063「検証(ダンジョンにて)③」
「あれ、間違いなく⋯⋯⋯⋯『ジェネレートエラー』」
「「「え? えええええっ!?」」」
サブリナの言葉にテイラー以外の全員が絶句した。
「な、何? 何なんだよ! その『ジェネレートエラー』って!?」
テイラーが周囲のリアクションを見て一体何が起こっているのかとフリオに詰め寄る。
「ジェネレートエラーとは、ダンジョンボスに限ってですが100回に1回の確率でダンジョンボスの生成で何らかの『不具合』が生じて高ランクの魔物が出現することです」
「こ、高ランクの魔物っ!? そ、それって、マズいんじゃ⋯⋯?」
「はい。ですが、ここは初心者ダンジョンですのでジェネレートエラーだとしても、ここにいる者全員でかかれば倒せない相手ではないとは思いますが⋯⋯」
「な、なんだ⋯⋯。それじゃあ、大丈夫なんです⋯⋯」
「そんなことない」
「サ、サブリナ⋯⋯さん!?」
「ジェネレートエラーがダンジョンランクによってある程度調整されて出てくるというのはあくまで仮説。たしかに実証例は多いが、しかし、法則性があるというほどのものではない。故に、場合によってはあまりにも場違いな高ランクの魔物が出ても何らおかしくない」
「「「「っ!!!!」」」」
ラルフの後ろにいる皆がサブリナの鬼気迫る表情での説明に動揺していると、
ブワァァァァァァァっ!!!!
渦を巻いていた黒い霞が10メートルほどの高さで止まると、一気に霞が振り払われた。
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「グフフフフ⋯⋯絶望シロ、人間ドモ」
「え? 今魔物が⋯⋯しゃべった?!」
ラルフは目の前の真っ赤な牛のような顔をした魔物がしゃべったことに普通に驚く。
「こいつがダンジョンボス⋯⋯!? フリオ先生の話と違って⋯⋯す、すごい、強そうなんですけど?」
さっき、フリオ先生はダンジョンが初心者用なのでダンジョンボスも大した魔物ではないと言っていた。それがこの目の前の魔物のことを言っていると思うが⋯⋯しかし、
「こ、こんな強そうな魔物がここでは弱い魔物なのかっ!?」
これは完全に私の予想外だった。
こんな強い魔物がここでは大したことないだなんて⋯⋯。
そんな、ラルフが衝撃を受ける中、その後方では皆が顕現した魔物を見て別の意味で驚愕の声が上げていた。
「あ、あれは⋯⋯レッド・ミノタウルス!」
「レッド・ミノタウルスって、Bランクの魔物じゃない!?」
「こ、ここは、初心者用のダンジョンなのよ! どうしてBランクの上位魔物であるレッド・ミノタウルスが⋯⋯」
いくら、『ジェネレートエラー』とはいえ、初心者用ダンジョンのダンジョンボスにBランクのレッド・ミノタウルスが顕現したことで、サブリナの危惧していたことが事実だったことを知ると全員が顔を青ざめていた。
「⋯⋯あれは、全員でやらないと(ギリッ)」
そう言って、サブリナが懐から双剣を出して戦闘体制に入るとラルフの元へと向かおうとした。しかし、
「た、倒せないわけではないとは思うけど、ここは改めて気を引き締めないとだな! 出し惜しみは無しだ! こいつを倒したら、とりあえずフリオ先生にもう一度このダンジョンのことや魔物やダンジョンボスについて教えてもらいましょう!」
そう言って、ラルフはラルフ式生活魔法の身体強化に最大限の魔力を込めた。
ドン! ビリビリビリビリ⋯⋯!
「な、何っ!? 今度は⋯⋯!」
「なっ?! なんだ、あれは!」
「ラ、ラルフの体が⋯⋯光ってる?」
後ろにいる皆が、魔力を最大限に込めた身体強化によって光り輝くラルフに目を奪われる。それを見たサブリナが足を止めると、
「こ、この大気の震えは一体っ?! ま、まさか、あいつの⋯⋯ラルフ・ウォーカーの身体強化の影響⋯⋯っ?!」
サブリナはこの大気の震えをラルフの身体強化によるものだと看破する。
「こ、この大気がビリビリ震えているのがラルフ君の身体強化の影響ですって!? 本当なの、サブリナ⋯⋯!」
サブリナの言葉を聞いて、ミーシャが問いかける。
「は、はい。おそらくは⋯⋯! で、でも、こんな⋯⋯こんな膨大な魔力を身体強化に込めるなんて⋯⋯あり得ない! 魔法の常識としてあり得ません!」
「サ、サブリナが⋯⋯ここまで動揺をするなんて⋯⋯」
普段からクールな彼女がここまで動揺しているのを初めて見たミーシャがゴクリと息を飲む。
そんな後方で皆が動揺していることなど露知らず、ラルフはレッド・ミノタウルスと対峙する。
「グ、グモォォォォォォっ!!!!」
レッド・ミノタウルスはラルフの急激に跳ね上がった魔力と様相に焦ったのか、雄叫びを上げると両手に持った大きな斧をブンブンと振りながら突っ込んできた。
「「「「「は、早いっ!!!!」」」」」
後方では、レッド・ミノタウルスの突進のあまりの早さに驚愕していた。しかし、
「よっ! ほっ! ほっ!⋯⋯」
レッド・ミノタウルスが間合いを詰めてもの凄いスピードで斧を振り回すが、その攻撃をラルフは完全に見切っていた。
「え? な、なんでラルフの奴、あんな激しく鬼早い攻撃を⋯⋯完全に見切れているんだ⋯⋯?」
テイラーはラルフが鬼気迫るレッド・ミノタウルスの猛攻を涼しげな顔でかわしているのを見て唖然としていた。そして、それは口に出さないものの他の皆も同様だった。
「はぁぁっ!!」
ドゴン!
「ウゴォッ!? グゥゥゥ⋯⋯」
レッド・ミノタウルスの猛攻の隙をついてラルフが鳩尾に強烈な一撃を入れる。すると、レッド・ミノタウルスは苦痛な表情を浮かべ膝をつく。
「「「「「っ!!!!!」」」」」
その瞬間、後方の全員がレッド・ミノタウルスが膝をつく光景を見て言葉を失った。
「これで終わりです。鎌鼬の狂い刃!」
ザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクっ!!!!
ラルフは魔石に封入した威力のおよそ10倍ほどの『鎌鼬の狂い刃』をレッド・ミノタウルスへと放った。
「ゴ、ゴガァァァアァァァァァ〜〜〜〜〜っ!!!!」
大きさにして、およそ1メートルほどの⋯⋯それはあまりに⋯⋯あまりに大きな『真空の刃』は、ザクザクとレッド・ミノタウルスの体をサクサクと切り刻む。そんな無慈悲な攻撃に悲痛な咆哮を上げるも為す術ないまま切り刻まれ、そして、
ズズゥゥ⋯⋯ン。
レッド・ミノタウルスは腕や足などが吹き飛んだ状態で地面に倒れ⋯⋯息絶えた。
「ふぅ〜⋯⋯いや〜、やっぱりダンジョンっていうのは侮れないものですね〜。こんな魔物が初心者用ダンジョンのダンジョンボスだなんて⋯⋯。正直、自領内で狩っていた頃の魔物の中にもこれほどの魔物は数えるほどしかいなかったのですが⋯⋯⋯⋯って、あれ? 皆さんどうしました?」
ラルフがレッド・ミノタウルスを倒した後、その足で皆のところに戻ると、
「「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」」
全員がラルフの顔を見て、呆気に取られていた。
「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」
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mitsuzo




