062「検証(ダンジョンにて)②」
「な、なななな⋯⋯何よ、今のぉぉ〜〜〜っ!!!!」
「え⋯⋯?」
レイカ先輩の横にいたミーシャがそう叫ぶとズンズンと私のほうへと歩いてきた。
ムンズ!
「ラルフ君! 説明を求めますっ!!」
そう言いながら、私の肩をガシッと掴むと、
ガックン、ガックン、ガックン、ガックン⋯⋯。
と、何度も体を揺さぶられながら説明を求められた。⋯⋯そうか。そう言えば、ミーシャはこのオリジナル魔法は見ていないんだっけ?
「は、はい! わ、わかりました! わかりましたから⋯⋯あの⋯⋯手を⋯⋯手を離して⋯⋯くだ⋯⋯さい」
何とか、声を絞り出してそう懇願するとミーシャは何とか手を離してくれた。
その後、昨日の魔法封入作業の説明をした。
「せ、生活魔法で⋯⋯六大魔法の上級士に匹敵する風魔法を作り出した⋯⋯そんな、信じられないっ?!」
そう言って、ミーシャが顔面を蒼白させている。そして、その横にいるサブリナは、
「魔法を⋯⋯創造した⋯⋯だとっ!? しかも、あんな威力の高い風魔法が⋯⋯生活魔法⋯⋯!」
目を見開いて驚愕の表情を浮かべていた。
「ミーシャ君⋯⋯」
「! は、はい⋯⋯」
すると、フリオ先生がミーシャに話しかける。
「この話は⋯⋯内緒で頼むよ」
「!」
フリオ先生のそのセリフに一瞬、体を強張らせたように見えたが、
「もちろんですわ、フリオ先生⋯⋯」
すぐに、肯定の返事をした。サブリナも横でコクリと頷いている。
私はこの時、二人の会話に少し『違和感』を覚えた。まー怪しさ⋯⋯というほどではないが、何か私たちに隠していることがあるように見えた。
そう考えると、前から気になっていたことが再燃した。というのも、ミーシャは実際王族なのに、なぜ、そんな人物をフリオ先生は生活魔法クラブに入部させたのか。
それに、ミーシャは「生活魔法に大いなる可能性を感じている」と発言している。まるで、それを私に示しているかのように⋯⋯。考えすぎか?
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その後、魔石の検証は行っていき、気づくと階層は最下層である5階層まで来ていた。
「え? ここが最下層なんですか?」
「はい。最初に言いましたが、ここは大したダンジョンじゃないですからね。なので、魔物もそこまで危険じゃないです」
「「な、なるほど⋯⋯」」
「ちなみに、私がレオお兄様とこのダンジョンにきたのは10歳のときのダンジョンデビューのときよ」
「「ええええええ! じゅ、10歳っ!?」」
「そっ! だから、このダンジョンは別名『初心者ダンジョン』とも言われているわ」
「ミ、ミーシャって凄いんだな⋯⋯」
「うふ? まーね」
「い、いや、本当に。第一王女なのに腕っぷしも強いなんて⋯⋯凄いよ」
「ちょっ!? やだ、ラルフ君! そんな言い方しないでよ! これでも、ちゃんとした乙女ですからねっ!?」
「乙女とは⋯⋯」と私もおそらくテイラーも思っただろうが、もちろん口には出さなかった。紳士ですから。
「さて、この最下層にいるダンジョンボスですが⋯⋯」
「「ダンジョンボス!」」
フリオ先生の「ダンジョンボス⋯⋯」の言葉にテンションが上がる私とテイラー。
「ラルフ君の魔法を封入した2つの魔石の使用回数5回は打ち止めとなりました。ですので、ダンジョンボスの相手を誰かにやってもらいたいのですが⋯⋯」
「そりゃ⋯⋯ラルフだろ?」
「え?」
突然のレイカ先輩の指名が入ると、
「そういや、ラルフは魔法だけじゃなく剣術や体術もやっているから魔物相手にどう戦うのか見てみたい!」
「テ、テイラー⋯⋯!」
「そうですね。ラルフ君のその生活魔法を見てみたいです」
「ミ、ミーシャ⋯⋯」
「⋯⋯ラルフ・ウォーカーが行け」
「まさかのサブリナさんまでっ?!」
「満場一致ですね。ということで、ラルフ君お願いします」
「ええっ?!」
「ラルフ君は領地で魔物を狩っていたんですよね? それでしたら、このダンジョンのダンジョンボスくらいどうってことないと思いますよ」
「フリオ先生⋯⋯」
「では、皆さん、ここはラルフ君ということでよろしいでしょうか?」
「「「「異議なし!」」」」
ということで、満場一致で私がダンジョンボスを相手取ることになりました。
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——ダンジョン5階層(最下層)ダンジョンボス部屋
「あれ? 魔物は⋯⋯いない?」
ボス部屋に入った私は、とりあえず中には誰もいなかったので一人で中央付近まで歩いていった。
「あ、ラルフ君。部屋に入って少しすると奥で魔物が生成されますので少しその辺で待機していてください」
「生成?」
すると、フリオ先生の言う通り、ちょうど奥で『黒い霞』が出現した。そして、その黒い霞はグルグルと渦を巻きながら大きな塊となっていく。
「へ〜、こうして魔物が出現するんですね。ダンジョンって不思議〜⋯⋯」
と、ラルフがダンジョンの神秘性を一人感じて感慨に更けっている中、後方ではザワザワしていた。
「お、おい⋯⋯フリオ。あれって何かデカくないか?」
「は、はい、そうですね。本来であればこのダンジョンのボスは『ブルーオーク』だったと思いますが⋯⋯それにしてはかなり大きいサイズ⋯⋯ですね⋯⋯」
「フリオ先生どうしたんっすか? 何か問題なんですか?」
と、テイラーがのんびりした口調でフリオ先生に尋ねると、
「は、はい。ちょっとこのダンジョンボスではない魔物が生成されているようでして⋯⋯」
「え?」
「フリオ先生! ここのダンジョンボスってブルーオークですよね!? でも、あれ絶対にブルーオークの大きさじゃないですよっ!!」
「ちょっ?! ミ、ミーシャ、どういうことだよ!」
すると、ここでサブリナがボソッと答えを呟く。
「あれ、間違いなく⋯⋯⋯⋯『ジェネレートエラー』」
「「「え? えええええっ!?」」」
「な、何? 何なんだよ! その『ジェネレートエラー』って!?」
サブリナの言葉にテイラー以外の全員が絶句した。
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mitsuzo




