049「再戦!レンレンVSラルフ」
「それじゃあ⋯⋯⋯⋯はじめー!」
ドドン!
テイラーの開始の掛け声と同時に、私とレンレンは相手との間合いを詰めた。
今日のこの模擬戦はハンセン先生の計らいもあり、周囲の土で作った簡易式の模擬戦用の舞台で戦っている。そんな舞台の中央に私とレンレンがぶつかる。
「「哈ぁぁぁぁ!」」
ガッ! ガッ! ガッ! ガッ! ガッ! ガッ! ガッ! ガッ! ガッ! ガッ! ガッ! ガッ! ガッ! ガッ! ガッ! ガッ! ガッ!
私とレンレンが交差した瞬間——お互いが『ヤン式拳法』で激しい攻防を繰り広げる。まさに、前世の時に映画で観た『詠春拳VS詠春拳』の対決場面のような状況だ。
ていうか、私は自分が異世界に来て、まさか憧れの『詠春拳』を扱えるようになるとは思ってもいなかったので、レンレンと激しくやり合う恐怖よりも喜びや感動が遥かに上回っていた。ワクワクが止まらない!
「フフフ⋯⋯楽しそうアルね、ラルフ!」
「うん、とっても楽しいよ! この世界に来て一番興奮しているかもっ!!」
「え? この世界?」
「あ、いや、何でもない⋯⋯⋯⋯よっ!!」
「きゃっ!?」
パシン!
私は一瞬の隙をついてレンレンを足払いすることに成功した。
「よし、もらったぁぁ!」
好機!
私は前のめりに倒れるレンレンに止めを刺すべく、倒れかかった背中に拳を叩き込もうとした。しかし⋯⋯、
「なーんちゃって」
「え?」
レンレンは私が攻撃するのを予想していたのか、拳が当たる瞬間を見計らってタイミングよく体をギュルンと回転させ私の拳を弾いた。
「なっ?!」
「もらったアルぅぅ〜〜〜っ!!!!」
拳を弾かれた私の体が少し宙に浮いて体勢が崩れるのを狙っていたレンレンは、回転した勢いそのまま、地面を一度足で蹴ると、回転が加わり威力を増したパンチを繰り出した。
誰もが「終わった」と思っただろう。しかし、
パン!
「⋯⋯え?」
私はレンレンのパンチを右足で蹴り上げた。具体的に言うと、彼女の『肘』部分を狙って蹴り上げた。今度は、レンレンのほうが私の蹴りで少し体が宙に浮き体勢が崩れている。
私はその蹴りを放った後、いきおいのままクルンと一回転して地面を蹴ると、その場から距離を取るべく後ろに飛んだ。
「なぜ攻撃してこないアルか?」
「無駄かな⋯⋯と」
「ふ〜ん、そっかー。⋯⋯いいね」
そう言って、レンレンがニコリと微笑むと構えを解いた。
「! レンレン⋯⋯?」
「うん。これでラルフは『ヤン式拳法』の基本型をマスターしたことをウチが認めるアルよ」
「ええっ! ほ、本当?」
「うん」
「ありがとう、レンレン!」
私はレンレンからついに『ヤン式拳法の基本型マスター』の認可をもらった。超嬉しい!
「さて、そんなラルフにちょっとしたプレゼントを⋯⋯⋯⋯あげるアルっ!」
「!」
シュン⋯⋯!
レンレンが一気に間合いに入ったかと思いきや、空手の正拳突きのような構えをした。その瞬間——私の体に「これを受けたらマズイ!」という『警戒信号』のようなものが走る。
その場からの離脱は困難だと瞬時に悟った私は、慌てて両腕をクロスして衝撃に備えた。しかし、
「ヤン式拳法十八奥義⋯⋯『爆砕』!」
ズドォォォォォォォォォォォンンンンンン⋯⋯っ!!!!!
「ぐほぁぁぁぁ〜〜っ!!!!」
両腕で防御をしていたにも関わらず、その衝撃を喰らった私はものすごい勢いで後ろに吹き飛ばされる。ちなみに、私の後ろで観戦していた生徒も軽く巻き添えを喰らって吹き飛んでいた。
「う、うぐぅ⋯⋯。レ、レンレンって⋯⋯基本型しか習っていないって⋯⋯あれは⋯⋯」
「フフ⋯⋯あれ、嘘アル!」
「! や、やら⋯⋯れた⋯⋯よ。すごいな、レン⋯⋯レ⋯⋯ン⋯⋯」
ガクン。
そうして、膝から崩れた私は完全に意識を手放して地面に倒れた。
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「⋯⋯はっ!」
目を覚ました私は、あたりを見渡すとどうやら保健室で寝ていたようだった。
「おー起きたか、ラルフ」
「! テイラー」
「いや〜どうやらちゃんと生きているようだな。よかった、よかった」
「え? どゆこと?」
何、その物騒なワード⋯⋯。
「いやな、レンレンちゃんが放った最後の一撃だけど、あれでお前20メートルくらいぶっ飛ばされててよ。しかも、その時観戦していた生徒もぶつかって巻き添えを喰らっていたが、それでもお前はあれだけ吹き飛ばされたんだ。正直、マジで一瞬死んでいないかヒヤッとしたよ」
「え⋯⋯? そんなに⋯⋯すごかったんだ?」
「おう。レンレンの⋯⋯いや、ヤン男爵家の『ヤン式拳法』は噂には聞いていたけど生で見たらマジですごかった」
「いや、私なんてそれ喰らってるから⋯⋯。ていうか、はっきり言ってあんな威力のあるパンチを受けたのは初めてだったよ」
「だろうな。俺もあんなの見たことねーよ」
「「レンレン、怖ぇぇ」」
ということで、次の日からレンレンは『魔法騎士科』の男子から『|絶対に怒らせてはいけない者』という二つ名で呼ばれるようになったとさ。
ちゃんちゃん。
「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」
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mitsuzo




