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生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜  作者: mitsuzo
第二章<セルティア魔法学園/入学編>

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066「ラルフ・ウォーカーへの質疑応答③」



「はい、そうです。現在、私以外で生活魔法に魔力を込めて威力の調整ができる人物です」

「「「「「っ!?」」」」」


 ラルフの言葉に皆が絶句した。


「現在、一つ下の弟のヘンリーは6年前くらいから使えるようになりましたし、妹のローラに至っては、およそ4歳から使えてましたね」

「よ、4歳っ!?」

「天才かっ?!」

「お、弟君でも、6年前っていったら8歳ということか⋯⋯。それでもとんでもないな!」


 ふふん。そうでしょう、そうでしょう。うちの弟妹は優秀でしょう?


 私はここぞとばかりにウチの優秀で可愛い弟妹自慢をさりげなく披露する。


「ちょ、ちょっと待ってください、皆さん!」


 すると、ここでフリオ先生が少し大きめな声で場を止めた。


「あ、あの⋯⋯根本的な話をさせてください、ラルフ君」

「は、はい⋯⋯」

「まず、生活魔法は魔力を込めて威力を上げることが本当に可能なのですか?」

「はい、可能です」

「では、六大魔法でも魔力を込めて威力を上げることは可能なのでしょうか?」

「いえ、無理です」

「っ?! や、やはり⋯⋯そうですか」

「はい。六大魔法でも試しましたができませんでした」


 フリオ先生は「六大魔法では威力を上げることはできない」と言われてもショックを受けるというよりもむしろ「わかってはいたけど、やっぱりそうだったか」という反応をした。


「もしかして、フリオ先生は六大魔法でそういった魔力を込めて威力を上げるという研究をされていたのですか?」

「⋯⋯ええ。ですが、ラルフ君の仰る通り、六大魔法で魔力を込めて威力を上げるといったことは無理でした。なので、私はその後六大魔法から生活魔法の研究へと携わるようになりました」



 そう言って、フリオ先生が昔話をしてくれた。



********************



「学生時代の頃、私は六大魔法の更なる発展ということで研究に没頭してました⋯⋯」


 当時、フリオ先生は「称号で縛られる六大魔法に未来はない!」と口癖のように言っていたとのこと。当然、そんなことを口走るような生徒は周囲から「頭がおかしい」と言われ浮いていたらしい。しかし、それでもフリオ先生はそんな周囲の声は気にせず、信念を貫いていたとのことだった。


「まー今思えばただの命知らずでしたけどね。⋯⋯ははは」


 それからフリオ先生は「称号の縛りを打ち破るには『魔力による威力増強』ができれば⋯⋯」という考えに行きつき、そこから研究を進めたらしい。


「⋯⋯まー結果的に言えば、それはすべて無駄に終わりました。『六大魔法の称号による縛り』はあまりに強力で、そこに『魔力を込めて威力を上げる』といった魔力制御を入れられる余地などありませんでした⋯⋯」


 その後、先生は研究失敗で挫折し、一度は命を断とうと思うほどまで絶望したらしい。しかし、その後「六大魔法の魔道具を安価で作り、平民でも気軽に使えるようにしたい」という目標を見つけたおかげで、再度立ち上がることができ、そして今に至っているとのことだった。


「しかし、ここにきてラルフ君が私に『新たなる可能性』を見せてくれた。しかも、六大魔法ではなく生活魔法で! これは、むしろ私にとっては僥倖そのものでしたよ」

「先生⋯⋯」

「私が『六大魔法の称号の縛り』をどうにか取っ払いたかったのは、平民・獣人・亜人でも六大魔法が使える者は少なからずいるので、私が『魔力を込めて威力を上げる方法』を見つけることができれば、そのような称号や身分が低い者たちでも魔法騎士団に入ったり、有名冒険者になれるなど、夢が広がると思っていたのです。しかし、それがまさか六大魔法ではなく『生活魔法』に答えがあったとは⋯⋯」


 そう言うと、フリオ先生はこれまでのことを思い出したのか、目からスゥッと涙が溢れる。


「ふふふ⋯⋯それにしても生活魔法ですか。これなら、むしろ貴族よりも平民や獣人・亜人のほうが多いですから『ラルフ式生活魔法』が使えるようになれば、六大魔法士に並ぶ⋯⋯いや、個人によっては越える者もいるかもしれませんね」

「はい、仰る通りです。フリオ先生。ですが、私はそれが怖いとも思っています」

「⋯⋯そうですね。ラルフ君のその不安は正しい」


 そう言うと、フリオ先生が私にニコリと一度笑顔を見せる。


「今、私がサラッと言ったこと⋯⋯『ラルフ式生活魔法を平民らに教える』というものは、正直この世界では『禁忌』とも言えるでしょう。なぜなら、この世界は『六大魔法』と『称号』によって支配された世界なのだから⋯⋯」

「「「「「⋯⋯⋯⋯(こくり)」」」」」


 皆、フリオ先生の言葉に声を出さずとも「同じ意見である」という意味で首肯する。


「ただ⋯⋯その『世界の常識』は今や『害悪』のような存在に様変わりしている。『神託の儀』で『価値の高い称号を授かる者』や『六大魔法士となる者』はほとんどが貴族であり、そして、その偏りは時を追うごとに顕著になってきている。そして、その行き着く先は『終わらない堕落政治』だと私は思っている」


 フリオ先生の言葉に全員が強い眼差しを向けながら耳を傾けていた。


「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵ギフトというぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」

https://ncode.syosetu.com/n3084hz/


『毎週土曜日13時更新』です。


よろしくお願いいたします。


mitsuzo


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