界の常識を覆すだろう力です。そんな力を持つ君はどうしたいと思っているのでしょうか?」
フリオ先生がフッと柔和な笑みを浮かべながら聞いてきた。
「そうですね。⋯⋯この力でどうしたいというよりも、単純に『生活魔法』の研究がしたい。それだけです」
「! なるほど。ふふふ⋯⋯ラルフ君らしいですね」
フリオ先生が私の言葉に妙に納得した顔を浮かべる。
「あー、やっぱそうだよなー⋯⋯ラルフって」
「テイラー」
「ったく! お前って奴はどうしてこう欲がないのかねぇ〜」
「レイカ先輩」
「くすくす。ラルフ君らしいですね」
「ミーシャ」
「⋯⋯いつものラルフ・ウォーカー」
「サブリナさん」
すると、他のみんなからもフリオ先生と同じような言葉をかけられた。
「ラルフ君⋯⋯君なら、そんな君であれば、本当にこの国を⋯⋯この世界を変えられるかもしれないっ!!」
「うおっ?! フ、フリオ先生⋯⋯っ!!」
この後、マターリするような空気になっていたのに、突然フリオ先生がその空気をぶち壊すような声を上げた。
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「いや、驚かせてすまない」
「い、いえ⋯⋯」
突然、叫んだフリオ先生がハッとした顔をするとすぐに謝った。しかし、その後、ガシッと肩を掴まれる。
「フ、フリオ先生っ?!」
「ラルフ君! 君の気持ちはよーくわかった! これからはどんどん生活魔法の研究も魔道具開発も積極的にやっていこう!」
「え? あ、はい⋯⋯ありがとうございます。で、でも、大丈夫なんですか?」
「何がだい?」
「だって、生活魔法の研究を派手にやるのはあまりよくないのかな⋯⋯と」
「大丈夫。問題ない。何かあったら私が何とかするよ! それよりも生活魔法の可能性をどんどん追求していってほしい!」
「えっ?! 本当ですか!」
「もちろんだとも! あと、魔道具開発もやってくぞ! あ、そうだ! 今度、魔道具開発についても話をしよう。生活魔法クラブでは魔石封入作業しかできないが、魔法を封入した魔石を誰もが使えるように加工する『魔道具部分』⋯⋯この加工作業ができる知り合いのドワーフを紹介するよ!」
「おお! ドワーフ!」
「なんだ、ドワーフには会ったことがないのかい?」
「はい!」
「そうか! ならばぜひ紹介してあげよう! 大いに研究に励みたまえ! はっはっは⋯⋯!」
「はい、ありがとうございます!」
そうして、フリオ先生と意気投合して二人でテンション上げて話をしていると、
「おい、お前ら! いいかげんにしろっ!!」
と、レイカ先輩が私とフリオ先生にゲンコツを喰らわした。
「な、何ですか、レイカ先輩。突然⋯⋯っ?! 」
「そうだよ、レイカ君! いきなり人の頭を殴って何を⋯⋯」
「うっせぇぇ! お前ら二人だけで勝手に盛り上がりやがって! ていうか、フリオ! お前自分が何を言っているのかわかっているのか?!」
レイカ先輩がそう言って、ギロリとフリオ先生を睨む。
「⋯⋯もちろんだ。ちゃんと理解した上で、ラルフ君に生活魔法の研究に力を入れるよう言っている」
「お、お前、マジなんだな?」
「ええ」
「⋯⋯わかった」
「え、えーと⋯⋯」
よくわからないが二人がものすっごいシリアスモードになった。なんだ、なんだ?
「何でもねーよ。とにかくラルフはフリオから許可が出たんだ。ガンガン生活魔法研究しろ! 気合い入れろ、いいな?!」
「え? え? えーと⋯⋯は、はい!」
「よろしい!」
何だかよくわからないが、とりあえず生活魔法の研究はどんどんやっていっていいとレイカ先輩からもお墨付きをもらった。
なーんだ。生活魔法の研究ってもっとコソコソしないといけないものだと思っていたが、レイカ先輩が言うぐらいだから本当に大丈夫なんだろう。
ということで、これからは何の憂いもなくやっていこうじゃないか!
私は、一人モリモリっとテンションが上がっていた。
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ラルフが一人、ブツブツと呟きながら妄想に耽っていると、少し離れて立っていたテイラーがフリオに詰め寄った。
「だ、大丈夫なんですか、本当に⋯⋯?」
「テイラー君⋯⋯」
「だ、だって、ラルフに生活魔法の研究を積極的にやってけって⋯⋯。それって、本当に大丈夫なんですか! 既得権益貴族とかに目をつけられないですかっ?!」
「⋯⋯テイラー君はラルフ君のことはどう思っているかい?」
「え? ラルフのこと?」
「ええ。今の⋯⋯ラルフ君のラルフ式生活魔法やオリジナル魔法を見てどう思っていますか?」
「お、俺は⋯⋯」
テイラーはフリオの質問にすぐには答えなかった。すると、フリオはそんなテイラーの振る舞いを察し、
「テイラー君。恐らく、君は今ラルフ君に大きな期待と、自分の立場と、身の振り方と⋯⋯と悩んでいるね?」
「っ!?」
「大丈夫。だからといってどうという話をしたいんじゃない。ただ、君の素直な気持ちを聞かせて欲しい」
「素直な⋯⋯気持ち?」
「もし、テイラー君の今の立場といったものを全部無いものとして考えた時、君はラルフ君に対して何を思うかい?」
「⋯⋯そ、それは」
「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」
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mitsuzo




